2012/6/23 笠寺 ― 2012年07月09日 21時51分44秒
鍾馗友達のおとんさんから届いたメールに、おとんさんの友人ayaさんが
笠寺(名古屋市南区)で発見した鍾馗さんの写真が添えられていました。
見たことのない鍾馗さんでしたし、今にも取り壊されそうな危うい風情を見て
さっそくフォローにでかけました。
笠寺は名古屋の南東部に位置し、尾張四観音のひとつ笠寺観音が有名です。
台地状になっていて古くから人が居住していたと思われ、
町の真ん中を東海道が通っています。
幸い戦災を免れ、徐々に更新が進んでいるものの細く曲がった道路沿いには
古い民家もまだまだ残されています。
名古屋市内では珍しく鍾馗さんが数多く残っており、
これまで3回探訪してたくさん見つけていますが、
愛知県の場合お寺鍾馗は少なくどこに鍾馗さんが隠れているか分からないので、
まだまだ探し漏れはありそうです。
今回、集落の中心(と思われる)笠寺町の西側、戸部町、松城町あたりを探してみたところ、予想以上に珍しい鍾馗さんが見つかりました。
①戸部町
②松城町
③松城町
以上はいずれも大高から笠寺にかけてだけ見られる素朴な鍾馗さん(#387)と
同一作者じゃないかと思います。
④粕畠町
これはこの辺りや京都でもよく見られる既製品の鍾馗さんですが、
通常のとはプロポーションがちょっと違う亜種(#157)
⑤笠寺町
Ayaさん発見。
瓦を背負っているのは初めからのことではないでしょう。
近所の鍾馗さんとは全然違っていて類例なし。(#1404)
以降は既知の鍾馗さんです。
⑥笠寺町
2007年5月撮影
ごらんの通りの力作。愛知県を代表する鍾馗さんと言ってもいいかも。(#771)
⑦笠寺町
2007年5月撮影
これも#387の仲間。
いかつい姿ですが上目遣いの表情がかわいいですね。
⑧笠寺町
2008年1月撮影
この鍾馗さんは残念ながら建替えで失われてしまいました。(#896)
⑨笠寺町
2010年3月撮影
目立たないところにあります。ちょっとかわいそうな状況。(#1178)
⑩松城町
2008年1月撮影
への字の口に反り返った口髭。りりしい。(#897)
2012/6/30,7/8 常滑市、知多市 ― 2012年07月11日 00時01分06秒
暑くなってきました。
ロングウォークはちょっとつらいですが、
今日この瞬間にもどこかの鍾馗さんが家と共に消えていると思うと
へこたれてはいられません(笑)
時間も限られていたので二回に分けて、知多半島は常滑市、知多市の市境付近を
訪ね歩いてきました。
大野、新舞子あたりです。
このブログの読者の方ならご存知と思いますが、
知多半島は鍾馗さんの大分布地です。
古い町はほとんどが海岸沿いに連なっており、
いっぽう内陸部は丘陵地になっていて平地に乏しく、
愛知用水開通までは水が得られにくいこともあってか、
ほとんど集落がありませんでした。
そのため鍾馗さんの分布は半島の輪郭線に沿っており、
内陸部にはほとんど見られません。
今回訪れたのは知多半島には珍しく、海岸線から少し離れた内陸の古い集落。
この辺りは少し平らになっています。
大野町から内側に入った、小倉町、金山、久米、矢田、大興寺、南粕谷本町といった
町です。
常滑市小倉町 (#1405)
大野町、小倉町には他にも珍しい鍾馗さんがたくさん見つかります。
こちらの記事(2010年11月2日)もご覧ください。
常滑市金山 (#022)
常滑市矢田 (#878)
知多市大興寺 (#1406)
広い前庭をはさんで遠かったので庭に入り、
家の中には家人の気配があったので声を掛けました。
ところが何度呼んでも炊事の音に遮られて聞こえないのか反応がなく、
私は玄関で立ち往生してしまいました。
仕方なくちゃちゃっと写真を撮って退散しましたが、動揺してブレてしまいました(^^;
知多市金沢 (#1407)
釉薬がかかっているので表情は不明瞭です。
実際にはこんな感じで並んでいました。裏にももう1体同じ鍾馗さんがいます。
そして、同じお宅にもう1体。
知多市金沢 (#1408)
素朴すぎてちょっと恐い。髭はいったいどこへ??
