八幡系 (8) 八幡系元祖の作品?2010年09月17日 22時10分01秒


東近江市五個荘塚本町の鍾馗さん
東近江市五個荘塚本町

ちょっとこの鍾馗さんにはそぐわない、小さな公民館風建築に乗っています。

鋭い目つきがかっこいい鍾馗さんですが、
典型的八幡系というわけではありません。

先に示した八幡系の五つの特徴
1)棟端鬼瓦と一体で成形・焼成
2)棟巴瓦をまたぐように両足を広げて踏ん張っている。
3)細長い顔に、彫りが深くバタ臭い目鼻立ち。
4)七宝などの装飾文様を衣服に散らす。
5)袖や裾には装飾の細いストライプが入る。

該当するのは1)と2)だけです。
しかしこの鍾馗さん、横に回るとこんな銘が彫られています。
東近江市五個荘塚本町の鍾馗さん(銘)

AR.Drone があればもう少しきちんと撮れるかもしれませんが、
(賀)村 仁兵衛 と読めます。
もうお分かりの方もいらっしゃると思いますが、
かわらミュージアム収蔵の八幡系元祖
寺本仁兵衛 作ではないかと思われます。
もちろん代々の名乗りなので、これだけで時代はわかりません。
また、寺本家は八幡の多賀村に居を構えており、
「賀」の字は定かではありませんが、「多賀村」だといいな・・

背後の棟瓦とは色合いも異なり、別の場所から移されたのではないかと思います。

同じ建物の反対側にはもう1体。
東近江市五個荘塚本町の鍾馗さん

こちらは銘は確認できませんが、様式から見ても明らかに同一作者です。

東近江市五個荘塚本町の鍾馗さん(クローズアップ)
バストショット。
驚いたのは眼の表現。
瞳孔まで表現されていて、白目の部分には光沢があるようです。
まさか仏像みたいに玉眼を埋めたりはしないと思うので、
ここだけ釉薬を乗せたのか、はたまた磨いたのか。

いずれにせよ、並々ならぬ表現へのこだわりが感じられ、
「八幡系恐るべし」との感を深くします。


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