鐘馗 撲滅キャンペーン ― 2011年10月15日 18時30分17秒
ネタに乏しいので刺激的なタイトルで勝負!というわけではありませんが・・・
(ちょっとあったりして)
困ったことがあります。
ネットの世界に「鐘馗」がはびこっているんです。
正しくは「鍾馗」。
童ではなく重。
確かに間違えやすくて筆者もどちらが正しいか、分からなくなることもありますが。
この間違いは半端じゃなく広がっていて、半分くらいの人は間違えている感じ。
これだけ間違っているところが多いと、いつの間にかそちらが正、ということにもなりかねない状況です。
言葉は生き物なので、こういう変化は付きもの、と言ってしまえばそれまでですが、
ちょっと自分は抵抗あるなぁ。
テレビ局や出版社、研究論文、鬼瓦製造業、老舗鍾馗関連サイトまで。
個人ブログならさておき、錚々たるサイトが間違えておられます。
もちろんこれは氷山の一角で
失礼かとは思いますが、今後のためにもできれば直していただきたいため
あえてリンクを掲載しておきます。
今どきの検索エンジンは賢いので、「鐘馗」で検索すると「鍾馗」もヒットしてきますが
逆はどうも苦手のようです。
せっかくの貴重な情報が、誤字でWWWの海に沈んでいってしまうのは残念です。
こちらをご覧になって気づいた方、ぜひ修正をお願いいたします。
(偉そうなことを書きましたが、自分のサイトが大丈夫か確認しないとな・・・)
【2011/10/15 追記】
松山におそらく日本で唯一の鍾馗さんを本尊とする寺、「しょうき寺」がありますが、
このお寺「鐘馗寺」と表記するのだそうです。 ひぇ~
2011/10/16 三重県菰野町周辺 ― 2011年10月17日 21時58分47秒
久しぶりのフル探訪!
取り込みがあって、7、8、9月と本格的な探訪ができませんでした。
ブログ更新も滞り、楽しみにしている方(いるのかな?)には失礼していましたが、
一息ついたため、更新頻度を上げていきますね。
この数年、週末は出かけて歩く!というのが生活パターンとして定着していたため、
いざ家に籠ってばかりの生活をするとどうにも調子が狂って、体重は増えるはどうも体調もしっくりこないはと、いいところなし。こんないい季節はやっぱりお外ですね!!
今回探訪地に選んだのは三重県菰野町。四日市の西方、鈴鹿の山々を間近に眺めるのどかなところです。
今回は電車で出かけています。行きは近鉄四日市で湯の山線中菰野駅まで、
帰りは三岐鉄道線とローカル線の旅も楽しんじゃおうと思ったのですが、
三岐鉄道は先日の台風12号で橋脚に損害があり、一部区間でバス代行輸送中。
それだけなら気楽な旅人、貴重な経験と思えるのですが、代行バスと鉄道の接続が悪くて時間がかかることかかること。帰りの所要時間は車なら1時間程度のところを3時間半かかりました。おかげでたくさん本を読むことができました。
菰野の市街地をうろうろしたあと、巡検道と呼ばれる旧街道に沿って点在する周辺の農村を縫い歩いて、いなべ市(旧北勢町)まで北上、実歩行距離は34km。
普段はなんと言うことのない距離ですが、久々の身にはちょっとつらかった。
見つかった鍾馗さんは計18体です。
菰野の中心街とその周辺集落には、お寺の周りにひとつふたつと
着実に鍾馗さんが見つかりましたが、後半はまったくの日照り状態。
いなべ市も以前に訪問したときは少数ながら見つけているので、
まったくない訳ではありませんがかなり少なくなることは確かなようです。
(菰野町池底)
#124と同一作者と思われますが、ちょっと雰囲気が違う。
#124は桑名、四日市等この付近でよく見られる量産型ですが、
これはひょっとしたら特注品かもしれません。
(菰野町吉澤)
今回、同類を4体発見。これで11体記録しました。
初めて見たのが愛知県岡崎市、2体目が亀山市だったのですが、
以降の9体は菰野町に隣接する四日市市桜周辺と、菰野町ばかり。
このあたりで作られていたものではないかと推察されます。
個体によって微妙な違いがあって、分類オタク泣かせです。
2011/10/16 三重県菰野町周辺(つづき) ― 2011年10月19日 21時51分44秒
この日、後半戦はまったく鍾馗さんを見かけることがなくなり、
途中からは青空の下、みちくさ三昧の様相となりました。