というよりこれって鍾馗か?
一見弱そうですが、すごい霊力を持っていそうな鍾馗さん?です。
二日とも二時間ちょっと、10km程度の探索でしたが、
それぞれで40体近くの鍾馗さんを発見しました。
矢田、大興寺あたりは『鍾馗の郷』といっても良いくらいの充実ぶりでした。
このあたりはお寺鍾馗は少なく、どこに鍾馗さんがいるかわかりません。
まだまだ探せば見つかりそうです。
2012/7/14 知多市岡田 ― 2012年07月15日 23時30分25秒
三週連続で知多半島へ。
なかなか遠出の準備をする時間がなかったり、なんやかんやでお手軽なところへ出かけていることもありますが、思いのほか近場の魅力を再発見しています。
奈良方面では基本的にお寺の周辺で注意力を高めていればいいのですが
愛知県はあらゆるところに鍾馗さんがいる可能性があるので気が抜けません。
京都もいろんなところに鍾馗さんがいますが、置かれる場所は基本的に小屋根の上ばかりなので上から下まできょろきょろする必要はない。ところが愛知県は大棟の上が主流で、知多半島に限っては軒にも結構あるからややこしい。
町を歩いている間は片時たりとも気が抜けない、というのはちょっと大げさですが、
とにかく見つかる数が多いので、珍しい鍾馗さんは少なくても結構充実感があるのです。
今回歩いたのは知多市岡田地区。
内陸の町で江戸~明治にかけて木綿で栄えた町並みが残り、当時の繁栄を偲ばせるお屋敷が何軒も残っています。
町は低い丘に挟まれた狭い平地が中心ですが、そこからはみ出て丘のほうまで広がっています。
そのため道は坂に沿って曲がりくねり、地図なしではすぐに迷子になりそうな
起伏と変化に富んだ町並みです。
蒸し暑かったこの日、この町だけに絞って一時間ほど歩き回って
見つけた鍾馗さんは25体。
メインの通りには思ったほどないのですが、細道に入り込むとあっちこっちに鍾馗さんが見つかります。
壊れて顔だけになったのではなくて、はじめから面のように作られたように見えます。
たくさん鍾馗さんを見てきましたが、こんなのは初めてです。
暑さにめげて、1時間ほどで切り上げましたが町はまだまだ丘の上の方までひろがっているようで、今回は25体でしたがまだまだ探せば見つかりそうです。
どこに隠れているかわからない、宝探し気分を満喫できるオススメの探訪地!
P.S.
記事作成にあたり、以前に訪問したときの写真を見返していて面白いことに気がつきました。
これは町並み裏の高台から昨日撮影。
食料品店の屋上の3方向に鍾馗さんがのっています(矢印)
こちらは2004年10月22日撮影
右の鍾馗さんはいるけれど、手前と奥には鍾馗さんがいない。
奥の矢印のところ、壁の内側には鍾馗さん??という影。
手前の黒くて丸い物体はなんだろう?
さらに左端にはなにか作業をする人が。
ひょっとして鍾馗さん設置中??
2012/7/22 有松・鳴海 ― 2012年07月23日 23時24分46秒
ここのところ近場ばかりですが、名古屋市緑区の有松、鳴海を
歩いてきました。両方合わせて1時間ちょっとのミニ探訪です。
#387 鳴海町
この鍾馗さんは健在を再確認。
先日笠寺を歩いた際に兄弟がたくさん見つかりました。
#665 有松町
今回発見。
怖い顔をして睨んでいますね。
#665 鳴海町にあった鍾馗さんですが、2008年には家が取り壊されて
駐車場になってしまい、この鍾馗さんも失われました。
今回見つかった鍾馗さんとは表情や、
細部(裾の翻り、靴の形、衣服に捺された三つ輪模様)に
共通点が多いですね。
この鍾馗さんと、三重県北部で見つかった左の二体を
同一種として分類していました。
左二つが同一作者なのは間違いないところですが、
右の一体に比べると細部がシンプルで、
左二つと右のひとつはちょっと違う感じですね。
ところが間に今回見つかった一体をはさんでみると
うまくはまって、やっぱり同系統の鍾馗さんであることが、
わかるような気がしますが、いかがでしょうか?
