2014/5/17 美濃中山道 つまみ食い2014年06月02日 20時39分50秒

とってもいいお天気となった5月17日、おとんさんの掲示板で宿題になっていた
又兵衛さん発見の鵜沼の鍾馗さんを見に行ってきました。

鵜沼宿は以前に比べるとずいぶん整備されて小ぎれいな宿場町になっていて
中でも一番古く、幕末に建てられた旧家に鍾馗さんがあがっていました。

各務原市鵜沼西町の鍾馗さん

屋根の立派さに比べると小さな鍾馗さん。
掲示板には他にも何枚か写真を貼っていますので、
そちらもご覧いただければ幸いです。

その後、西へ向かい、那加から加納にかけて歩いてみましたが、
この区間では既知の鍾馗さんを数体再確認したのみ。

岐阜駅から電車を使って、養老鉄道 東赤坂駅まで移動。
次はsatopyさんが同じ掲示板で紹介されていた、昼飯町の鍾馗さんを見に行きます。

大垣市昼飯町の鍾馗さん1

なかなか力強いお姿。

大垣市昼飯町の鍾馗さん2

家の裏には兄弟も一体。

足を延ばして中山道を垂井まで歩きました。

大垣市青野町の鍾馗さん

この鍾馗さん、胴体は量産の#159と同じですが、
顔立ちはまったく違います。量産型を元に顔周りの仕上げは職人さんが
オリジナリティを発揮したのでしょうか。
ちょっと制作過程が想像しにくいこんな不思議な鍾馗さんが時々見つかるのも
醍醐味です。

この日28キロ歩いて、ここで紹介した四体以外は量産品を五体発見したのみ。
鍾馗多産地帯の関西とは違って、なかなかしんどい探索です。



2013/10/19 安八町2013年10月31日 22時47分00秒

10月も終わりです。ここのところ地元で地道に探索していました。
19日は前週に引き続き岐阜県の輪中地帯、安八町を歩いています。

朝起きると雨だったので、少しゆっくり出かけて雨が止むのを待ち、
空模様を気にしながらの探索でしたが、昼頃からは晴れてきて
結局いつものように日焼けする羽目に。

歩いたコースは図の赤い線。
安八町をほぼ一周(26km)して、地図に記載のある町内の寺院を網羅しました。

10月19日歩いたルート

例により、見つかるのは量産型ばかりでした。
近隣と同様、置かれる場所は大棟の上で
見つかった15体のうちお寺鍾馗は2体だけと少数派です、

安八町西結の鍾馗さん
安八町東結 

#0026の逆手タイプ


安八町牧の鍾馗さん
安八町牧 

#0027 型物ですが、東海地方だけで少数見られる鍾馗さん。


注連縄に抱きつく恵比寿大黒

恵比寿・大黒ですが何に抱きついているのでしょう?
しめ縄??

2011/3/20 養老・大垣2011年03月24日 22時11分48秒

なかなか探訪にでかける気になれなかったのですが、
日曜日、久しぶりに本格的探訪に行ってきました。

岐阜県養老町の北部から大垣市にかけて。
養老鉄道美濃高田駅から友江駅まで、あちらにふらふらこちらにふらふらと35km。
なまった脚が痛くなりましたが、やっぱり外を歩くのは気持ちよい。

田んぼのあぜにはタンポポやオオイヌノフグリといった草花に、つくしも沢山あたまを覗かせていて、春本番をかんじさせてくれました。


このあたりはsatopyさんが発掘した、岐阜県では随一の鍾馗分布地帯。
この日発見した鍾馗さんも40体と、期待に違わぬ成果がありました。

069比較
(左:養老町船附 右:京都市上京区椹木町通)

同じ鍾馗さん(#0069)だと思っていましたが、身体のひねり具合がだいぶ違う。
これまでにあちこちで見つけていましたが、
再点検してみたら両方のタイプがありました。
このたび晴れて別亜種として博物館収蔵しました。

大垣市内原の鍾馗さん
(大垣市内原)

大垣インターのすぐ近くで見つけたこの鍾馗さんが、今回最大の収穫。
こんな鍾馗さんが大好きです。
役者で言えば昔の大地康雄みたいな感じ。
顔がでかくてまじめくさって怒っていて、でも憎めない。

