浅田製瓦工場見学会2010年04月18日 23時02分01秒

工場見学会の様子をレポートします。
4月17日の見学者は9人ほど。
3代目の浅田晶久さんが説明してくれます。

まずは、瓦の用途、歴史、製法など一通りのご説明。
貴重な千三百年前の実物の平瓦も見て、触らせていただきました。

続いて工場見学。
土選びから始まって焼成まで、工程に沿って丁寧に説明していただけます。
ほとんどの瓦工場が機械化され、大量生産に変っていった中、
こちらでは手仕上げにこだわり、昔ながらの道具も活躍中。

土練
これは土練機で練った土を均一の厚さに延ばす機械。
(名前は忘れました。ごめんなさい)

作業場の梁には、いろいろな瓦の型がぶらさがっていました。
瓦用の枠

これらの型に土を乗せて整形していくのですが、
仕上げは手作業!とのこと。
微妙なカーブや肉厚の調整は職人の腕にかかっているようです。

窯の横には焼かれるのを待つ鍾馗さんの隊列
焼きを待つ鍾馗さんたち

たくさんありますね。売れているんだ。心強い。


最後は鍾馗作りの実演。

型に土をうめていく
型があるので簡単そうですが、
やはりコツが要るそうで、
素人の方が作ったものもおいてありましたが
うまく土が回らず、顔がつぶれちゃっていました。
とは言え、慣れれば難しい作業ではないそうで、
浅田さんの子供の頃の小遣い稼ぎだったそうです。

後ろが型から抜いたばかりの鍾馗さん。
手前が焼成後の完成品です。
型抜き直後と完成品
焼くとずいぶん縮みます。
条件にもよりますが、なんでも14%ほど縮むそうで、
寸法が狂ってはいけない瓦では、その計算はまさにキーポイント。
鍾馗さんは多少の誤差はOKでしょう。

 余談ですが、10年ほど前にただ1回参加した陶芸教室で
 ご飯茶わんを作ったのですが、自分にちょうどいいサイズで
 作ったつもりが、焼き上がった茶わんの小さいこと小さいこと。
 結果、ダイエットには良かったかもしれません。
 今でも愛用しています。
 素人のてびねりで分厚いので、落としても割れないんですよね(^^;)


最後に事務所に置かれている、
初代・浅田徳三郎作の鍾馗さんを見せていただきました(右の二つ)。
古い鍾馗さん

銘が入っているので初代の作品であることは間違いないものの、
工場の隅に放置されていて、既に型も失われていたものを、
三代目・晶久さんが型から復刻されたそうで、現在でも販売しています。


鍾馗さんについても興味深い話を伺うことができました。
3つほど紹介しておきます。

(1)
私が#050と分類している鍾馗さんは、
京都で一番多く見られる鍾馗さんですが
ここ浅田瓦さんでも製造販売しています。

ところがこの鍾馗さんの型は浅田瓦さんで作ったものではなく、
元々、どこかの業者が売りにきた型だそうです。
その業者さんはまだ京都に当時残っていた、
他の鍾馗を作る瓦屋さんにも同じ型を売り歩いたようで、
その結果、京都の瓦屋さんは皆この鍾馗を作るようになり、
京の町にはこの鍾馗さんがあふれたようです。
確かに、微妙に雰囲気の違う鍾馗さんをいろいろ目にします。

(2)
鍾馗の型は石膏製ですが、土とこすれて磨耗し、
大体100回くらい使用するとだめになるそうです。
同じ型でも新品と使い古しでは、
出来上がりがずいぶん違ってくるそうで、
買うなら最初の頃のもの、だそうです。

(3)
最近はマンション住まいの人などに、
部屋置きの鍾馗さんが売れるようになってきた。

う・・・・これは鍾馗を探す私のようなものにとっては由々しき事態。
しかし、核家族化が進み、地域のコミュニティが失われつつある
現代では当然の帰結なのかも。

やはり、具象的で面白いのか、見学者の方も
鍾馗の話で一番盛り上がっていたように思えました。(手前味噌かも・・)
見学会参加者でも、お二人ほど鍾馗さんを購入していった模様です。

最近、TVでもあちこちで紹介され、鍾馗の引き合いも増えているとのこと。


浅田製瓦さんのこうした取り組みに敬意を表するとともに
これからのご発展を心から祈ります。

ちなみに今後も工場見学会を開催するかも、と聞いています。
興味のある方は下記を要チェック!

浅田製瓦工場 http://asada.kyogawara.com/index.html
京瓦.com http://www.kyogawara.com/index.html