『街でよく見る鍾馗』まとめ2010年08月30日 23時51分56秒

『街でよく見る鍾馗』の記事を掲載し終わりましたので、
インデックスを本宅「鍾馗博物館」内にアップしました。

計32種の鍾馗さんについて紹介しましたが、
この32種で個体としては4775体を記録しています。
管理人発見の総数が8600体強ですから、
この32種で過半数がカバーされることになります。

街で見た鍾馗さんがこの中に含まれていないようでしたら、
それなりに珍しい鍾馗さん、といってよいと思います。

【0127】らいおん鍾馗2010年08月27日 23時32分07秒

昨日の記事の集合写真では、[A]に相当する鍾馗さんです。

 従来の【0128】を統合しました。本宅博物館の更新はしばらくお待ちください。

【分布と記録数】 奈良県(69)、京都府(16)、大阪府(2)  合計 (87)
【リンク】 博物館・収蔵室(#0127) 博物館・収蔵室(#0128)


橿原市今井町の鍾馗さん
(橿原市今井)

田原本町の鍾馗さん
(田原本町)
上のふたつはほとんど違いはありません。
目立つ違いと言えば、バックルのような腰紐の結び目の形くらい。
それでもこの2種の分布域は
橿原市、天理市など、奈良盆地の東部では上のタイプ、
斑鳩町、広陵町など西部では下のタイプとくっきりと分かれています。

京田辺市田辺北里の鍾馗さん
(京田辺市田辺北里)
顔つきの印象が異なるため、従来は別種としていましたが、
今回まとめることにしました。
写真の鍾馗さんは比較的違いが分かりやすいほうですが、
中間的な特徴の鍾馗さんもいたりして、悩まされていました。

天理市櫟本町の鍾馗さん
(天理市櫟本町)
こちらは鬼を踏みつけています。

大和郡山市田中町の鍾馗さん
(大和郡山市田中町)
正面からの撮影でなく、暫定登録。

奈良市芝新屋町の鍾馗さん
(奈良市芝新屋町)

これは変り種。唯一自然な立ち姿で他と違って見えますが、
上半身だけ見れば疑いなく仲間とおもわれます。

ヤマトライオン 分類思案中2010年08月26日 23時26分57秒

奈良県を歩くと、こんな感じの鍾馗さんをよく見かけます。
橿原市今井町の鍾馗さん
(橿原市今井)

雄ライオンのたてがみのような立派な髭がチャームポイント。

ところがこの鍾馗さん、似た雰囲気のがいっぱいあり、
拙サイト「鍾馗博物館」では、9種に大別して19種の亜種を収蔵しています。

#127,#128,#230,#280,#340,#598.#599,#874.#1064

ところが自分で言うのもなんですが、この分類どうもすっきりしない。

違うよな~

例えば、この二つの鍾馗さんを #127 にまとめていますが、
ずいぶん雰囲気が違いますよね。

改めてこれらを全部見比べて再分類してみました(^^;

結果が以下です。
新分類1
新分類2
新分類3

まぁ、正解があるものでもないのですが・・
マニアックで楽しい作業ですが、疲れたので今日はここまで。

【0071】石造りまである謎の鍾馗2010年08月25日 23時20分10秒

【分布と記録数】 三重県(25)、愛知県(24)、大阪府(3)、岐阜県(2)、
           奈良県(2)、神奈川県(1)  合計 (57)
【リンク】 博物館・収蔵室

松阪市魚見町の鍾馗さん
(松阪市魚見町)
これが標準タイプ。
愛知県、三重県では各地で目にすることができます。
東海地方では他の鍾馗さんにもよくあるのですが、
釉薬のかかったカラー鍾馗さんがおおいのも特徴で、
この鍾馗さんにも、赤、青、緑、橙 といろいろ見つかっています。

三浦市三崎の鍾馗さん
(三浦市三崎)
私の知る神奈川県唯一の鍾馗さん。
三崎町の商店街を紹介するサイトで見かけてはるばる訪ねました

標準タイプに比べると、握る左手の向きが違っていて、
サイズもやや大きめだった気がします。
他では見たことがありません。

御所市御堂魚棚町の鍾馗さん
(御所市御堂魚棚町)

こちらはなんと石造。
瓦製に比べて平板な印象はやむをえないとして、
細部の特徴はまぎれもなく標準タイプと一致。

奈良県では瓦製の標準タイプは見つかっていないため、
謎だらけの鍾馗さんです。
瓦職人が石を刻むとも思えないため、
石工が瓦鍾馗をお手本に作ったのでしょうか?

【0097】端正な現代鍾馗2010年08月24日 23時37分14秒

【分布と記録数】 愛知県(42)、三重県(5)、滋賀県(4)、岐阜県(1)、
           奈良県(1)  合計 (53)
【リンク】 博物館・収蔵室

愛知県中心に東海地方に分布。

桑名市赤須賀の鍾馗さん
(桑名市赤須賀)

左足を踏み込んで力が入っています。
流れるような造形に無理はなく、作者の力量は確かです。

またこの鍾馗さんの場合、他で見られるようなこまごまとした
バリエーションは全然なく、近代的製法で作られたんでしょうね。

わがままな鍾馗探索者としては、もう少し遊んでくれると面白いのですが。

【0258】ほぼ奈良県限定の"大"ちゃん2010年08月23日 22時36分21秒

【分布と記録数】 奈良県(49)、大阪府(7)、京都府(1)  合計 (57)
【リンク】 博物館・収蔵室

大阪、京都でも少数見つけていますが、
大阪では柏原、八尾。京都では木津と奈良の隣町ばかり。
奈良県内では大和郡山市を中心として県西北部に多く見られますので
このあたりで生産されていたのだと思います。

