【0057】【0050】系 謎の右手2010年07月01日 23時13分49秒

これも【0050】の系統ですが、右手に剣はなく、
右足に重心をかけて踏み出すように動きがあります。
京都市上京区日暮通の鍾馗さん
(京都市上京区日暮通)

【分布と記録数】 京都府(20) 京都以外では見つけていません。
【整理番号】  0057WX
【リンク】 収蔵室

京都市北区平野通の鍾馗さん
(京都市北区平野通)
瞳が穿たれたタイプがよく見られます。
右手はフック船長みたいに嵌め込み用の穴になっている?

京都市上京区橋本町の鍾馗さん
(京都市上京区橋本町)
実際に金属片の剣が嵌め込まれた例。

八幡市橋本の鍾馗さん
(八幡市橋本)

唯一、剣まで作りこまれた例です。
風化が激しく、同じ鍾馗さんか断言できないのですが、
シルエットは完全一致。
右手と剣だけ後補かもしれません。

【1168】【0057】にそっくりだった2010年07月02日 22時32分05秒

今年に入って見つけた鍾馗さんで、
一見ありふれた感じですが、
どれだけ収蔵室をひっくり返しても同じものが見つからず、
新種登録。
この一体しか見つかっていません。
京都市東山区梅宮町の鍾馗さん
(京都市東山区梅宮町)
ところが、こうして【0050】つながりを改めて見ていると
昨日の【0057】と上半身は完全一致していました。
京都市北区平野通の鍾馗さん
(京都市北区平野通)

足元はずいぶん違いますが、
特徴である右手、左手の造りが一緒です。

(以下、勝手な推測です)
下半身は妙に素朴なので、
型が破損したため、下半身だけ手仕事で補ったとか・・

2010/7/3 天理~郡山2010年07月03日 23時52分42秒

ここのところ、土曜日は雨続き。
探訪は基本的に土曜日のため、フラストレーションがたまります。

先週は奈良へ向かって出かけましたが、雨が強くなったため
途中であきらめて引き返しました。

今日も予報は冴えませんが、我慢できずに出発。

天理市櫟本を起点に西へ向かい、大和郡山市の筒井あたりで折り返して
櫟本に戻る、約30kmの周回コースです。
ほとんどの町は既訪ですが、奥の深い奈良では
再訪であっても結構な出会いがあります。

現地到着と時を同じくして雨は本降りに。
今さら止める訳にもいかず歩き始めました。

久々に歩く奈良の街並みは雨に打たれて
いつもよりしっとり落ち着いた風情です。

雨と鍾馗さん

ただ、鍾馗探訪と撮影には苦労の連続。
傘でカメラをかばいながら鍾馗さんに向けますが、
不自然な格好とスローシャッターで、なかなかまともには写りません。

そのうち背中のリュックにも浸水し、
タオルもカメラも地図もみな濡れてしまいました。
ここに至って、あきらめの悪い私もとうとう断念。
最寄の近鉄平端駅で中止し、帰宅の途に付きました。

【0051】【0052】 【0050】系やや古様2010年07月04日 23時52分21秒

博物館では【0051】と【0052】を分けていますが
明確な違いはなく、ひとつにまとめるのが適当と思っています。

剣の有無や向き、表情に各種バリエーションがあります。
一見、【0050】にもよく似ていますが、共通の特徴は衣服の裾のライン。
ゆるやかに波打ち、鋭角的な【0050】との違いが明らかです。

【0051】
【分布と記録数】 京都府(4)、滋賀県(1) 合計 (5
【リンク】 収蔵室

【0052】
【分布と記録数】 京都府(37)、滋賀県(7)、大阪府(2) 合計 (46
【リンク】 収蔵室

京都市中京区二条通の鍾馗さん
(京都市中京区二条通)

草津市北山田町
(草津市北山田町)

以下、きりっとした顔の一群
京都市東山区祇園町南側の鍾馗さん
(京都市東山区祇園町南側)

