近江系改め「八幡系」優品2009年12月31日 20時40分50秒

東近江市蛇溝町の鍾馗さん
29日の探訪では、滋賀県に特徴的なタイプの鍾馗さんが
いくつも見つかりました。
上もそのひとつ。
これらの鍾馗さんの特徴として、
大棟端の瓦と一体になって、棟をまたぐようにして足を開き
安定感のあるポーズを取っています。
また、顔は瓜実顔で眼が大きいため、歌舞伎役者が見得を切っているようです。
衣服には七宝や亀甲などの伝統文様が多用されています。
以上から、非常に技巧的で華やかな印象を受けます。
これまで『近江系』と呼んでいましたが、近江では範囲が広すぎるので
八幡系』と呼ぶことにします。

近江八幡のかわらミュージアムに八幡瓦の始祖、寺本仁兵衛作とされる
非常に立派な鍾馗さんが収蔵されており、
これらの鍾馗さんの原型になっていると思われます。

安土町西老蘇の鍾馗さん
こちらは安土町で見つけた『八幡系』の優品。
徹底的に細部にこだわった作りに圧倒されます。

安土町西老蘇の鍾馗さん
こちらもすぐ近くで見つけた『八幡系』。
こちらも並みの鍾馗さんとはまったく違う高い技術を感じますが、
上に比べると多少簡略化されています。

近江八幡、八日市を中心とした地域には
このあたりをピラミッドの頂点として、流れを受けたと思われる鍾馗さんが
あちこちで見られます。