2012/11/3 武豊町 ― 2012年11月06日 00時25分13秒
11月3日はミニ探訪。
愛知県武豊町を1時間ほど歩きました。
JR武豊駅から名鉄上ゲ駅の間のエリアです。
ほとんどは既知のよくある鍾馗さんでしたが、
1体、この辺りだけで見つかる手びねり鍾馗さんの#003を発見。
折りしも陽が傾きかけて、上半身だけ陰になる難しい条件でしたが、
なんとか写りました。
この鍾馗さん、博物館では#003として分類している鍾馗さんで
これが10体目の発見。ひと目で兄弟とわかる、とても個性的な鍾馗さんです。
兄弟を勢ぞろいさせてみました。拡大でご覧ください。
発見日と発見場所
(上段左から)
① 2005年9月10日 武豊町
② 2007年2月10日 鈴鹿市若松西
③ 2007年7月7日 武豊町
④ 2007年7月15日 常滑市西之口
⑤ 2007年11月18日 常滑市熊野町
(下段左から)
⑥ 2008年1月26日 半田市有楽町
⑦ 2008年1月26日 武豊町東大高
⑧ 2008年3月1日 半田市有楽町
⑨ 2012年8月11日 常滑市古場町
⑩ 2012年11月3日 武豊町上ケ
素朴ながら、ポーズにも変化がつけられていてとっても楽しい。
⑧などは”見返り阿弥陀” みたいで、
鍾馗さんでこんなポーズをしているのを他に知りません。
残念ながら、①と⑥は建て替えで消滅してしまったので、現存は8体。
知多半島中央部に点在していますが、1体だけ伊勢湾をはさんだ対岸の
鈴鹿市若松で見つかっています。
伊勢湾を船に乗って運ばれていったのでしょう。
かつての海上交通の繁栄を想起させる、興味深い分布です。
鍾馗が(また)うちにやってきた♪ ― 2012年01月15日 21時46分43秒
いまさらですが、あけましておめでとうございます。
今年もマニアックでトリビアな話を展開する所存ですので、
お付き合いいただけるようでしたら
よろしくお願いします。
昨秋に続いて、我が家にまた鍾馗さんがやってきました。
ヤフオクで落札。
家庭不和を覚悟しての入札は、それだけの逸品と思ってのことです。
いい顔しているでしょう。
全体はこんな感じです。
鬼の首だけが表現されているのは信州によくあるタイプですが、
ちょっと類例が思いつきません。
この鍾馗さんには銘が入っています。
右に「明治十四年」
左は「ヒラヲ」「細工 惣治郎」 と読めます。
裏には何も書かれていませんでした。
「ヒラヲ」は「平尾」でしょうか?
奈良県広陵町や大阪府堺市美原区に平尾という
鍾馗さんも見られる古い集落がありますが、
他にもよくある地名なので特定は難しそうです。
出品者に来歴を尋ねましたが、骨董屋さんを渡り歩いていたため
どこのものかはわからないという返事でした。
ということで出所不詳ですが、
130年を経ながらどこにも欠けなどなく、
保存状態は完璧で、受け継いだ者としての責任を感じます。
鍾馗さんは25cmくらいですが、横幅は70cm以上。
やっぱり大きいなあ・・・
この鍾馗さんにふさわしい大きな家に住んでいて、
大事に揚げてくれる人はどこかにいないかな。
【追記】
「明治十四年」の文字の脇に「§」みたいな模様が入っていますが、
蛇のようです。明治十四年は巳年でした。
鍾馗がウチにやってきた♪ ― 2011年10月20日 21時56分54秒
長年鍾馗さんを追っかけているので、家にも鍾馗さんコレクションがあるのでしょうと言われることがあるのですが、実は一体も持っていませんでした。
鍾馗はお外にあってこそという思いもありますが、狭いマンション住まいの身の上で
置くところがないというのが正直なところ。
そんな家にはじめて鍾馗さんがやってきました。