京都市東山区新道通の鍾馗さん
(京都市東山区新道通)

京都市中京区西洞院通の鍾馗さん
(京都市中京区西洞院通)

交野市私部の鍾馗さん
(交野市私部)

次の2種は寝ぼけた表情
京都市東山区六波羅裏門通の鍾馗さん
(京都市東山区六波羅裏門通)

京都市東山区宮川筋の鍾馗さん
(京都市東山区宮川筋)

以下ふたつは帽子に特徴があるレアもの
城陽市寺田の鍾馗さん
(城陽市寺田)

枚方市茄子作の鍾馗さん
(枚方市茄子作)

【0054】スリムな都の住人2010年07月05日 23時08分41秒

昨日まで紹介してきた【0050】系がでっぷり太っているのに対し、
これまた京都市内でよく見かける、スリムな鍾馗さんの一群があります。
なかでもいちばん多いのがこのタイプ。
京都市上京区上御霊前通の鍾馗さん
(京都市上京区上御霊前通)

高さは20cm弱。ご覧のとおりの細身ですので、
狭い京都の町屋でも、邪魔にならないですね。

剣を下ろしたタイプもあります。
それ以外は上とまったく同じ。
京都市中京区夷川通の鍾馗さん
(京都市中京区夷川通)

【0054】
【分布と記録数】 京都府(132)、滋賀県(5) 合計 (137
【リンク】 収蔵室

京の省スペース型鍾馗さんをこの後、何種か紹介していきます。

【0053,0055,0056】京のスリム鍾馗さんをまとめて2010年07月06日 22時56分33秒

昨日の続きで、京都でよく目にする【0054】系のスリム鍾馗さんをまとめて3種。

京都市東山区六波羅裏門通の鍾馗さん
(京都市東山区六波羅裏門通)
【0055】
【分布と記録数】 京都府(3)
【リンク】 収蔵室

スリムですが両足をしっかりと踏ん張って、安定感があります。
あご髯が片方向になびいているのが特徴ですが、これはレアもの。


京都市東山区宮川筋の鍾馗さん
(京都市東山区宮川筋)
【0053】
【分布と記録数】 京都府(24)、滋賀県(2) 合計 (26
【リンク】 収蔵室

他に比べると足がたくましく長く体育会系。
腰紐の結び目は八の字に開いています。
古い型で抜いたのか、顔の表情がなんとなく
ぼんやりしている個体が多く、満足な写真がなかなか撮れない。


京都市中京区夷川通の鍾馗さん
(京都市中京区夷川通)
【0056】
【分布と記録数】 京都府(23)
【リンク】 収蔵室

裾が長く、胴長短足に見えます。
左手がかわいいんですが、欠損したり磨耗している
鍾馗さんがほとんどで、なかなか見られません。
紐の結び目は細く頼りない。


ここまで紹介してきた【0050】系・太め と 【0054】系・スリム で
洛中の鍾馗さんの半分弱に達するのではないかと思います。
京都の町なかで、その気になって鍾馗さんを探せば、
いやというほど目にすることができますよ。

でぶとやせが仲良く並んでいます。
凸凹鍾馗さん

それぞれ何番かわかりますか?

左:【0054】 右:【0050】の小振りタイプ


これらの鍾馗さんは型抜きしやすさを計算して、
剣も短め、手足や毛髪も体から大きく離れないデザインになっています。
大量生産されたであろう鍾馗さん達が続々と見つかると
正直食傷ぎみになりますが、
ブログやTVなど、一般の京都紹介で写っている鍾馗さんは
大概これらのどれかのことが多く、京都の風景を構成する
アクセントとしての役割は大きいですね。

【0135】奈良・大阪の多数派鍾馗2010年07月07日 23時39分12秒

【分布と記録数】 奈良県(102)、大阪府(87)、滋賀県(22)、京都府(17)、
           兵庫県(3)、三重県(2)、兵庫県(1) 合計 (234
【リンク】 収蔵室