前の記事の鈴鹿の山の写真を撮ったのは菰野町竹成付近の朝明川の河原ですが、
ここに「橋」があります。今回はこの橋を渡っていきました。
橋の手前に怪しい警告標識を発見。
「出水時」って・・ 折りしも明け方まで雨が残っていたし。
わっ!やっぱり「出水」してる。
普通なら回り道して別の橋に回るところですが、
上下流どちらに行っても2~3kmは遠回り、
徒歩ですからね、ちょっとつらい。
それほど深くはなさそうだし、水はきれいそうだし渡捗決行を決定。
「通学路ではありません」 当たり前だわな(^^)
渡っている最中に記念写真。
水はひんやりとして澄んでいて、気持ちよかったです。
この付近の川は鈴鹿山脈からの水が勢いよく流れ下っているせいか、
どれもとっても清流でした。
ところでこの橋、橋桁がどうもないようです。
ということは、水は常に橋の上を流れざるをえない。
これって橋か?ただの堰じゃん!
あとで少し調べてみたところ、
このあたりの朝明川は水の少ない時は伏流水となって涸上がるそうなので、
そのときには橋として機能するようです。
私が渡っている間に2台の車を見ました。
初めの一台は手前まで来て、おじけづいたのか引き返していきましたが
2台目の軽自動車はそのまま行ってしまいました。
地元の車なんでしょうが大胆だなあ。
表示されないのですが、Mapfanでは表示されます。
近道を探していて、Mapfanを参考にルート決定していたのですが、
この橋はやっぱり地図に掲載すべきではないですよね。
国土地理院のように、堰表示が妥当だと思います。
でも楽しかった。
パノラマ写真
以前、「洗い越し」というのを記事にしたことがありますが、
今回の潜水橋のインパクトはすごかったので、長い記事になりました。
みちくさついでにもう少し。
伊勢治田駅に近い、いなべ市北勢町麓村の青川沿いの桜並木で
軒並み狂い咲き。大部分の木が数輪の花を咲かせていました。
四季桜ではなさそうでした。
帰りに乗った北勢鉄道の切符はなんと硬券。
分厚いこの手触り、いったい何年ぶりだろう。
ただし、途中の朝明川橋梁が先日の台風12号で損傷し、現在その区間は
バス代行輸送中。これもいい経験でしたが連絡が悪くて大変。
近鉄冨田に出るまで、二時間近くかかりました。
鍾馗がウチにやってきた♪ ― 2011年10月20日 21時56分54秒
長年鍾馗さんを追っかけているので、家にも鍾馗さんコレクションがあるのでしょうと言われることがあるのですが、実は一体も持っていませんでした。
鍾馗はお外にあってこそという思いもありますが、狭いマンション住まいの身の上で
置くところがないというのが正直なところ。
そんな家にはじめて鍾馗さんがやってきました。
ネットオークションで落札しました。
身長27cm。体重は未測定ですが、持つとずっしりと重い。
出品者の方は大阪・四天王寺の蚤の市で入手したと言うことで
残念ながら来歴はわかりません。
#116とかにちょっと似ていて、大阪系かと思いますが全然自信はない。
現在ダンボールハウスに居住中。
落ち着き場所を作ってあげないとなあ。
裏は味も素っ気もない。
2011/10/22 西尾市吉良町吉国 ― 2011年10月22日 23時23分36秒
愛知県は今日は終日雨の予報で、
せっかくの週末も自宅待機でしたが、
予報に反して朝しばらく降った後は
ほぼ上がってしまいました。
でもいつ降りだすか判らない中、歩きに行くわけにもいかず、
少し前に見つけた鍾馗さんを車で撮影に行くことにしました。
見つけたときは車で通りすがりに一瞬見ただけだったのですが、
一見して並みの鍾馗さんではないとわかったので、
約40分の道のりを、この鍾馗さんのためだけに出かけました。
収蔵室#239の仲間でした。
左から、常滑市小倉町、知多市日長、東海市養父町
以上が#239のすべてで、今回が4体目の発見です。
表情や細部の特徴から、一見して仲間であることがわかりますが、
どれも非常に繊細な作りで、1体づつ手作りされたことは間違いありません。
さらに今回の鍾馗さんを見ていて、従来#1008として分類していた鍾馗さんたちも
同じ作者の手になるような気がしてきました。
いかがでしょう。
今回発見の鍾馗さんを間にはさむと、つながるような気がしませんか?
