果報者の鍾馗さん2013年09月14日 23時23分45秒

前回記事で紹介した、明日香村岡の鍾馗さん。

明日香村岡の鍾馗さん

2006年4月に訪問した時はこんな感じでした。
明日香村岡の鍾馗さん(2006年4月)

なんとなく見比べていたら、この七年ですいぶんきれいになっています。
おでこや肩についていた苔がきれいに取られていました。
この手の苔が少々の風雨で自然に取れるとは思えませんので、
どなたかが丁寧に取り除いたのだと思われます。
固定する針金の形がまったく変わっていないので、屋根につけたまま
作業されたみたいです。かなり苦労したのではないでしょうか。

こうして大事にしてもらっている鍾馗さんを見つけるのはとってもうれしい。



この鍾馗さんを見ていて思い出したのが下の鍾馗さん。
兵庫県加西市の旧家に保管されていたのを、
市役所の学芸員の方が見出されました。


加西市の鍾馗さん(お化粧の後)

万延元年(1860)の銘が入った、極めて立派な鍾馗さんですが、

加西市の鍾馗さん(お化粧の前)
加西市HPより画像拝借しました)

見出された時はこの状態でした。痒そう。

学芸員の萩原さんは貴重な鍾馗さんに疵をつけてはいけないと、
ピンセットでひとつずつ苔を取っていったとのことです。


まったく省みられることもなく消えていく鍾馗さんも多い中で、
こうして良い人と巡り会って大事にされる鍾馗さんは幸せです。

2013/1/19 大和八木~田原本、郡山、斑鳩(4)2013年02月02日 00時02分17秒

続きです。
一応今日で完結予定。

今日の鍾馗さんもすべて、おとんさんにご案内していただいたものです。


斑鳩町法隆寺の鍾馗さん
斑鳩町法隆寺  #467に収録予定

地名からは百人中、百人の方がかの有名な古刹を思い起こすと思いますが
実際には(お寺の)法隆寺からは北方に3kmほども離れた山中の小集落に
この鍾馗さんと次の鍾馗さんはおわします。

集落中の道一本はさんだ西側は平群町白石畑という地名になり、
連続した集落がふたつに分断されたような、どうも不自然な印象です。
なにか歴史的経緯があるのだと思いますが、知る由もありません。

お寺の境内から、少し見下ろす位置に上の鍾馗さんがあります。
見下ろすアングルは鍾馗さんの撮影ではほとんど機会がありませんが、
下から見上げるのに比べて、鍾馗さんの自然な表情をとらえることができる気がして
お気に入りです。



斑鳩町法隆寺の鍾馗さん
斑鳩町法隆寺  #286に収録予定

最初の鍾馗さんの反対側。
三段がさねの菱餅のような帽子がトレードマークです。
次の二体と合わせ安堵町、斑鳩町、川西町、大和郡山市の西端といった
ごく狭い範囲だけで八体を記録しています。


安堵町笠目の鍾馗さん
安堵町笠目  これも#286に収録予定


安堵町笠目の鍾馗さん
安堵町笠目  これまた#286に収録予定

鍾馗さんの兄弟を識別するとき、一番頼りにするのはやはり顔の第一印象で、
人間の脳は人の顔を見分ける回路が特別に発達していることを実感します。

以上三体の鍾馗さんも顔を見れば、
兄弟であることを納得いただけるのではないでしょうか。


斑鳩町目安の鍾馗さん
斑鳩町目安 #1444として収録予定

撮影条件は悪く、遠くて逆光。うつろな無表情です。


斑鳩町目安の鍾馗さん
斑鳩町目安 #1444(暫定)として収録予定

上の鍾馗さんと同じ家で上下に並んでいるのですが、
肝心のお顔が隠れてしまいました。
同じ家にあるのでとりあえず兄弟として登録しますが、身体の各部を見ても
とうてい兄弟とは思えません。
次回、顔をうまく写せたら再分類します。


