2010/4/24 加西市2010年04月26日 23時00分10秒

ときどき「鍾馗」をキーワードにググって情報を探すのですが、
2月の始めにヒットしたのが、兵庫県加西市立図書館で開催されていた
「瓦鍾馗と像形瓦展」
見たことのない鍾馗さんが出ていたようですが
残念ながら一週間ほど前に終了していました。

あきらめきれずに主催者に連絡を取ると、
出展されていた鍾馗さんの所有者に話を通して
見させていただけるとのありがたいご連絡があり、
服部さんと共に勇躍遠征してきました。

意外にもお若い(失礼!)加西市市史編集室の萩原さんと
落ち合い、さっそく旧北条町中心部の鍾馗さんツアーの始まりです。

始めは路地に置かれたこちら。
40cmを超える大きめの鍾馗さんです。
加西市北条町の鍾馗さん1
ほとんど直置きで、間近で見ることができるのはいいのですが、
誰かに蹴飛ばされたり、盗られたりしないか、
心配だなー。
所有者のお話では、姫路方面の海沿いの集落の人から
譲り受けたそうです。
そう言われてみると、こちらの鍾馗さんに似ているような。


つづいて、ほど近くにあったこちら
加西市北条町の鍾馗さん2
この日に見た鍾馗さんでは唯一、元通りの状態で
屋外に置かれたものですが、萩原さんの調査では、
元々近くの神社に向かってあがっていたものが
家の移築と共に鍾馗さんも引っ越してきたそうです。

笠のような帽子をかぶっています。
国内で現存最古の鍾馗図像「辟邪絵」(奈良国立博物館・国宝)には
笠のような帽子をかぶる鍾馗さんが描かれていますが、
瓦鍾馗でこのような帽子をかぶるものは見たことがありません。
職人さんはこういった図像を参考にして製作したのでしょうか?

次はこちら
加西市北条町の鍾馗さん3
既に二十年以上前に取り壊された家にのっていたのを、
家人が大事に保管されていたそうです。
ご覧のとおり大きく、しかも保存状態は極上。
鑿痕も鮮やかで作者の技術の高さが偲ばれる立派な鍾馗さんです。
元々間口十間もあるような豪邸の、
大棟ではなく一階の屋根にのっていたそうです。

銘として「万延元年 申八月」(1860)と記されています。
作者の名前も彫られていますが、私には読めませんでした。

萩原さんが市史編集のための資料集めに市内で
いろいろ情報収集に回っているときにこの鍾馗さんを
見せてもらって興味を持ち、他の鍾馗さんを探し歩いて
今回の展覧会につながったそうで、
このように外されて収蔵された鍾馗さんは、
通行人の我々が見つけることは不可能。
今回のご縁に感謝。


最後はこちら。
加西市北条町の鍾馗さん4
趣味の木彫りのモデルに、と京都東寺の縁日で買い求めたとのことです。
3体所蔵されている中で、こちらが珍しいもの。
これも30cm以上ある大きな鍾馗さんです。


お忙しい中、暇人に付き合ってご案内いただいた萩原さんに感謝です。

展覧会の記録はこちらに掲載されています。
加西市ホームページ
歴史に遡って詳しい記事になっていますので、ぜひご覧ください。