2013/5/3,5/4 豊田市2013年06月27日 22時13分56秒

ゴールデンウィーク終盤はほぼ家にいましたが、
一日中くすぶっていても仕方がないので、散歩がてら近所を探索してきました。

3日は名鉄三河八橋駅から若林駅までのわずか一駅間。
4日は豊田市堤本町付近をぐるっとひと巡り。
歩いた距離は両方合わせて15kmくらいのプチ探訪でした。

愛知県では東海道の北には鍾馗さんは少なく、多くは期待できないのですが
両日で見つけた鍾馗さんの数は6体でした。まぁ、こんなものでしょう。

すべて型物でしたが、その中で比較的珍しいのは写真の鍾馗さん。

豊田市堤町の鍾馗さん
豊田市堤町

鍾馗博物館の収蔵室では#509に収録しています。
 このブログでの紹介記事1 紹介記事2


愛知県には少ないものの、三重県を中心に全部で七十数体見つけているので、
発見時はそれほど気にも留めていなかったのですが、帰って写真を見比べていたら
標準タイプとは違った、豊橋、豊川で各1体見つけただけの
愛知県固有種だとわかりました。標準との違いは頭の進士巾の端が
横に垂れています(標準タイプにはありません)

#509の鍾馗さん勢ぞろい
#509の鍾馗さん一覧

分布マップ(記号は上の写真に対応しています)
#509の鍾馗さん分布マップ

こうしてみると標準タイプ(写真上段左、緑の○)が彦根、伊賀地方から三重県北部にかけて広く分布し、それ以外のタイプはそれぞれ比較的狭い地域に固まって分布していることがお判りいただけると思います。

原型を参考に各地の鬼師さんがそれぞれ少しづつ違った型を製作したのではないかと思いますが、想像の域をでません。



三州若鬼師展2013年02月04日 00時05分08秒

高浜市・名鉄三河線吉浜駅前の画廊アートフロアで開催されている
「三州若鬼師展」を見てきました。

三州鬼瓦製造組合の若手鬼師さんで結成している若鬼師会では、
三州の伝統的な燻し瓦をもっと普及させようと、いろいろなイベントを打っています。
これまでもたびたび見に行こうと思っていたのですがなかなかチャンスがなく、
今回初めて足を運ぶことができました。

若鬼師会

会場には鬼百の梶川賢司さんと鬼源の神谷岩根さんがおられ、
いろいろと興味深いお話を伺うことができました。

会場には、梶川さん作の鍾馗さん(#0097)と
山本鬼瓦さん製の鍾馗さん(#0155の二段目右と最下段)が展示即売されていました。

また、博物館収蔵室では#0098 も梶川さんの作品であることが確認できました。

結構なお客さんが見に来ておられ、上述の#0097の鍾馗さんは
私がいる間に売れて行きました。すごい!

私の家は狭くて鍾馗さんを置く場所もありませんので、
山本鬼瓦製のこちらを購入。
鍾馗さんストラップ
鍾馗さんストラップ

小さいながらも瓦製。持ち歩くとすぐに割れたり汚れたりしそうなので、
やっぱり箱入り息子かな。

残念ながら開催は本日(2月4日)が最終日。
通常に比べてずいぶん割安な価格で即売されていますので、
行ける方はぜひ覗いてみてください。


次は今月下旬に飾り瓦コンクール作品展が、高浜市やきものの里かわら美術館で
開催されます。

飾り瓦コンクールatかわら美術館


2012年のまとめ2013年01月06日 23時49分59秒

2012はつごう62回探訪にでかけ、見つけた鍾馗さんは809体
歩いた距離は759kmでした。

2011年は探訪67回、発見671体、歩いた距離746kmなので
少しだけ前年を越えることができましたが、
最盛期の2009年は探訪85回、発見1,352体、歩いた距離1,546kmですので
遠く及びません。

鍾馗さん密度の高い地域はそろそろ歩き尽くした感がありますので、
今後は山の中とか、そもそもほとんどなさそうな地域とか、
厳しい探訪が多くなりそうで最盛期のような訳にはいかないでしょう。

昨年は他力本願が多かったのも特徴でした。
鍾馗博物館の収蔵室には2012年、66種の鍾馗さんを新種として採録しましたが
うち、26体はどなたかからの情報提供によるもの。
鍾馗分布の中心から周縁部に探索範囲が広がりつつあるので、
この傾向は今後も続くと思います。言い換えれば情報提供頂ける方が
少しづつ増えているということで、ありがたいことです。