【0071】石造りまである謎の鍾馗2010年08月25日 23時20分10秒

【分布と記録数】 三重県(25)、愛知県(24)、大阪府(3)、岐阜県(2)、
           奈良県(2)、神奈川県(1)  合計 (57)
【リンク】 博物館・収蔵室

松阪市魚見町の鍾馗さん
(松阪市魚見町)
これが標準タイプ。
愛知県、三重県では各地で目にすることができます。
東海地方では他の鍾馗さんにもよくあるのですが、
釉薬のかかったカラー鍾馗さんがおおいのも特徴で、
この鍾馗さんにも、赤、青、緑、橙 といろいろ見つかっています。

三浦市三崎の鍾馗さん
(三浦市三崎)
私の知る神奈川県唯一の鍾馗さん。
三崎町の商店街を紹介するサイトで見かけてはるばる訪ねました

標準タイプに比べると、握る左手の向きが違っていて、
サイズもやや大きめだった気がします。
他では見たことがありません。

御所市御堂魚棚町の鍾馗さん
(御所市御堂魚棚町)

こちらはなんと石造。
瓦製に比べて平板な印象はやむをえないとして、
細部の特徴はまぎれもなく標準タイプと一致。

奈良県では瓦製の標準タイプは見つかっていないため、
謎だらけの鍾馗さんです。
瓦職人が石を刻むとも思えないため、
石工が瓦鍾馗をお手本に作ったのでしょうか?

【0097】端正な現代鍾馗2010年08月24日 23時37分14秒

【分布と記録数】 愛知県(42)、三重県(5)、滋賀県(4)、岐阜県(1)、
           奈良県(1)  合計 (53)
【リンク】 博物館・収蔵室

愛知県中心に東海地方に分布。

桑名市赤須賀の鍾馗さん
(桑名市赤須賀)

左足を踏み込んで力が入っています。
流れるような造形に無理はなく、作者の力量は確かです。

またこの鍾馗さんの場合、他で見られるようなこまごまとした
バリエーションは全然なく、近代的製法で作られたんでしょうね。

わがままな鍾馗探索者としては、もう少し遊んでくれると面白いのですが。

【0157】温厚な老爺風2010年08月20日 22時39分11秒

【分布と記録数】 愛知県(40)、三重県(18)、滋賀県(2)、京都府(2)、
            岐阜県(1) 合計 (63)

【リンク】 博物館・収蔵室

【0155】【0159】 とよく似ていますが、この鍾馗さんが一番柔和な印象です。
細かいバリエーションはありません。

南知多町山海の鍾馗さん
(南知多町山海)

知多半島を中心とする愛知県と三重県各地で見ることができます。
伊勢湾をはさんだ両県には共通の鍾馗さんも多く、
かつては海上交通による瓦運搬が行われたり、鬼師の行き来が
あったのでは?と推理していますが、今のところ証拠はなし。

【0509】田舎の素朴な親父風 つづき2010年08月19日 23時32分30秒

昨日の続きでよく似た鍾馗さんを紹介しますが、
今日登場するのは「街でよく見る」とはいかないレアものばかり。
どれも一品もの、もしくは、発見数が数体以内です。


四日市市蔵町の鍾馗さん
(四日市市蔵町)

標準タイプにそっくりですが、何故か小脇に本か弁当箱のようなものを
抱えています。何でしょうか?

甲賀市土山町大野の鍾馗さん
(甲賀市土山町大野)
滋賀県産はなんとなく「とさか」が派手なように思います。

四日市市馳出町の鍾馗さん
(四日市市馳出町)

唯一、柔和な顔つきの兄弟。

松阪市魚見町の鍾馗さん
(松阪市魚見町)

こちらの鍾馗さんも悩みがありそう。
剣は腹に。

松阪市駅部田町の鍾馗さん
(松阪市駅部田町)

顔小さめ。剣は捧げ持っていたのでしょうがLOST。
ちなみに「駅部田町」は「まえのへたちょう」と読みます。
超難読。

彦根市小野町の鍾馗さん
(彦根市小野町)

剣振り上げタイプ。
大量生産の鍾馗さんでは、欠損を防ぐために
決してこのように剣を身体から離すようなデザインはしません。

小野町は中山道に沿った小さな集落です。

津市香良洲町小松の鍾馗さん
(津市香良洲町小松)

昨日紹介した、東員町山田の鍾馗さんそっくりの、剣振り上げタイプ。

香良洲町は地図で見るとわかりますが、地理の教科書にでてきそうな
典型的な三角洲がそのまま町になっています。
(現在は津市に合併)