大和郡山市小南町の鍾馗さん
(大和郡山市小南町)
これが標準タイプです。帽子に二つ並ぶ排気口のような穴がトレードマーク。


以下の鍾馗さんはトレードマークと表情で、兄弟とわかりますが、
いずれも発見は1体きりの突然変異です。

桜井市桜井の鍾馗さん
(桜井市桜井)
左手の下に銘が見えます。
へぼい写真で判読できなかったため、再訪しましたが、
家ごとなくなっていました。

柏原市本郷の鍾馗さん
(柏原市本郷)
握った拳を微妙に上げたこのポーズは類例がありません。
鬼じゃないんだからちょっと変ですね。

奈良市大柳生町の鍾馗さん
(奈良市大柳生町)

それにしてもこの帽子。ガンダムっぽくて不思議です。
何を見ての造形なんでしょう。

【0124】鏡餅のような鍾馗さん2010年08月21日 00時10分30秒

【分布と記録数】 三重県(51)
【リンク】 博物館・収蔵室

三重県でしか見つかっておらず、それも北部 桑名、四日市あたりが分布の中心で
南限は津市あたりです。

丸い腹に丸い顔、鏡餅に見えてきます。
(雪だるまという説もありましたが、顔はいかついのでちょっとイメージわかない)

じつはこの鍾馗さんの見分け方については 博物館・収蔵室 で説明してありますので、ここでは省略。

写真のみ紹介いたします。
いなべ市員弁町西方の鍾馗さん
(いなべ市員弁町西方)

四日市市海山道町の鍾馗さん
(四日市市海山道町)

鈴鹿市徳居町の鍾馗さん
(鈴鹿市徳居町)

四日市市波木町の鍾馗さん
(四日市市波木町)

【0157】温厚な老爺風2010年08月20日 22時39分11秒

【分布と記録数】 愛知県(40)、三重県(18)、滋賀県(2)、京都府(2)、
            岐阜県(1) 合計 (63)

【リンク】 博物館・収蔵室

【0155】【0159】 とよく似ていますが、この鍾馗さんが一番柔和な印象です。
細かいバリエーションはありません。

南知多町山海の鍾馗さん
(南知多町山海)

知多半島を中心とする愛知県と三重県各地で見ることができます。
伊勢湾をはさんだ両県には共通の鍾馗さんも多く、
かつては海上交通による瓦運搬が行われたり、鬼師の行き来が
あったのでは?と推理していますが、今のところ証拠はなし。

【0509】田舎の素朴な親父風 つづき2010年08月19日 23時32分30秒

昨日の続きでよく似た鍾馗さんを紹介しますが、
今日登場するのは「街でよく見る」とはいかないレアものばかり。
どれも一品もの、もしくは、発見数が数体以内です。


四日市市蔵町の鍾馗さん
(四日市市蔵町)

標準タイプにそっくりですが、何故か小脇に本か弁当箱のようなものを
抱えています。何でしょうか?

甲賀市土山町大野の鍾馗さん
(甲賀市土山町大野)
滋賀県産はなんとなく「とさか」が派手なように思います。

四日市市馳出町の鍾馗さん
(四日市市馳出町)

唯一、柔和な顔つきの兄弟。

松阪市魚見町の鍾馗さん
(松阪市魚見町)

こちらの鍾馗さんも悩みがありそう。
剣は腹に。

松阪市駅部田町の鍾馗さん
(松阪市駅部田町)

顔小さめ。剣は捧げ持っていたのでしょうがLOST。
ちなみに「駅部田町」は「まえのへたちょう」と読みます。
超難読。

彦根市小野町の鍾馗さん
(彦根市小野町)

剣振り上げタイプ。
大量生産の鍾馗さんでは、欠損を防ぐために
決してこのように剣を身体から離すようなデザインはしません。

小野町は中山道に沿った小さな集落です。

津市香良洲町小松の鍾馗さん
(津市香良洲町小松)

昨日紹介した、東員町山田の鍾馗さんそっくりの、剣振り上げタイプ。

香良洲町は地図で見るとわかりますが、地理の教科書にでてきそうな
典型的な三角洲がそのまま町になっています。
(現在は津市に合併)


彦根市日夏町の鍾馗さん
(彦根市日夏町)

大棟の鬼瓦と一体となったタイプ。
欠損した剣を貧相な針金で補っています。
これでは鬼にもなめられそうですが・・

【0509】田舎の素朴な親父風2010年08月18日 23時55分37秒

【分布と記録数】 三重県(42)、滋賀県(17)、愛知県(2)、岐阜県(2)、奈良県(1)、
 合計 (64)

【リンク】 博物館・収蔵室

分布は三重県と滋賀県にほぼ限定されます。
三重県では桑名から伊勢まで広い範囲で見られ、
滋賀県では彦根、甲賀など、三重県に近い地域で見られます。

上目遣いのまなざしと、風に翻る髭がトレードマーク。

バリエーションは多く、11種類を数えています。
今日は代表的な3種を紹介します。

四日市市塩浜の鍾馗さん
(四日市市塩浜)
これが一番多いタイプで、64体のうち半分ほどはこれ。
がっしりしてます。


東員町山田の鍾馗さん
(東員町山田)
次に多いのがこれ。シンプルです。
ちょっと飾りっ気がなさすぎかも。


津市久居東鷹跡町の鍾馗さん
(津市久居東鷹跡町)
3番目に多いのがこちらです。
様式的には他とはちょっと違いますね。