福岡県太宰府の鍾馗さん
2012年3月発見の福岡県太宰府市の鍾馗さん。

九州では、宮崎市砂土原町に続く2例目でしたが、
その後大分県でsatopyさん佐賀県でnaoさんと鍾馗さんの発見が続きました。

2013年もこうして全国鍾馗地図が塗り替えられていくといいですね。

ちなみに私の把握している範囲で、ですが

記録あり:
秋田、群馬、栃木、千葉、埼玉、東京、神奈川、山梨、長野、石川、福井、静岡、愛知、岐阜、滋賀、三重、京都、大阪、奈良、和歌山、兵庫、香川、徳島、愛媛、福岡、大分、佐賀、宮崎

記録なし:
北海道、青森、岩手、宮城、山形、福島、新潟、富山、茨城、岡山、鳥取、島根、広島、山口、高知、長崎、熊本、鹿児島、沖縄

2013年、今年もよろしくお願いします2013年01月01日 12時53分30秒

昨年は出版というトピックもあり、いろいろな方にお世話になりました。
また、年の後半では病気で各方面にご迷惑をおかけしました。

この場を借りてお礼申し上げます。


今年もマイペースでやっていきたいと思っていますので、
よろしくお願いいたします。


御所市原谷の鍾馗さん
(奈良県御所市原谷 2012年12月)

<京都>町屋所有者・居住者の集い2012年12月16日 18時30分34秒

12月16日(日) (財)京都市景観・まちづくりセンターさんからの
お誘いで、「町屋所有者・居住者の集い」という集まりで
鍾馗さんの話をしてきました。

一時間ほど、以下のようなとりとめのない話を聞いていただいています。

主催者、参加者の皆様、物好きの話にお付き合いいただきありがとうございました。
ご意見・ご感想・身近な鍾馗さんの情報など、
ぜひお寄せくださいね!

以下当日のレジュメです。


自己紹介

   ・1961年生、会社員、愛知県在住

  著書
   ・鍾馗さんを探せ‼  京都の屋根のちいさな守り神   
         淡交社 2012年2月刊行

   書評(毎日新聞 井波律子さん)
  

 メディア
   ・京都リビング    3月10日
   ・中日新聞           9月20日

  運営サイト
   ・みちくさ学会(寄稿)   ⇒入門向けにオススメ


鍾馗さんの魅力


 ・分布図
map2
map1
 
 正統派鍾馗さん今昔

  瓦の鍾馗さん
       
 
鍾馗さん探しのスタイル

  ・鍾馗さんの探し方
  ・国土地理院


  ・京都鍾馗探索 その1  2011年6月4日

  ・京都の特殊性

     

  ・京都鍾馗探索 その2  2012年6月10日



  

ちょっとした変更のお知らせ2012年07月24日 23時55分55秒

右のツールバーの『検索』に
『鍾馗博物館』検索ボタンを追加しました。
よろしければお使いください。

当ブログと博物館をまとめて検索できるといいのですが、
どうすればいいのかまだわかりません。

彦根の鍾馗さんマップ!2012年06月25日 22時09分06秒

6月17日、彦根に行ってきました。
今回は「まち遺産ネットひこね」の皆さんからのお招きです(^^;

『まち遺産ネットひこね』は、町に残る歴史遺産を再発見して
市民や観光客に彦根の知られざる魅力を伝えていこうと活動しておられる団体で、
今年のテーマのひとつが『鍾馗』。

彦根とその周辺地域の鍾馗さんマップを作成するとともに、
秋にはそれを使ったまち歩きイベントを計画中で、
私のほうに情報提供依頼がありました。

もちろん諸手をあげて協力です。

これまでに私が彦根市内で発見した鍾馗さんは50体弱。
大部分は郊外の農村集落で、中心市街地はお寺鍾馗を数体知るのみです。

郊外は一般の町歩きにはちょっとハードルが高いし、どうかなあとも
最初思いましたが、NPOの方は既に30体近くを市街地で発見しておられ、
一度ご案内しますとのお誘いをいただきました。

降り続いていた雨も幸い上がり、
市役所に集合して、メンバーの皆さんと一緒に鍾馗探訪してきました。

彦根城天守
彦根城を案内いただきました。
彦根は何度も来ているのですが、お城に入るのは初めて(^^;


彦根といえば言わずと知れた国宝・彦根城に日本一のゆるキャラ・ひこにゃん。
さらに町並みを再現した夢京橋キャッスルロードと一級の観光資源を
保有していて、滋賀県の町では訪れる人も多いイメージがあります。
この日も日曜日ということもあって、かなりの人手で賑わっていました。

でも案内いただいた方たちのお話では、賑わうのはそういった一画だけで
少し外れると観光客も地元の人もぐっと少なくなって、
なかなか賑わいを取り戻す手立てが見つからないのが悩みとか。

