八幡系 (23) 和風八幡系 ― 2010年10月13日 23時33分37秒
棟端瓦一体成形、巴瓦またぎと八幡系の条件を満たしていますが、
顔にバタ臭さはありません。
顔にバタ臭さはありません。
(東近江市能登川町躰光寺)
見ものは背景。棟端瓦の空白部分に松の木の線刻です。
道教の神様である鍾馗さんも、松の木を配すると和風に見えてきますね。
松をあしらう鍾馗さんは、これまで今日紹介する二体を見つけたのみ。
見ものは背景。棟端瓦の空白部分に松の木の線刻です。
道教の神様である鍾馗さんも、松の木を配すると和風に見えてきますね。
松をあしらう鍾馗さんは、これまで今日紹介する二体を見つけたのみ。
(野洲市北)
これも同一作者でしょう。
こちらは松を立体的にしつらえています。
これも同一作者でしょう。
こちらは松を立体的にしつらえています。
(東近江市五個荘簗瀬町)
こちらには背景が描かれていませんが、
顔の作りやポーズから、同一作者の可能性があります。
こちらには背景が描かれていませんが、
顔の作りやポーズから、同一作者の可能性があります。
(東近江市五個荘塚本町)
八幡系 (22) 日野町のいとこ ― 2010年10月12日 23時30分05秒
日野町付近だけで見られる一群の鍾馗さんです。
(東近江市高木町)
こちらはまだ「八幡系」らしい雰囲気を持っています。
こちらはまだ「八幡系」らしい雰囲気を持っています。
(日野町内池)
上とよく似たこっちになると、「八幡系」というのはちと苦しい。
上とよく似たこっちになると、「八幡系」というのはちと苦しい。
(日野町清田)
この鍾馗さんになると・・・
上の2体と共通のぬるっとした雰囲気を持っているので、
博物館には#0898としてまとめていますが、
下のような鍾馗さんと同じ「八幡系」系列とは、
ふたつ見比べただけでは信じられません。
この鍾馗さんになると・・・
上の2体と共通のぬるっとした雰囲気を持っているので、
博物館には#0898としてまとめていますが、
下のような鍾馗さんと同じ「八幡系」系列とは、
ふたつ見比べただけでは信じられません。
一昨日掲載のような、八幡系末裔を見た日野の地場の瓦職人が
見よう見まねで作った鍾馗さんではなかろうかと推測します。
見よう見まねで作った鍾馗さんではなかろうかと推測します。
八幡系 (21) 末裔の兄弟たち ― 2010年10月10日 23時20分33秒
八幡系 (20) 量販された末弟 ― 2010年10月09日 23時35分41秒
(竜王町山之上) 髭の毛彫り:ほとんどない
この鍾馗さんも典型的な八幡系の特徴を備えていますが、
量産型で、これまで20体以上を発見しています。
もちろん型で作られていると思われます。
最後の仕上げのへら跡の違いで、
下のような微妙なバリエーションが
いろいろありますが、まあ、誤差の範囲です。
この鍾馗さんも典型的な八幡系の特徴を備えていますが、
量産型で、これまで20体以上を発見しています。
もちろん型で作られていると思われます。
最後の仕上げのへら跡の違いで、
下のような微妙なバリエーションが
いろいろありますが、まあ、誤差の範囲です。
(竜王町山之上) 髭の毛彫り:細かい
(近江八幡市上田町) 髭の毛彫り:中間
せっかく巴瓦をまたげるよう、くぼみが作ってあるのですが、
他の八幡系のように大棟端の鬼瓦として置かれているものは
あまりなく、3体ほど見ただけ。他は上ののように
棟や軒に普通に置かれています。
せっかく巴瓦をまたげるよう、くぼみが作ってあるのですが、
他の八幡系のように大棟端の鬼瓦として置かれているものは
あまりなく、3体ほど見ただけ。他は上ののように
棟や軒に普通に置かれています。
(東近江市五個荘塚本町)
珍しく棟端に置かれたケースを見てみると・・
巴瓦のサイズに対して小さすぎて、収まりが悪いですね。
原型作成者の設計ミスだな(^^;
珍しく棟端に置かれたケースを見てみると・・
巴瓦のサイズに対して小さすぎて、収まりが悪いですね。
原型作成者の設計ミスだな(^^;
八幡系 (19) なごみ系 ― 2010年10月08日 23時49分39秒
八幡系 (19) 普及版といっぴん物の違い ― 2010年10月07日 23時02分49秒
(東近江市蒲生堂)
八幡系の5つの特徴をすべて備えています。
ところが、全体から受ける印象は、なんとなくぼんやりして頼りない印象です。
比較対象として、優品のこちらと比べてみることにします。
八幡系の5つの特徴をすべて備えています。
ところが、全体から受ける印象は、なんとなくぼんやりして頼りない印象です。
比較対象として、優品のこちらと比べてみることにします。
(東近江市綺田)
左足部のアップで比べてみましょう。
左が綺田、右が蒲生堂
左が綺田、右が蒲生堂
デザインは酷似していますが、違いは一目瞭然ですね。
エッジがシャープな綺田に対し、蒲生堂のほうはもやもやしています。
おそらく綺田のほうは職人の手作りで、へらで丹念に造形されたものですが、
蒲生堂のほうは型抜きで作られたものでしょう。
細工が細かければ細かいほど、どうしても角をくっきり出すのは
限度があるようです。
同じ鍾馗さんを東近江市内でもう1体見つけていて、
このことも型で作られていることを示唆する傍証です。
(東近江市下麻生町)
これだけで見れば十分上等な鍾馗さんなのですが、
仲間のレベルが高いので、大変です。
これだけで見れば十分上等な鍾馗さんなのですが、
仲間のレベルが高いので、大変です。
八幡系 (18) ぎりぎり八幡系(^^; ― 2010年10月06日 23時20分30秒
(愛荘町平居)
これが八幡系?という鍾馗さんで、管理人にも迷いがあります(^^;
改めて、勝手に決めた八幡系の特色(2個以上該当なら認定)
1)棟端鬼瓦と一体で成形・焼成
2)棟巴瓦をまたぐように両足を広げて踏ん張っている。
3)細長い顔に、彫りが深くバタ臭い目鼻立ち。
4)七宝などの装飾文様を衣服に散らす。
5)袖や裾には装飾の細いストライプが入る。
3)と5)にかろうじて該当かなぁ?
