鍾馗さんもオリンピック!(1)2014年02月14日 22時00分23秒

ソチオリンピックもようやく盛り上がってきて寝不足の方も多いのでは。

金だ銀だと世間は騒がしいので、ここは鍾馗さんにも参加してもらって
メダルを競ってもらいましょう。

とはいうものの瓦鍾馗さんは走れないし飛べないし。
しばし考えましたが、結局大きさ競争をしてもらうことにしました。(;^ω^)

まずは銅メダルから。

大和郡山市今国府町の鍾馗さん
大和郡山市今国府町

推定身長80cm。
測ったわけではないので、「推定」が心苦しい。
写真もまずくて大きさが全然伝わってこないのですが、
豪邸の軒で屋敷の大きさに負けない存在感を放っています。

続いて銀メダル

大町市八坂の鍾馗さん
大町市八坂

推定1m強

大町市八坂の鍾馗さん
遠くから見るとこんな感じ

この鍾馗さんも豪邸の屋根で堂々の存在感。



さて、金メダルはというと。

京都市左京区某所の鍾馗さん
京都市左京区


京都市左京区某所の鍾馗さん

推定170cm
もうちょっといい場所に置いてあげたい気もしますが、京都洛中の建て込んだあたり、この鍾馗さんをあげるにふさわしい場所はそうそうないですわな。


番外。
昨年、京都五条に鍾馗神社が開かれました。
ここのご神体は身長160cm!
まだ管理人未見ですので五輪不参加としましたが、
4年後のメダル候補ですね。


考えてみれば日本からしか参加していないから、オリンピックは誇大広告ですねぇ。
「国体」くらいが適当でしょうが、まあいいか。

一応、つづきがあります。

「玄関鍾馗」2014年02月03日 20時35分33秒

瓦鍾馗の置かれる場所としては、
京都市内に代表される街場に多い「軒」と
郊外に多い「棟」が大部分で全体の九割がたはこのどちらかに置かれています。

探す時にも視線はこの両者の間をさまよいます。

昨年秋、雪だるまさんに奈良を案内していただいた際、
雪だるまさんの見つけた鍾馗に玄関に置かれた鍾馗さんが
意外に多いことがわかりました。

さらに、12月に徳島県を探訪した際には、見つけた八体の鍾馗さんすべてが
玄関に置かれていました。

これまでごく例外だと思っていた「玄関鍾馗」が
地域によっては一般的だということに、ここに至って気がつきました。
こうなると気になってしまうので、手間のかかる仕事ですが、
これまでに見てきた鍾馗さんの写真を見直して、
玄関鍾馗さんをピックアップしたところ、合計74体を確認しました。
内訳は京都府が30体、大阪府 17体、徳島県 8体、奈良県 7体 など。
2500体以上を記録している愛知県ではわずかに1体でした。

そのうちの何体かを写真でご紹介。

和歌山市加太町の玄関鍾馗
和歌山市加太町
シンプルな玄関に堂々と鎮座

阿波市吉野町の玄関鍾馗
阿波市吉野町
この地域に典型的な四方蓋造りの民家

京都市上京区の玄関鍾馗
京都市上京区
生活感あふれる軒先に。話し相手には事欠かない。

京都市北区の玄関鍾馗
京都市北区
今風の家では屋根に鍾馗さんの置場がない?

京都市上京区の玄関鍾馗
京都市上京区
このお宅も置場に困った口か?

京都市北区の玄関鍾馗
京都市北区
粽の風化具合に歴史を感じます。
電球が灯ったらまぶしくて暑そう。

京都市中京区の玄関鍾馗
京都市中京区
京風の小ぶりな鍾馗さんは玄関にさりげなく納まります。

生駒市北田原町の玄関鍾馗
生駒市北田原町
一方、大ぶりの鍾馗さんは玄関に置かれると存在感があります。

泉大津市東港町の玄関鍾馗
泉大津市東港町
このサイズだと玄関ではちょっと窮屈で、居心地が悪そう。

五條市今井の玄関鍾馗
五條市今井
窮屈と言えばこの鍾馗さん。あまりに不憫です。


魔除に鍾馗札を玄関先にあげる風習は瓦鍾馗より前に普及していたようです。
師匠・服部さんのホームページからの引用

「魔除け」「疫病除け」の鍾馗札(紙に鍾馗の絵姿を摺ったもの)については、享和二年(1802)滝沢馬琴が江戸から京阪、伊勢の方に旅をした時に書いた、「 羈旅漫録」に、「遠州より三州のあひだ人家の戸守りはことごとく鍾馗なり、かたはらに山伏某としるしたるもあり」とあり、又、喜多村信節の「嬉遊笑覧」(1830)にも「・・・今も尾張熱田の民家にみなこの画像を戸に押す」とあって、遠州、三州、尾張のあたりでは「疫病除け」のためにみな鍾馗札を戸に貼っていたことがわかります。