鍾馗さんは思いがけない街角に潜んでいるので、
マップ片手にいろんな人が、いろんな所を歩いてくれるといいですね。

どんなマップができるか、乞うご期待です。


この日は30体弱の鍾馗さんを案内していただきました。
以下、めぼしい鍾馗さんです。

彦根市本町の鍾馗さん
本町

彦根市本町の鍾馗さん
本町

彦根市中央町の鍾馗さん
中央町

腹のあたりに獣の顔があるのが不思議です。
服部さんこまさんによると、中国の絵画で鍾馗に虎が付き物になっていることは
結構多いとのことですが、またがったり、横に従えるのが通例だそうです。
この鍾馗さんの場合、中途半端なところについていて
なんとも割り切れない、釈然としない造形です。


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「みちくさ学会」第26回記事が掲載されました。
よろしければお寄りください。今回のタイトルは「鍾馗さんの受難」

一万体到達!2012年06月05日 23時34分54秒

確認した鍾馗さんの数が6月2日、とうとう一万体に到達しました。

数字ばかりで恐縮ですが、少し振り返ってみます。

1.都府県別には

京都府 2,250 愛知県 2,106 奈良県 1,907 滋賀県 1,170 大阪府 1,144
三重県 915 岐阜県 235 長野県 113 兵庫県 91 和歌山県 35 
埼玉県 18 東京都 10 静岡県、宮崎県 各2  
神奈川県、徳島県、福井県、石川県、栃木県、福岡県 各1

自分の眼で見たものだけをカウントしています。
他の人の情報で、以下の県にもあることがわかっています。
秋田県、群馬県、千葉県、山梨県、香川県、愛媛県、大分県、佐賀県

2.年ごとの発見数

 2000年 1体
 2004年 10
 2005年 1,540
 2006年 2,197
 2007年 1,387
 2008年 1,312
 2009年 1,361
 2010年 1,145
 2011年 675
 2012年 373

ペースダウンしてます。二万体を見る日はあるのか?

初めて見つけた鍾馗さん

これがMy first鍾馗さん。
近所にありますが、見つけた頃は瓦の鍾馗さんがあることを知りませんでした。
当時のメモには「屋根の上に何かがあった」としてあります。

一万体目の鍾馗さん

一万体目はこの鍾馗さんでした。

「木津川の地名を歩く会」2012年04月13日 23時50分00秒

最近、自著「鍾馗さんを探せ!!」を取り上げていただいたご縁で、
ブログ「木津川の地名を歩く会」の管理人さんとメールのやり取りをさせていただくようになりました。

木津川の地名を歩く会

トップのやさしいイラストは、管理人さんのお人柄がよく現れている感じ。
京田辺市にお住まいで、地元の歴史を研究・探訪するブログタイトルの研究会の他、
いろいろな活動を主宰されている、とてもエネルギッシュな方ですが、
難しい内容に触れているにも関わらず、文章はとっても平易で読みやすい。

身近な自然から、映画、古建築、人形など取り上げるテーマは多岐に渡り、
どの分野でもおざなりでない下調べをされた様子が窺えて、読み応えがあります。

そんな管理人さんに、鍾馗さんへの関心を持っていただくことに成功!
今、とっても熱心に探していただいています。

まもなく(4/15)開催予定の例会でも鍾馗さんを取り上げていただけるようで、
参加者の皆さんにも鍾馗さんを知っていただけるのではないかと期待しています。

例会案内の記事


鍾馗さんの分布状況2012年02月05日 23時13分26秒


分布地図_5種すべて

よく見られる5種の鍾馗さんの分布状況を地図にプロットしてみました。

鍾馗さん凡例

いずれも300体以上見つかっている鍾馗さんなので
地図にしてみるとそれぞれの分布の特徴が浮かび上がってきます。

分布図_083

分布は愛知県と滋賀県が中心ですが、鍾馗分布エリア全域で見られます。

最もたくさん記録されている鍾馗さんですが、リンク先を見ていただくと分かるとおり
かなりバリエーションが多く、分類も議論がありそうです。

分布図_082

この鍾馗さんは前の083以上に、鍾馗分布エリア全域に満遍なく見られます。
こうして広い地域に分布する鍾馗さんは、流通ルートの整備された以降の
近年になって、三河や淡路などの大産地から広がっていったのではないかと
想像されます。

分布図_063

この鍾馗さんは一転して関西地区限定。愛知・岐阜・三重の東海地方ではまったく見つかりません。
この鍾馗さんは淡路島で作られているようですが、三州瓦の本拠地である東海地方には入り込む余地がないのでしょうか?

分布図_135

こちらも063と同じような分布。

分布図_050

この鍾馗さんは地図では一見、数が少ないように見えますが、
京都市内に集中して見られるのがこのスケールでは表現しきれないためで
実際にはこの五種の中で一番数多く分布しています。

「京都限定」に近い鍾馗さんですが、近隣府県でぱらぱらと見られます。
また滋賀県大津市では相当数が分布しており、
京都文化圏が琵琶湖南岸に沿って
滋賀県の方に伸びていっているようです。