こういう鍾馗さんの発見を管理人は勝手に
「Missing Linkの発見」と呼んでひとり悦に入っています・・
ちょっとした変更のお知らせ ― 2012年07月24日 23時55分55秒
右のツールバーの『検索』に
『鍾馗博物館』検索ボタンを追加しました。
よろしければお使いください。
当ブログと博物館をまとめて検索できるといいのですが、
どうすればいいのかまだわかりません。
(予告)朝日新聞で紹介されます ― 2012年07月30日 21時31分05秒
8月1日(水) 朝日新聞関西版 夕刊で紹介されます!
「ますます勝手に関西遺産」という連載企画、
記者さんの勝手な認定ですが(^^;
鍾馗さんが関西の『遺産』に選ばれることになりました。
光栄ですね。
どんな記事に仕上がったのか、楽しみです。
愛知在住の管理人は例によってリアルタイムでは見ることができませんが
関西地方在住の皆さま、ぜひお見逃しなく!
2012/7/28 知多市日長 ― 2012年07月31日 23時32分57秒
暑い日が続きます。
さすがに朝から一日歩き続ける自信はなく、近場でちょろちょろしています。
またまた知多半島。常滑市西之口と知多市日長を歩いてきました。
どちらも海岸からは少し入ったところにあり、純然たる農村集落のようです。
日射しは凶暴で、狭い路地の日陰がありがたい。
西之口は二度目の訪問。前回はお寺をたどって通過しただけでしたので
今回は丹念に路地まで歩いてみました。
15体ほど新しく見つけましたが、新たに珍しい鍾馗さんは見つかりませんでした。
日長は三回目の訪問。
量産品が大部分を占める愛知県にあって、
ここは手作りの鍾馗さんがたくさん見つかるとっても興味深い町です。
そして今回もこんな鍾馗さんたちが新たに見つかりました。
(01) なんか気持ち悪い写真ですね。天地反転しています。
逆さまになってしまったかわいそうな鍾馗さんは
近くの常滑市大野町にある #223 の兄弟でした。
(02) 威風堂々、あたりを睥睨しています。 #1411
(03) 軒下にあって撮影困難。日射しの強い日の日陰は肉眼でも見づらいですが
写真をとっても霞がかかったようになってしまいます。
(04) 箱入り鍾馗さんは愛知県では珍しいです。表情とポーズが凛々しい。
かなり広い前庭の奥の玄関の上にいる鍾馗さんが結構多くて
なかなか近づけません。家の人に声をかければいいのですが、この暑さ。
汗だくでよれよれのおっさんが突然来訪したら嫌がられるだろうなあと
遠慮してしまいました・・
涼しくなったら再訪して、写真を撮り直そう。
以下はこれまでに日長で見つけた、主な鍾馗さんです。
(05) #222 2007年12月1日発見・撮影
(06) #222 2007年12月1日発見・撮影
(07) #881 2007年12月1日発見・撮影
(08) #005 2007年12月1日発見・撮影
(09) #879 2007年12月1日発見・撮影
(10) #880 2007年12月1日発見、2011年1月4日撮影
(11) #878 2007年12月1日発見・撮影
(12) #878 2007年12月1日発見・撮影
(13) #239 2007年12月1日発見・撮影
訪問時のご参考に。番号は本文に対応しています。
広くない集落に50体近くが見られる上、
これだけユニークな鍾馗さんがいる日長という町は
愛知県の鍾馗さん探訪スポットとして一押しです!