いずれも愛知県知多地域と西三河だけで見つかっています。
愛知県は他府県に比べ、量産品の割合が高いだけに
こうした手作りの鍾馗さんは貴重です。
2011/10/23 岡崎 ― 2011年10月23日 17時46分49秒
二週続けて週末の天気に恵まれない中、降雨ノーゲームになっても
ショックの少ない、近場の岡崎市内を歩きました。
空は時々黒い雲に覆われ不穏でしたが、ほとんど降られることはなく、
なんとか探索完了しました。
岡崎は徳川以来の歴史ある街道町かつ城下町で、町場の規模も大きいのですが
残念ながら大規模な空襲を受けて壊滅し、古民家はまさに「点在」といった感じで
ところどころに残るだけ。
戦後も発展を続けたため、その後も家々の更新は進んでいます。
そういった訳で鍾馗さんを探索するにはまったく捉えどころがない町並みで、
広い割にはポイントが散在していて難易度が高く、もうひとつ気乗りがしないのです。
これまでも何度か試みていますが、成果もやはり今ひとつでした。
今回は市街地の北側の丘陵地周辺に点在する寺院を結んで一回りしてみました。
お寺の周りの家も多くは最近の建物になっていますが、ところどころ戦前から?
と思われる古い建物が交じります。
そうしたお宅を中心にチェックしていくと、
宝福寺の門前で1体発見。
棟瓦と一体になった手びねり!
和風の衣装を身に着け、顔つきに憤怒相のまるでない、風変わりな鍾馗さんでした。
さらに山手に行った崇源寺の前ではこちらを発見。
50cmくらいはありそうな堂々たる鍾馗さんです。
鬼は三本指なんですね。
(推測ながら)昭和初期頃に建てられたと思われるお屋敷で
瓦とも調和しているので、その頃の鬼師による特注品と思われます。
岡崎市は全体に鍾馗さんは多くはないものの、広い市街地のあちこちに
まだこうした鍾馗さんが隠れている可能性があると思います。
「お寺鍾馗」率ランキング(1)都府県別 ― 2011年10月24日 21時23分21秒
これでもか!というマニアックな分析を披露します(^^;
当ブログの読者であれば「お寺鍾馗」という意味わかりますよね。
都道府県別に、また市町村別に「お寺鍾馗」の割合を調べてみました。
もちろん私が記録した範囲での数字です。
まずは都府県別のランキング。
お寺鍾馗の数/全体の数 お寺鍾馗の割合
1.滋賀県 788/ 923 85.4%
2. 兵庫県 72/ 90 80.0%
3. 奈良県 626/ 898 69.7%
4. 大阪府 492/ 785 62.7%
5. 三重県 454/ 779 58.3%
6. 岐阜県 43/ 209 20.6%
7. 京都府 252/1507 16.7%
8. 愛知県 231/1822 12.7%
9. 和歌山県 2/ 27 7.4%
10.埼玉県 0/ 18 0.0%
10.長野県 0/ 52 0.0%
10.東京都 0/ 10 0.0%
全国 2961/ 7125 41.6%
1.滋賀県 788/ 923 85.4%
2. 兵庫県 72/ 90 80.0%
3. 奈良県 626/ 898 69.7%
4. 大阪府 492/ 785 62.7%
5. 三重県 454/ 779 58.3%