彦根市日夏町の鍾馗さん
(彦根市日夏町)

大棟の鬼瓦と一体となったタイプ。
欠損した剣を貧相な針金で補っています。
これでは鬼にもなめられそうですが・・

【0509】田舎の素朴な親父風2010年08月18日 23時55分37秒

【分布と記録数】 三重県(42)、滋賀県(17)、愛知県(2)、岐阜県(2)、奈良県(1)、
 合計 (64)

【リンク】 博物館・収蔵室

分布は三重県と滋賀県にほぼ限定されます。
三重県では桑名から伊勢まで広い範囲で見られ、
滋賀県では彦根、甲賀など、三重県に近い地域で見られます。

上目遣いのまなざしと、風に翻る髭がトレードマーク。

バリエーションは多く、11種類を数えています。
今日は代表的な3種を紹介します。

四日市市塩浜の鍾馗さん
(四日市市塩浜)
これが一番多いタイプで、64体のうち半分ほどはこれ。
がっしりしてます。


東員町山田の鍾馗さん
(東員町山田)
次に多いのがこれ。シンプルです。
ちょっと飾りっ気がなさすぎかも。


津市久居東鷹跡町の鍾馗さん
(津市久居東鷹跡町)
3番目に多いのがこちらです。
様式的には他とはちょっと違いますね。

【0099】愛知県限定 強面鍾馗2010年08月16日 22時38分56秒

【分布と記録数】 愛知県(61)、三重県(4)、岐阜県(1)、京都府(1)、静岡県(1)、
 合計 (68)

【リンク】 博物館・収蔵室

ほとんど愛知県限定の鍾馗さんで、愛知県内では広い範囲に見られますが、
近隣県ではわずかに見られるのみ。
私が見つけた、静岡県唯一(新居町)の鍾馗さんがこのタイプ。

豊田市花園町の鍾馗さん
(豊田市花園町)

ごついですね。鬼もしっぽを巻いて逃げ出しそう。

京都市下京区間之町通の鍾馗さん
(京都市下京区間之町通)

これまたこわもて。剣も大きくなってパワーアップ。

南知多町中州の白黒鍾馗さん
(南知多町中州)

白黒鍾馗。
左は上と同じ鍾馗さん。右は鬼の足をつかんでいます。

西尾市桜町の鍾馗さん
(西尾市桜町)

上右の鍾馗さんから鬼を取ると、この鍾馗さんになります。

東浦町石浜の鍾馗さん
(東浦町石浜)

これは不鮮明な写真で自信がない。上と同じかもしれませんが、
頭のシルエット、帯紐の形 など違っているように見えます。

【0077】見た目がよく似たローカル鍾馗さん達2010年08月13日 23時53分23秒

【分布と記録数】 愛知県(47)、滋賀県(29)、三重県(15)、京都府(14)、
            岐阜県(4)、奈良県(4)、大阪府(1) 合計 (114)
【リンク】 博物館・収蔵室

#0078、#0080と似ていますが、直立不動のこれらに比べ、
右足に重心を乗せ、腰をひねっているので動きがあります。

東海市高横須賀町の鍾馗さん
(東海市高横須賀町)
帯紐がクロスしているのが特徴のこのタイプは
愛知県と三重県に多く見られます。

京都市北区紫竹西南町の鍾馗さん
(京都市北区紫竹西南町)
こちらは帯紐がクロスしていません。
京都はこのタイプが主流で、愛知県にも多い。

日野町上野田の鍾馗さん
(日野町上野田)
こちらは上にそっくりですが、なぜか左手を袖の中に隠しています。
左手が脱落した型をそのまま使い続けたのかも・・
滋賀県でよく見られます。

近江八幡市北元町の鍾馗さん
(近江八幡市北元町)
この鍾馗さんも帯紐がクロスしていますが、
丸顔にぎょろ目が特徴。
滋賀県を中心に分布。

蒲郡市府相町の鍾馗さん
(蒲郡市府相町)
他に比べやや大柄で、各所の細工が細かく、
新しい鍾馗さんではないかと推測しています。
蒲郡ほか、東三河で少数を確認しています。

養老町大巻の鍾馗さん
(養老町大巻)
これはこの1体だけの突然変異。
釉薬は措くとして、各部のバランスが他と微妙に異なっています。