そしてこれは馬琴も書いているように、山伏が鍾馗札を売り歩いていたらしく、昭和四十年、澤田四郎作氏の「戸守りの鍾馗」にも大阪のあびこ観音の参道で山伏姿の男が鍾馗札を売っていると書かれていますので、かなり長い間つづいていたことになります。 (現在でもあびこ観音では鍾馗札を売っております)

この鍾馗札と瓦鍾馗の関係はよくわかりませんが、三州は瓦の一大生産地なので、そこで鍾馗札が次第に瓦鍾馗に変わっていったのか、あるいは京都あたりで瓦鍾馗が流行してまわりに広まっていったのか、これはもうすこし考えてみたいと思います。

ただ、鍾馗札と瓦鍾馗ではあげる理由がすこし違うようにも考えられます。

奈良の古い集落を歩きますと、瓦鍾馗はお寺や神社のまわりか道の突き当たりにあり、それ以外の民家にはありません。これは最初の「文文集要」の鬼瓦対鍾馗のように、お寺の鬼瓦や神社の霊力に対してあげているので、「魔除け」「疫病除け」ではないようです。

寺の大きな鬼瓦に対しては戸口に貼る紙のお札よりも、同じく屋根に瓦の鍾馗像をあげた方がより効果的なのは確かで、このような用途で作られた瓦鍾馗がやがて鍾馗札に変わって一般の民家にもあげられるようになっていったのかもしれません。

***

鍾馗札が瓦鍾馗に置き換わっていったとすれば、
もう少し玄関鍾馗が多くてもいいような気がするのですが、
瓦鍾馗の据え付けは多くは瓦葺き職人さんによって行われるので、
職人さんとしては屋根葺きと同時に屋根に据える方が、
仕事の手間がかからないということかもしれません。

これから、鍾馗さんを後から買ってきてあげることが増えるようなことがあれば、
家人でも作業ができる玄関鍾馗さんが多くなるかもしれませんね。


玄関の上に作られた小ぶりの入母屋屋根の破風部分に
鍾馗さんが置かれるケースもかなりあるようです。
広義の「玄関鍾馗」とも言えますがこちらの分析はまたの機会に。

鍾馗さんの探し方 その42014年02月02日 22時05分00秒

鍾馗さんの置かれる位置
2010年1月11日の記事を一部改訂しました。

このブログを見て鍾馗さんに興味をもっていただいた方から、
「気になって民家を見てみるのだけれど、なかなか見つからない」
というコメントをいただいたことがあります。

そこで、今回はどこに鍾馗さんが置かれるのか
基本パターンを図示しますのでご参考にしてください。
拡大画像でご覧ください。

①一階の屋根(小屋根)
  京都の鍾馗さんは大部分がここ。
  この写真でもありますね。
②大棟(二階の屋根)
  棟瓦の上に直立させる場合と、
  棟瓦に立てかけるように置く場合とがあります。
  愛知、岐阜はここが主流。
  三重、滋賀、奈良、大阪では①②が混在しています。
  町場では①、郊外では②が多い傾向があります。
  街中では家屋が密集していて、大棟の上は見えないですからね。
③大棟の端
  あまり多くないですが、ここにある鍾馗さんは珍品の可能性大。
④入母屋の破風
  切妻屋根の場合もこの位置に置かれることあり。
  ここにあるのはお寺鍾馗がほとんどで、正面にお寺があります。
⑤玄関
  以前は「ここはめったにありません。」と簡単に片づけていましたが、
  地域によってはかなり見られるようです。
   「玄関鍾馗」の紹介記事

その他に、塀の四隅に置かれている場合もありますが
これは新しいものが多いような気がします。

バックナンバー
 鍾馗さんの探し方 その1
 鍾馗さんの探し方 その2
 鍾馗さんの探し方 その3

2013年のまとめ2014年01月04日 23時42分54秒

2013年はつごう69回探訪に出かけ、見つけた鍾馗さんは965体。
歩いた距離は934kmでした。

2012年と比べるといずれも上回り、退潮に多少歯止めをかけることができました。


2005年探訪開始からの累計では、
探訪回数:568回
見つけた鍾馗さん:11,405体
歩いた距離:9,668km

お笑いください・・

2013年も2012年に引き続き、他力本願が多くなりました。
2013年、鍾馗博物館の収蔵室では#1435から#1555まで
121種を新種登録しましたが、数えてみたらそのうち自力で見つけたのは
39種に過ぎませんでした。これからも皆様にはお世話になると思いますので、
この場を借りて御礼申し上げます。


