八幡系 (10) 八幡系の極北2010年09月20日 23時12分32秒

八幡系鍾馗といえば、高い技術を惜しげもなく駆使した
技巧派なのですが、中にはこんな八幡系も存在します。
八幡系が到達した一方の極地とでもいえましょう。

彦根市清崎町の鍾馗さん
(彦根市清崎町)

条件1)、2)に該当するので一応、私的分類では八幡系に入るのですが、
相当な異形。

最初見たときは鍾馗なのかどうかも定かでなく、
しばらくは前にたたずんで眺めていました。

彦根市清崎町の鍾馗さん(顔)
顔。人間離れしてます。
髭は八本足みたいで、本気で最初はタコだと思った。

彦根市清崎町の鍾馗さん(手)
素朴極まりない剣を持つ右手の造作。上にちんまりとあるのは肘?

先週紹介したこちらの鍾馗さんとは、比べるのが申し訳ないほどです。


それでも、形式といい、大仰なポーズといい、
作者が八幡系の基準作品を何か見て、その再現を試みたと想像します。

写真が普及する前の時代、せいぜいスケッチか、記憶だけを頼りに
工房で作った鍾馗さんは、オリジナルとは似ても似つかぬものになりましたが、
こうしてユニークな作品として結実し、100年後の物好きを喜ばせています。