ネットオークションで落札しました。
身長27cm。体重は未測定ですが、持つとずっしりと重い。
出品者の方は大阪・四天王寺の蚤の市で入手したと言うことで
残念ながら来歴はわかりません。
#116とかにちょっと似ていて、大阪系かと思いますが全然自信はない。
現在ダンボールハウスに居住中。
落ち着き場所を作ってあげないとなあ。
裏は味も素っ気もない。
【墓碑銘】失われた鍾馗さん ― 2011年01月19日 00時25分15秒
鍾馗さんは基本的には減る一方です。
再訪してなくなってしまったことを知ることはしばしばで、
なんとも寂しいものです。
ここ最近、失われたと思われる鍾馗さんを紹介いたします。
再訪してなくなってしまったことを知ることはしばしばで、
なんとも寂しいものです。
ここ最近、失われたと思われる鍾馗さんを紹介いたします。
京都市上京区六番町 【0595】
服部さんの著書でも紹介された京都には珍しい大棟の鍾馗さん。
最新ストリートビューで見ただけなのですが、なくなっています。
こちらも家の改装に合わせて取り外されてしまったのでしょうか。
服部さんの著書でも紹介された京都には珍しい大棟の鍾馗さん。
最新ストリートビューで見ただけなのですが、なくなっています。
こちらも家の改装に合わせて取り外されてしまったのでしょうか。
愛知県西尾市瓦町 【1068】
こちらの家はま新しい新築戸建て住宅に替わっていました。
鍾馗さんは影も形もありませんでした。
ほとんど省みられることもなく消えていった鍾馗さんたちへの
ささやかな手向けのつもりです。
こちらの家はま新しい新築戸建て住宅に替わっていました。
鍾馗さんは影も形もありませんでした。
ほとんど省みられることもなく消えていった鍾馗さんたちへの
ささやかな手向けのつもりです。
【予告】次は探訪地ガイド ― 2010年10月15日 22時57分31秒
【0071】石造りまである謎の鍾馗 ― 2010年08月25日 23時20分10秒
【分布と記録数】 三重県(25)、愛知県(24)、大阪府(3)、岐阜県(2)、
奈良県(2)、神奈川県(1) 合計 (57)
【リンク】 博物館・収蔵室奈良県(2)、神奈川県(1) 合計 (57)
(松阪市魚見町)
これが標準タイプ。
愛知県、三重県では各地で目にすることができます。
東海地方では他の鍾馗さんにもよくあるのですが、
釉薬のかかったカラー鍾馗さんがおおいのも特徴で、
この鍾馗さんにも、赤、青、緑、橙 といろいろ見つかっています。
これが標準タイプ。
愛知県、三重県では各地で目にすることができます。
東海地方では他の鍾馗さんにもよくあるのですが、
釉薬のかかったカラー鍾馗さんがおおいのも特徴で、
この鍾馗さんにも、赤、青、緑、橙 といろいろ見つかっています。
(三浦市三崎)
私の知る神奈川県唯一の鍾馗さん。
三崎町の商店街を紹介するサイトで見かけてはるばる訪ねました。
標準タイプに比べると、握る左手の向きが違っていて、
サイズもやや大きめだった気がします。
他では見たことがありません。
私の知る神奈川県唯一の鍾馗さん。
三崎町の商店街を紹介するサイトで見かけてはるばる訪ねました。
標準タイプに比べると、握る左手の向きが違っていて、
サイズもやや大きめだった気がします。
他では見たことがありません。
(御所市御堂魚棚町)
こちらはなんと石造。
瓦製に比べて平板な印象はやむをえないとして、
細部の特徴はまぎれもなく標準タイプと一致。
奈良県では瓦製の標準タイプは見つかっていないため、
謎だらけの鍾馗さんです。
瓦職人が石を刻むとも思えないため、
石工が瓦鍾馗をお手本に作ったのでしょうか?