斑鳩町目安の鍾馗さん
斑鳩町目安 #1445として収録予定

座っているようです。遠くからしか写せないのが残念ですが、
他に見たことのない唯一無二の鍾馗さん。


四回にわたった19日の奈良県探訪はこれで終わりです。
些細な薀蓄にお付き合いいただきありがとうございました。


2013/1/19 大和八木~田原本、郡山、斑鳩(3)2013年02月01日 00時19分39秒

続きです。 


大和郡山市郊外の古い集落を巡ります。
今回の鍾馗さんはすべておとんさんのご案内によるものです。

大和郡山市新庄町の鍾馗さん
大和郡山市新庄町 #262

"正ちゃん"#262は50体近く見つけていますが、そのほとんどが大和郡山市と
その周辺の町でしか見つからない、極端にローカルな鍾馗さんです。

大和郡山市新庄町の鍾馗さん
大和郡山市新庄町 #009

少し迷って#009に分類しました。特徴である、袴の釣り針を連ねたような模様が
この鍾馗さんには見られません。
天理市海知町の鍾馗さんには似ているのですが
他とはちょっと印象が異なるので迷うところです。

大和郡山市新庄町の鍾馗さん
大和郡山市新庄町 #1442として収録予定

狭い路地にあるので普通に行っても撮影は困難。
おとんさんが脚立を持ってきていたので、拝借しました。


大和郡山市椎木町の鍾馗さん
大和郡山市椎木町 #1443として収録予定

素朴の極みで好きな鍾馗さん。
ヒトデのようなシルエットを、決して意識して作ってはいないと思いますが。


大和郡山市椎木町の鍾馗さん
大和郡山市椎木町 #329として収録予定

金壷眼、派手に広がる顎ひげ、ぴゅっと跳ね上がった両袖、
途中で直角に曲がった腰帯と印象的な特徴が多い鍾馗さん。
これで三体目の珍しいものです。


まだ続きます。

2013/1/19 大和八木~田原本、郡山、斑鳩(2)2013年01月31日 00時54分40秒

続きです。  前の記事

ここからは田原本の寺内町にある鍾馗さんです。

田原本町の鍾馗さん

7年ぶりの再訪です。前回、正面からも撮影したのですが、遠くて曇天だったので
写真は使い物になりませんでした。超々望遠レンズの恩恵。


田原本町の鍾馗さん

こちらも再訪。名づけて「落ち武者鍾馗」

田原本町の鍾馗さん

こちらも再訪。奈良に多いライオン鍾馗の一種です。


田原本町の鍾馗さん

おとんさん発見の鍾馗さん。 #122に収録

田原本町の鍾馗さん

おとんさん発見の鍾馗さん。
まったくの新種で #1440


ここからはおとんさんの車でご案内いただいています。

田原本町千代の鍾馗さん
田原本町千代 #599収録

千代(ちしろ)は前の記事にも登場しますが、前の記事の千代とは少し離れています。
前の記事の「千代」のほうが集落としては古く、こちらの鍾馗さんのいる「千代」はその北方に新しく開かれた集落のようで、東西に細長く伸びた奈良には珍しい形をしています。

田原本町千代の鍾馗さん
田原本町千代 #257収録

#257は奈良を代表する分類泣かせの鍾馗さんで、リンク先を見ていただくと分かりますが、ちょっと同じ系統とは思えない鍾馗さんも含まれてしまっています。
分類の見直し作業を始めていますが、難航中・・


田原本町八尾の鍾馗さん
田原本町八尾 #1441

隣の家が邪魔になり、見える場所がほとんどありません。
とてもシンプルな鍾馗さんのようで、正面から見てみたいのですが難しそう。


田原本町今里の鍾馗さん
田原本町今里 #257収録

これも#257にとりあえず入れておきます。
七福神等、にぎやかに飾られたお宅にありました。



田原本町唐古の鍾馗さん
田原本町唐古  これまた#257収録
軒下でよく見えませんが・・・


まだつづきます。

2013/1/19 大和八木~田原本、郡山、斑鳩(1)2013年01月30日 19時39分33秒

1月19日は奈良の最低気温が-2.3℃と冷え込みましたが、
この時期、気温が低いのを嫌っていては冬眠状態になってしまうので、
果敢にお出かけしました。
冷え込んだ朝の町を歩くのは結構気持ちのよいものです(負け惜しみではなく)