頬の垂れ方は八幡系ならではの特徴です。
型抜きではない、一点ものの鍾馗さんのようです。
決して寺本家で修行したような正統派ではないと思いますが、
少なくとも八幡系の類例を目にして、
製作の参考にしたのではないかと推測します。
これが八幡系?という鍾馗さんで、管理人にも迷いがあります(^^;
改めて、勝手に決めた八幡系の特色(2個以上該当なら認定)
1)棟端鬼瓦と一体で成形・焼成
2)棟巴瓦をまたぐように両足を広げて踏ん張っている。
3)細長い顔に、彫りが深くバタ臭い目鼻立ち。
4)七宝などの装飾文様を衣服に散らす。
5)袖や裾には装飾の細いストライプが入る。
3)と5)にかろうじて該当かなぁ?
頬の垂れ方は八幡系ならではの特徴です。
型抜きではない、一点ものの鍾馗さんのようです。
決して寺本家で修行したような正統派ではないと思いますが、
少なくとも八幡系の類例を目にして、
製作の参考にしたのではないかと推測します。
技巧を凝らした八幡系のような鍾馗さんだけでなく、
こんな素人っぽいものが存在することも鍾馗遍路の醍醐味です。
こんな素人っぽいものが存在することも鍾馗遍路の醍醐味です。
八幡系 (17) 湖西唯一の発見例 ― 2010年10月05日 23時09分31秒
八幡系鍾馗さんはほとんどが近江八幡市、東近江市を中心とした
湖東地方に集中しています。
湖東地方に集中しています。
(八幡系鍾馗さんの分布)
これまで唯一、琵琶湖西岸で見つけたのがこの鍾馗さん。
これまで唯一、琵琶湖西岸で見つけたのがこの鍾馗さん。
(大津市和邇北浜-旧志賀町)
残念ながら正面からの撮影は不可能でしたが、
同じ鍾馗さんを別の場所で、1体見つけています。
残念ながら正面からの撮影は不可能でしたが、
同じ鍾馗さんを別の場所で、1体見つけています。
(近江八幡市船木町)
細長い顔にぎょろ目、垂れたような頬、逆立つ鬢と、
表情に八幡系の特徴を色濃く示しています。
左手で右袖をつかんでいたりと、手にも表情があります。
あぐらをかいて悠然と座っています。
八幡系では座った鍾馗さんがよくあるのですが、
一般には座った鍾馗さんはかなり珍しいもので、これも八幡系の特徴と言えます。
細長い顔にぎょろ目、垂れたような頬、逆立つ鬢と、
表情に八幡系の特徴を色濃く示しています。
左手で右袖をつかんでいたりと、手にも表情があります。
あぐらをかいて悠然と座っています。
八幡系では座った鍾馗さんがよくあるのですが、
一般には座った鍾馗さんはかなり珍しいもので、これも八幡系の特徴と言えます。
地図で見ると、西岸とは言えこのあたりの琵琶湖はごく狭く、
小舟でも、渡るのにはさして時間はかからないでしょう。
もっと西岸で八幡系が見つかってもいいように思うのですが、
かつての瓦屋の商圏は小規模だったんでしょうね。
小舟でも、渡るのにはさして時間はかからないでしょう。
もっと西岸で八幡系が見つかってもいいように思うのですが、
かつての瓦屋の商圏は小規模だったんでしょうね。
八幡系 (16) 量産化への流れ ― 2010年10月04日 23時36分01秒
(東近江市鈴)
ご覧のとおり、八幡系のお約束を守った鍾馗さんです。
ただ、本流八幡系と比べると、なんとなくライトな仕上がり。
衣服の文様も簡素化されているし、鬼瓦の地も無地ですが、
本流だったらこのスペースはきっと何かで埋め尽くしそうな気がします。
同日に近所でまったく同じ鍾馗さんを発見しました。
(東近江市宮川)
ということは、この鍾馗さんは型で作られて、
量産を意識した製品ということになり、
そういう目で見てみれば、極端な突起物がなく、
型抜きのしやすさを考えた形状になっています。
ということは、この鍾馗さんは型で作られて、
量産を意識した製品ということになり、
そういう目で見てみれば、極端な突起物がなく、
型抜きのしやすさを考えた形状になっています。
はじめの鍾馗さんを左側から見たところですが、
片側の鬢は枠から飛び出してしまうので省略されています。
八幡系も一般民家の需要が増えるにつれ、こういった普及版が
作られるようになっていったのではないかと推測されます。
本流のような豪華鍾馗さんはお値段もそれなりに張ったと思われますし、
庶民の家にはちょっと似合わないですからね。
実際に分布地で見られる八幡系の多くは、そうした量産タイプですが、
それぞれ八幡系の特徴をとどめています。