6. 岐阜県 43/ 209 20.6%
7. 京都府 252/1507 16.7%
8. 愛知県 231/1822 12.7%
9. 和歌山県 2/ 27 7.4%
10.埼玉県 0/ 18 0.0%
10.長野県 0/ 52 0.0%
10.東京都 0/ 10 0.0%
全国 2961/ 7125 41.6%
鍾馗さんの本場、関西各県が上位を占めて、東に行くと低くなります。
関西では「お寺鍾馗」が多数派ですが、東海地方では少数派となり、
東日本ではまったく見つかっていません。
京都府の場合はちょっと特殊で、京都市内とそれ以外ではまったく別の傾向を示します。
京都市内 85/ 1293 6.6%
それ以外 167/ 214 78.0%
それ以外 167/ 214 78.0%
市外の割合は周辺の関西各地と同様、「お寺鍾馗」が多数派ですが、
京都市内にはほとんど「お寺鍾馗」がないことがよくわかりますね。
京都市だけが、鍾馗さんをあげるにあたって
他地域とはまったく違う理由であげていることが想像できます。
「お寺鍾馗」率ランキング(2) 市町村編 ― 2011年10月26日 23時56分47秒
引き続き「お寺鍾馗」の分布について。
まずは、比率の高い市町村トップ10.
ただし、発見数が10体未満の自治体は除いてあります。
お寺鍾馗の数/全体の数 お寺鍾馗の割合
1.滋賀県
竜王町 58/ 58 100.0%
1.奈良県 河合町 28/ 28 100.0%
1.大阪府 箕面市 24/ 24 100.0%
1.兵庫県 太子町 12/ 12 100.0%
5.滋賀県 愛荘町 20/ 21 95.2%
6.滋賀県 安土町 34/ 36 94.4%
7.京都府 井手町 15/ 16 93.8%
8.大阪府 枚方市 38/ 41 92.7%
9.滋賀県 東近江市 208/ 226 92.0%
10.滋賀県 日野町 32/ 35 91.4%
10.滋賀県 彦根市 32/ 35 91.4%
1.奈良県 河合町 28/ 28 100.0%
1.大阪府 箕面市 24/ 24 100.0%
1.兵庫県 太子町 12/ 12 100.0%
5.滋賀県 愛荘町 20/ 21 95.2%
6.滋賀県 安土町 34/ 36 94.4%
7.京都府 井手町 15/ 16 93.8%
8.大阪府 枚方市 38/ 41 92.7%
9.滋賀県 東近江市 208/ 226 92.0%
10.滋賀県 日野町 32/ 35 91.4%
10.滋賀県 彦根市 32/ 35 91.4%
ご覧の通り、滋賀県の健闘が目立ちますね。
逆に比率が低いのは、
お寺鍾馗の数/全体の数 お寺鍾馗の割合
1.愛知県
碧南市 0/ 41 0%
1.長野県
安曇野市
0/ 27 0%
1.愛知県 一宮市 0/ 12 0%
1.岐阜県
山県市 0/ 11 0%
8.愛知県
阿久比町
1/ 26 3.8%
9.愛知県
高浜市 2/ 34 5.9%
10.愛知県
知立市 4/ 61 6.6%
こちらは愛知県が健闘?
愛知県でよく見るのは、お寺の前の家なのに
お寺に背を向けるように揚げられた鍾馗さん。
伝言ゲームのように、ところ変われば鍾馗さんに祈ることも
変わっていくのですね。