大和八木駅を起点に下街道を北上します。
ほとんどが再訪地ですが、鍾馗さんを見落とすことには自信があるので(^^;
新しい鍾馗さんとの出会いに期待しています。

この日は途中からおとんさんに合流いただき、周辺でおとんさんが発見した鍾馗さんを案内していただいたので、大量の収穫がありました。
なるべくたくさん取り上げたいので、何回かに分けて紹介します。

橿原市小綱町の鍾馗さん
橿原市小綱町 #0298

再々訪です。初回は左側の鍾馗さんに気がつかず、二回目は夕方で逆光。
今回は目論見どおり朝日をあびています。
今は家の左右でお寺をにらんでいますが、元々は棟の両端に別れていたのでしょう。

橿原市地黄町の鍾馗さん
橿原市小綱町 #0990  に収録

小綱町では三体発見しました。以前に通ったときは一体も気づかず・・
何をしていたのだろうか?
細工の精細なこの鍾馗さんの仲間は吉野方面だけで発見しており、奈良盆地では初発見。


橿原市上品寺町の鍾馗さん
橿原市上品寺町 #1002

こちらも再訪。正面には回ることができず、逆光です。


橿原市上品寺町の鍾馗さん
橿原市上品寺町 #0237

この鍾馗さんとは三回目のご対面。
遠くの大棟にあるちいさな鍾馗さんですが、
CoolpixP510 1000mmの威力発揮といったところです。


橿原市新口町の鍾馗さん
橿原市新口町 #0847

この鍾馗さんたちとも三回目のご対面(笑)
あちこち剥落して痛々しいですが、目とか眉とか鼻まで、
粘土細工のように土台に貼り付けて作ったことが結果的によくわかります。
どちらの鍾馗さんも両頬に剥落痕があります。
頬ひげがついていたんではないかと思います。


田原本町千代の鍾馗さん
田原本町千代 #0235

7年ぶりの再訪。まずは健在でほっとしました。
鬼瓦と一体成型で、「新馗」の銘が入っています。間違えるなよ~


田原本町千代の鍾馗さん
田原本町千代 #1439

上の鍾馗さんの裏の家で発見。
新種です。元は大棟端にあったと思いますが、軒に移動して
ちょうど顔の辺りが陰になってしまい残念。



つづきは明日以降に。
 
Coming soon !  (probably・・)

【0127】らいおん鍾馗2010年08月27日 23時32分07秒

昨日の記事の集合写真では、[A]に相当する鍾馗さんです。

 従来の【0128】を統合しました。本宅博物館の更新はしばらくお待ちください。

【分布と記録数】 奈良県(69)、京都府(16)、大阪府(2)  合計 (87)
【リンク】 博物館・収蔵室(#0127) 博物館・収蔵室(#0128)


橿原市今井町の鍾馗さん
(橿原市今井)

田原本町の鍾馗さん
(田原本町)
上のふたつはほとんど違いはありません。
目立つ違いと言えば、バックルのような腰紐の結び目の形くらい。
それでもこの2種の分布域は
橿原市、天理市など、奈良盆地の東部では上のタイプ、
斑鳩町、広陵町など西部では下のタイプとくっきりと分かれています。

京田辺市田辺北里の鍾馗さん
(京田辺市田辺北里)
顔つきの印象が異なるため、従来は別種としていましたが、
今回まとめることにしました。
写真の鍾馗さんは比較的違いが分かりやすいほうですが、
中間的な特徴の鍾馗さんもいたりして、悩まされていました。

天理市櫟本町の鍾馗さん
(天理市櫟本町)
こちらは鬼を踏みつけています。

大和郡山市田中町の鍾馗さん
(大和郡山市田中町)
正面からの撮影でなく、暫定登録。

奈良市芝新屋町の鍾馗さん
(奈良市芝新屋町)

これは変り種。唯一自然な立ち姿で他と違って見えますが、
上半身だけ見れば疑いなく仲間とおもわれます。

ヤマトライオン 分類思案中2010年08月26日 23時26分57秒

奈良県を歩くと、こんな感じの鍾馗さんをよく見かけます。
橿原市今井町の鍾馗さん
(橿原市今井)