2013年は鳥取県岡山県で新たに鍾馗さんを発見しました。
といっても単発的なもので、いずれも瓦鍾馗さんをあげる文化が根付いている訳ではなさそうです。
これで都道府県別に見ると以下のようになりました。

記録あり(30都府県)
秋田、群馬、栃木、千葉、埼玉、東京、神奈川、山梨、長野、石川、福井、静岡、愛知、岐阜、滋賀、三重、京都、大阪、奈良、和歌山、兵庫、岡山、鳥取、香川、徳島、愛媛、福岡、大分、佐賀、宮崎

記録なし(17道県)
北海道、青森、岩手、宮城、山形、福島、新潟、富山、茨城、島根、広島、山口、高知、長崎、熊本、鹿児島、沖縄

地図は再掲です。
鍾馗さんマップ20140101


今年もよろしくお願いします2014年01月01日 08時38分32秒



あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

鍾馗さんマップ20140101

新春特別付録は最新の鍾馗さんマップ (^^;
私が実際に見ていないものも記載しています。


ちなみにこの趣味を始めて半年の、
2006年3月にはこんな状態でした。
鍾馗さんマップ200603

思えば遠くへ来たもんだと、一人感慨にふけっていました (^^; (^^;

寺本仁兵衛の鬼瓦2013年11月19日 23時00分28秒

11月16日の探訪中、近江八幡市江頭町の長光寺の前を通りがかると、
通りに面した装飾瓦が目に入りました。

江頭町 長光寺の装飾瓦 菊水

菊水だと思うのですが、うねうねとして
あまり見かけない造形です。

横に回ると銘が入っていて
長光寺の装飾瓦 菊水 横の銘
「瓦仁 宗三作」

奥に見える山門の瓦もとても装飾的です。
長光寺の装飾瓦 山門四隅の仙人?
天女?

江頭町 長光寺 山門鬼瓦の銘
山門の鬼瓦にも同じ銘がありました。

江頭町 長光寺 山門
山門は質素な作りなのですが、瓦は凝りに凝っています。


山門に誘われるように境内に入ると、大きな鬼瓦が目に入りました。
江頭町 長光寺 旧鬼瓦

当然のごとく横をチェック。
江頭町 長光寺 旧鬼瓦 銘 寺本仁兵衛

くっきりと「寺本仁兵衛」の銘が入っています。
寺本仁兵衛は八幡瓦の元祖と言われる人物。
といっても歌舞伎役者のように代々の名乗りです。
こちらの記事もご覧ください。

反対側には
江頭町 長光寺 旧鬼瓦 天明二年
「天明二 壬寅ノ二月」 1782年です。

かわらミュージアムの巨大鍾馗さんが
文政11年(1828) 五代目仁兵衛の作品ですが、そこから五十年近く遡るので
四代目か三代目の作品といったところでしょうか。

若奥様、奥様に話を伺うことができました。
本堂は平成に入って葺き替えたが、古い瓦が立派だったので残すことにした。
鬼瓦の片割れは近江八幡のかわらミュージアムに収蔵されているそうです。

山門は少し時代が下がって、天保十二年(1841)頃の建立とのこと。
だいぶ柱も傷んできて、そろそろ修理が必要だと思っているそうなので
「瓦は大事にしてくださいね」とお願いしたところ、前にも訪ねてきた方が同じことを言っていた、と笑っておられました。

江頭町 長光寺 旧鬼瓦 寺本仁兵衛銘
これは下り棟の旧鬼瓦らしく、これも寺本仁兵衛の銘入り。
境内の随所に置かれています。

江頭町 長光寺 旧庫裏の飾り瓦
これは庫裏にあがっていたそうで、正体は不明です。



イベント延期のお知らせ2013年09月24日 21時34分55秒

前の記事でお知らせした10月5日開催のイベント

ふくろうフォーラム97 アウトドアシリーズ26
「秋の京都散策!鍾馗さんを探しながら…」

主催者さんのご都合で延期となりました。
変更後の日取りはまだ決まっていません。

ご参加連絡いただいていた方、申し訳ありません。
ご都合が合わず不参加だった方も、日取りが決まりましたら告知しますので
またぜひご検討くださいね。

こんな鍾馗さんたちに会えると思います。

京都祇園の鍾馗さん

京都祇園の鍾馗さん

京都祇園花見小路の鍾馗さん


京都宮川筋の鍾馗さん


イベントのお知らせ「秋の京都散策!鍾馗さんを探しながら…」2013年09月15日 00時23分12秒

*** このイベントは延期になっているのでご注意ください ***

10月5日(土) 京都での鍾馗さん関連イベントです。
下記は主催者からのお知らせの転載です。

****

ふくろうフォーラム97 アウトドアシリーズ26

「秋の京都散策!鍾馗さんを探しながら…」 

日 時: 平成25(2013)年10月5日(土) 午後1時~5時 雨天決行

集 合: 京都教育文化センター(教文センター)  