【0097】端正な現代鍾馗 ― 2010年08月24日 23時37分14秒
【分布と記録数】 愛知県(42)、三重県(5)、滋賀県(4)、岐阜県(1)、
奈良県(1) 合計 (53)
【リンク】 博物館・収蔵室奈良県(1) 合計 (53)
愛知県中心に東海地方に分布。
(桑名市赤須賀)
左足を踏み込んで力が入っています。
流れるような造形に無理はなく、作者の力量は確かです。
またこの鍾馗さんの場合、他で見られるようなこまごまとした
バリエーションは全然なく、近代的製法で作られたんでしょうね。
わがままな鍾馗探索者としては、もう少し遊んでくれると面白いのですが。
【0157】温厚な老爺風 ― 2010年08月20日 22時39分11秒
【0509】田舎の素朴な親父風 つづき ― 2010年08月19日 23時32分30秒
昨日の続きでよく似た鍾馗さんを紹介しますが、
今日登場するのは「街でよく見る」とはいかないレアものばかり。
どれも一品もの、もしくは、発見数が数体以内です。
今日登場するのは「街でよく見る」とはいかないレアものばかり。
どれも一品もの、もしくは、発見数が数体以内です。
(四日市市蔵町)
標準タイプにそっくりですが、何故か小脇に本か弁当箱のようなものを
抱えています。何でしょうか?
標準タイプにそっくりですが、何故か小脇に本か弁当箱のようなものを
抱えています。何でしょうか?
(甲賀市土山町大野)
滋賀県産はなんとなく「とさか」が派手なように思います。
滋賀県産はなんとなく「とさか」が派手なように思います。
(四日市市馳出町)
唯一、柔和な顔つきの兄弟。
唯一、柔和な顔つきの兄弟。
(松阪市魚見町)
こちらの鍾馗さんも悩みがありそう。
剣は腹に。
こちらの鍾馗さんも悩みがありそう。
剣は腹に。
(松阪市駅部田町)
顔小さめ。剣は捧げ持っていたのでしょうがLOST。
ちなみに「駅部田町」は「まえのへたちょう」と読みます。
超難読。
顔小さめ。剣は捧げ持っていたのでしょうがLOST。
ちなみに「駅部田町」は「まえのへたちょう」と読みます。
超難読。
(彦根市小野町)
剣振り上げタイプ。
大量生産の鍾馗さんでは、欠損を防ぐために
決してこのように剣を身体から離すようなデザインはしません。
小野町は中山道に沿った小さな集落です。
剣振り上げタイプ。
大量生産の鍾馗さんでは、欠損を防ぐために
決してこのように剣を身体から離すようなデザインはしません。
小野町は中山道に沿った小さな集落です。
(津市香良洲町小松)
昨日紹介した、東員町山田の鍾馗さんそっくりの、剣振り上げタイプ。
香良洲町は地図で見るとわかりますが、地理の教科書にでてきそうな
典型的な三角洲がそのまま町になっています。
(現在は津市に合併)
昨日紹介した、東員町山田の鍾馗さんそっくりの、剣振り上げタイプ。
香良洲町は地図で見るとわかりますが、地理の教科書にでてきそうな
典型的な三角洲がそのまま町になっています。
(現在は津市に合併)
(彦根市日夏町)
大棟の鬼瓦と一体となったタイプ。
欠損した剣を貧相な針金で補っています。
これでは鬼にもなめられそうですが・・
大棟の鬼瓦と一体となったタイプ。
欠損した剣を貧相な針金で補っています。
これでは鬼にもなめられそうですが・・
【0509】田舎の素朴な親父風 ― 2010年08月18日 23時55分37秒
【分布と記録数】 三重県(42)、滋賀県(17)、愛知県(2)、岐阜県(2)、奈良県(1)、
合計 (64)
合計 (64)
【リンク】 博物館・収蔵室
分布は三重県と滋賀県にほぼ限定されます。
三重県では桑名から伊勢まで広い範囲で見られ、
滋賀県では彦根、甲賀など、三重県に近い地域で見られます。
上目遣いのまなざしと、風に翻る髭がトレードマーク。
バリエーションは多く、11種類を数えています。
今日は代表的な3種を紹介します。
(四日市市塩浜)
これが一番多いタイプで、64体のうち半分ほどはこれ。
がっしりしてます。
これが一番多いタイプで、64体のうち半分ほどはこれ。
がっしりしてます。
(東員町山田)
次に多いのがこれ。シンプルです。
ちょっと飾りっ気がなさすぎかも。
次に多いのがこれ。シンプルです。
ちょっと飾りっ気がなさすぎかも。
(津市久居東鷹跡町)
3番目に多いのがこちらです。
様式的には他とはちょっと違いますね。
3番目に多いのがこちらです。
様式的には他とはちょっと違いますね。