雄ライオンのたてがみのような立派な髭がチャームポイント。

ところがこの鍾馗さん、似た雰囲気のがいっぱいあり、
拙サイト「鍾馗博物館」では、9種に大別して19種の亜種を収蔵しています。

#127,#128,#230,#280,#340,#598.#599,#874.#1064

ところが自分で言うのもなんですが、この分類どうもすっきりしない。

違うよな~

例えば、この二つの鍾馗さんを #127 にまとめていますが、
ずいぶん雰囲気が違いますよね。

改めてこれらを全部見比べて再分類してみました(^^;

結果が以下です。
新分類1
新分類2
新分類3

まぁ、正解があるものでもないのですが・・
マニアックで楽しい作業ですが、疲れたので今日はここまで。

【0071】石造りまである謎の鍾馗2010年08月25日 23時20分10秒

【分布と記録数】 三重県(25)、愛知県(24)、大阪府(3)、岐阜県(2)、
           奈良県(2)、神奈川県(1)  合計 (57)
【リンク】 博物館・収蔵室

松阪市魚見町の鍾馗さん
(松阪市魚見町)
これが標準タイプ。
愛知県、三重県では各地で目にすることができます。
東海地方では他の鍾馗さんにもよくあるのですが、
釉薬のかかったカラー鍾馗さんがおおいのも特徴で、
この鍾馗さんにも、赤、青、緑、橙 といろいろ見つかっています。

三浦市三崎の鍾馗さん
(三浦市三崎)
私の知る神奈川県唯一の鍾馗さん。
三崎町の商店街を紹介するサイトで見かけてはるばる訪ねました

標準タイプに比べると、握る左手の向きが違っていて、
サイズもやや大きめだった気がします。
他では見たことがありません。

御所市御堂魚棚町の鍾馗さん
(御所市御堂魚棚町)

こちらはなんと石造。
瓦製に比べて平板な印象はやむをえないとして、
細部の特徴はまぎれもなく標準タイプと一致。

奈良県では瓦製の標準タイプは見つかっていないため、
謎だらけの鍾馗さんです。
瓦職人が石を刻むとも思えないため、
石工が瓦鍾馗をお手本に作ったのでしょうか?

【0097】端正な現代鍾馗2010年08月24日 23時37分14秒

【分布と記録数】 愛知県(42)、三重県(5)、滋賀県(4)、岐阜県(1)、
           奈良県(1)  合計 (53)
【リンク】 博物館・収蔵室

愛知県中心に東海地方に分布。

桑名市赤須賀の鍾馗さん
(桑名市赤須賀)

左足を踏み込んで力が入っています。
流れるような造形に無理はなく、作者の力量は確かです。

またこの鍾馗さんの場合、他で見られるようなこまごまとした
バリエーションは全然なく、近代的製法で作られたんでしょうね。

わがままな鍾馗探索者としては、もう少し遊んでくれると面白いのですが。

【0258】ほぼ奈良県限定の"大"ちゃん2010年08月23日 22時36分21秒

【分布と記録数】 奈良県(49)、大阪府(7)、京都府(1)  合計 (57)
【リンク】 博物館・収蔵室

大阪、京都でも少数見つけていますが、
大阪では柏原、八尾。京都では木津と奈良の隣町ばかり。
奈良県内では大和郡山市を中心として県西北部に多く見られますので
このあたりで生産されていたのだと思います。

大和郡山市小南町の鍾馗さん
(大和郡山市小南町)
これが標準タイプです。帽子に二つ並ぶ排気口のような穴がトレードマーク。


以下の鍾馗さんはトレードマークと表情で、兄弟とわかりますが、
いずれも発見は1体きりの突然変異です。

桜井市桜井の鍾馗さん
(桜井市桜井)
左手の下に銘が見えます。
へぼい写真で判読できなかったため、再訪しましたが、
家ごとなくなっていました。

柏原市本郷の鍾馗さん
(柏原市本郷)
握った拳を微妙に上げたこのポーズは類例がありません。
鬼じゃないんだからちょっと変ですね。

奈良市大柳生町の鍾馗さん
(奈良市大柳生町)

それにしてもこの帽子。ガンダムっぽくて不思議です。
何を見ての造形なんでしょう。