      京都市左京区聖護院川原町4-13  TEL:075-771-4221

*アクセス:京阪電車「神宮丸太町駅」5番出口より徒歩3分

行 程: 13:00鍾馗さんの簡単な解説と注意事項<テキスト・地図等、資料の配布>

      13:30教文センター出発→京都散策へ

      16:00教文センター再集合<発見した鍾馗さんの作品発表と表彰式>

      17:00解散→懇親会場へ

ゲスト: 小沢 正樹さん

(参考):鍾馗さんを尋ねて三千里(小沢さんのブログです)

    http://kite5656.asablo.jp/blog/

参加費: 500円

      (別途、小沢正樹さん著書「鍾馗さんを探せ!!」を購入ご希望の方は事前にお知らせください。)

用意するもの:デジタルカメラ・スマホ・携帯電話等の撮影用具(望遠レンズ付きのものをお勧めします)

申 込: 9/28までにお願いします。


***** 転載終わり *****

ふくろうの会は関西周辺の歴史好きの方が集まってできているサークルだそうです。


一般参加もOKだそうですので、
参加ご希望の方はこの記事へのコメント等でご連絡ください。
その際連絡用にメールアドレス欄を記載しておいていただけると助かります。


2013/8/3, 8/11 愛知県内ミニ探訪2013年08月18日 22時17分15秒

お暑うございます。
鍾馗命!!の管理人といえどもさすがに本格探訪には出かけられず、
近場をちょろちょろしてお茶を濁しています。

8月3日は地元で目にとまっていながら、これまで撮影機会のなかった鍾馗さんを
あちこち回って写真に収めてきました。
珍しい鍾馗さんはなかったのですが、帰宅して写真を眺めていて気になったのが
この鍾馗さんです。

岡崎市東蔵前町の鍾馗さん
岡崎市東蔵前町

#0071として愛知。三重を中心に60体以上を記録している、
ありふれた鍾馗さんですが、何かちょっと違和感があって標準タイプと見比べてみると

0071細部の比較

やっぱり細部が色々違います。
特に手の位置は同じ型であれば、こんなにずれることはないと思います。

0071の比較その2

ちなみに他も見比べていくと、皆、ちょっとずつ違っているように見えてきて
パニックを起こしそうです。
岡崎市東蔵前町と岡崎市石崎町は近縁の兄弟で、
一宮市萩原町と明和町上野は同じ型だとは思うのですが・・

分類は難しい。


8月11日には高浜市の中心部を歩いてみました。
現在、日本で最大の瓦産地が高浜市を中心とする三河地方で、
鬼瓦専門の職人である鬼師さんが今でもたくさんおられるのも高浜市。
瓦鍾馗さんも高浜産がとても多いのです。

さぞ鍾馗さんも町にあふれていると思われるかもしれませんが、
意外に街には鍾馗さんが少なく、産地イコール消費地ではないということでしょうか。

灯台下暗しで、市街地を歩くのはほぼ八年ぶり。
かんかん照りの下、1時間少々で退散しましたが、変わったものをみつけました。

高浜市春日町の鍾馗さん(鍾馗面)
高浜市春日町

つし二階の低い軒下にあって、我ながらよく見つけたと思います。
お庭にお邪魔して正面からも写したかったのですが、
鍾馗さんの下では番犬がわんわんと吠えていて、
通りからこそこそと撮影して退散しました。

「鍾馗面」とでもいうべきこういったタイプ、
昨年知多市岡田で見つけて以来の二例目です。

【鍾馗編収録】みちくさ学会の本がでました!!2013年06月29日 23時05分44秒

みちくさ学会の本(といっても電子ブックですが)がリリースされました。


みちくさ学会研究報告第二集 鍾馗


私の記事、鍾馗編が収録されています。

基本的にはこれまでみちくさ学会に寄稿した記事の再録です。
みちくさ学会を読んでいただいている方に購入していただくのはちょっと
心苦しいものがありますが、記事の内容や掲載写真は電子ブックという媒体を考慮して、見直しを行なっています。
また他の講師さんの記事も充実していますので、よろしければ買ってみてください。

現在は Amazon Kindle、 楽天Koboで先行発売中。
おいおい他の電子書店にも拡大されるようです。

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※ この本は電子ブックのみの出版となります。
  読んでいただくにはスマホ、タブレット端末や
  上の写真のような専用リーダーが必要です。