奈良県と大阪府でごく普通に見られるこの鍾馗さん、二つのタイプがあります。
大阪市東住吉区北田辺の鍾馗さん
(大阪市東住吉区北田辺)
葛城市加守の鍾馗さん
(葛城市加守)

左右の髭がなびいて広がっているか否かが識別のポイントですが、
他にも違いがあちこちにあり、鬼の姿を見比べていただくと分かりますが、
下のほうがずいぶん雑な作りです。

しかも下の鍾馗さん、実際に見つかるのはこんな感じのが多い。
高取町市尾の鍾馗さん
(高取町市尾)

同じ鍾馗さんには違いないのですが、すべての線がぼやけて
鬼にいたっては、言われなければそうとは気づかないほど
ぼんやりしていてちょっとがっかりです。

おそらく、とうに耐用を過ぎた型を使い続けたのでしょうね。

【0084】不思議なHybrid2010年07月08日 23時29分45秒

明石市大久保町八木の鍾馗さん
(明石市大久保町八木)

【分布と記録数】 兵庫県(2)、奈良県(1) 合計 (3)
【整理番号】  0084DX4
【リンク】 収蔵室

この頭でっかちの鍾馗さん、
首から下は昨日紹介の【0135】とまったく同じ。
そこに【0084】の頭を継いでいます。

これらは間違いなく型で作られている鍾馗さんであり、
こんな組み合わせが存在しているのは不思議ですし、
どういう背景があるのか想像もつきませんが、それが楽しい。

【0084】安定感抜群 安産型 その①2010年07月09日 23時30分43秒

昨日のHybridと顔は同じですが、
今日紹介するのはそこらじゅうで見られる、一般的な鍾馗さん。

【分布と記録数】 京都府(66)、奈良県(52)、大阪府(15)、三重県(4)、
            滋賀県(6)、兵庫県(3)、和歌山県(1)、東京都(1) 合計 (148)
【リンク】 収蔵室

実はこの【0084】に細かいバリエーションを19種類も確認しているので、
何日かに分けて紹介します。

まずは、剣を胸の辺りに捧げ持つタイプ4種。
これらは量産型で、新しいものです。
民家の塀によく見られ、七福神と組み合わされている場合も多い。

今でもどこかで作られていると思われますが、未確認。

京都市中京区新町通の鍾馗さん
(京都市中京区新町通)

奈良県天理市石上町の鍾馗さん
(天理市石上町)

田原本町保津の鍾馗さん
(田原本町保津)

安堵町西安堵の鍾馗さん
(安堵町西安堵)

違いはこちらで確認ください。
識別のポイント

【0084】安定感抜群 安産型 その②2010年07月10日 23時44分00秒

昨日に引き続き、【0084】
今日は腰の辺りに剣を捧げ持つタイプ

京都市中京区新町通の鍾馗さん
(京都市中京区新町通)
これはあちこちで見ることができます。
ただしほとんどは京都市内。
昨日の鍾馗さんに比べると細工が緻密で、
あちらが量産タイプとすれば、これはその原型となった手作り品の趣きです。

京都市北区平野通の鍾馗さん
(京都市北区平野通)
見た目の印象は異質ですが、各部パーツは他と同じ。
10体ほど見つけています。

これ以下はいずれも1体しか見つけていない、
突然変異のような鍾馗さんたちです。


京都市北区鞍馬口通の鍾馗さん
(京都市北区鞍馬口通)
右手の位置が低いのでここに記載しましたが、
印象としては昨日のグループに属します。
ずいぶん雑な、しろうとくさい作りです。

大東市中垣内の鍾馗さん
(大東市中垣内)
これは別番号が適切かもしれません。
分類は難しい・・

大東市中垣内の鍾馗さん
(大東市中垣内)
コメントは上に同じ・・
さらに加えて写真が悪すぎ・・

京都市東山区古門前通の鍾馗さん
(京都市東山区古門前通)
2番目の鍾馗さんと同系列。
というか、頭髪部分が欠け落ちただけかもしれません。