【0099】愛知県限定 強面鍾馗2010年08月16日 22時38分56秒

【分布と記録数】 愛知県(61)、三重県(4)、岐阜県(1)、京都府(1)、静岡県(1)、
 合計 (68)

【リンク】 博物館・収蔵室

ほとんど愛知県限定の鍾馗さんで、愛知県内では広い範囲に見られますが、
近隣県ではわずかに見られるのみ。
私が見つけた、静岡県唯一(新居町)の鍾馗さんがこのタイプ。

豊田市花園町の鍾馗さん
(豊田市花園町)

ごついですね。鬼もしっぽを巻いて逃げ出しそう。

京都市下京区間之町通の鍾馗さん
(京都市下京区間之町通)

これまたこわもて。剣も大きくなってパワーアップ。

南知多町中州の白黒鍾馗さん
(南知多町中州)

白黒鍾馗。
左は上と同じ鍾馗さん。右は鬼の足をつかんでいます。

西尾市桜町の鍾馗さん
(西尾市桜町)

上右の鍾馗さんから鬼を取ると、この鍾馗さんになります。

東浦町石浜の鍾馗さん
(東浦町石浜)

これは不鮮明な写真で自信がない。上と同じかもしれませんが、
頭のシルエット、帯紐の形 など違っているように見えます。

【0065】正真正銘 奈良限定2010年08月15日 23時18分37秒

【分布と記録数】 奈良県(74)
【リンク】 博物館・収蔵室

奈良県ではよく目にしますが、他では一体も見つかりません。
これは意外に珍しいこと。
交通が発達してからは、窯元や瓦屋さんの商圏も拡がり
基本、地域に根ざした商売をしていても、引き合いがあれば
隣県へ出向くことはやぶさかではないはずで、
偶然なのか、途絶えたのが古いのか。確かめようもありません。

橿原市北八木町の鍾馗さん
(橿原市北八木町)
こちらが大部分を占める標準タイプ。

五條市今井の鍾馗さん
(五條市今井)
これは標準タイプの変り種で鬼瓦と一体焼成。
へら跡もやや派手。一品ものです。

王寺町本町の鍾馗さん
(王寺町本町)
こちらは別タイプでややずんぐりむっくり。

川西町唐院の鍾馗さん
(川西町唐院)
ずんぐりタイプのバリエーション。
胸に「九字」を切っています。一品ものです。

橿原市高殿町の鍾馗さん
(橿原市高殿町)
これもずんぐりタイプのバリエーション。
細部意匠が違っていますが、基本スタイルは同じ。
一品ものです。

五條市須恵の鍾馗さん
(五條市須恵)
これもずんぐりタイプのバリエーション。
一品ものです。

これら細部の違いは型から抜いたあと、
職人さんがへらを片手にいろいろ工夫した結果。
瞬間芸みたいなもので、無数のバリエーションが存在します。
気にし過ぎてもきりがないし、なるべく尊重して区別してあげたいし。

悩ましいところです。

【0104】知多半島限定分布の小さな鍾馗2010年08月14日 23時35分44秒

【分布と記録数】 愛知県(89)、三重県(8)、滋賀県(4)、 合計 (101)
【リンク】 博物館・収蔵室

分布数をご覧の通り、ほぼ愛知県限定、それも大部分は知多半島に残されています。
凸凹が少なく、型による大量生産に適した形です。


鬼を持たず、剣を脇に捧げ持つタイプが、細かく見ていくと4種類。

名古屋市緑区大高町の鍾馗さん
(名古屋市緑区大高町)


東浦町緒川の鍾馗さん
(東浦町緒川)


東海市高横須賀町の鍾馗さん
(東海市高横須賀町)


常滑市榎戸町の鍾馗さん
(常滑市榎戸町)

比較
左拳の位置とその角度、帯紐先端の形、剣の形が識別のポイント。
(拡大してご覧ください)

鬼を従え、剣を脇に捧げ持つタイプ

大津市中央の鍾馗さん
(大津市中央)
このタイプだけは愛知県にはなく、滋賀県大津市で2体記録。


剣をおろしたタイプ

高浜市青木町の鍾馗さん
(高浜市青木町)


剣を振り上げたタイプ

知多市八幡の鍾馗さん
(知多市八幡)

【0077】見た目がよく似たローカル鍾馗さん達2010年08月13日 23時53分23秒

【分布と記録数】 愛知県(47)、滋賀県(29)、三重県(15)、京都府(14)、
            岐阜県(4)、奈良県(4)、大阪府(1) 合計 (114)
【リンク】 博物館・収蔵室

#0078、#0080と似ていますが、直立不動のこれらに比べ、
右足に重心を乗せ、腰をひねっているので動きがあります。

東海市高横須賀町の鍾馗さん
(東海市高横須賀町)
帯紐がクロスしているのが特徴のこのタイプは
愛知県と三重県に多く見られます。

京都市北区紫竹西南町の鍾馗さん
(京都市北区紫竹西南町)
こちらは帯紐がクロスしていません。
京都はこのタイプが主流で、愛知県にも多い。

日野町上野田の鍾馗さん
(日野町上野田)
こちらは上にそっくりですが、なぜか左手を袖の中に隠しています。
左手が脱落した型をそのまま使い続けたのかも・・
滋賀県でよく見られます。

近江八幡市北元町の鍾馗さん
(近江八幡市北元町)
この鍾馗さんも帯紐がクロスしていますが、
丸顔にぎょろ目が特徴。
滋賀県を中心に分布。

蒲郡市府相町の鍾馗さん
(蒲郡市府相町)
他に比べやや大柄で、各所の細工が細かく、
新しい鍾馗さんではないかと推測しています。
蒲郡ほか、東三河で少数を確認しています。

養老町大巻の鍾馗さん
(養老町大巻)
これはこの1体だけの突然変異。
釉薬は措くとして、各部のバランスが他と微妙に異なっています。

【0089】知多半島のイケメン系2010年08月12日 23時55分46秒

【分布と記録数】 愛知県(80)、京都府(50)、三重県(6)、滋賀県(5)、
            奈良県(1) 合計 (142)
【リンク】 博物館・収蔵室

愛知県では、知多半島に特に多く見ることができます。
下が代表的なタイプで、整った姿型です。

常滑市蒲池町の鍾馗さん
(常滑市蒲池町)

鬢の長い毛が巻き上がって帽子を包むようになっているのが共通の特徴。

武豊町の鍾馗さん
(武豊町)

愛知県では上の双子のような、簡略化された、小振りのタイプが見つかります。

京都に行くと、よく似ていますが、少し小振りで動きも穏やかなタイプが見られます。
京都市上京区猪熊通の鍾馗さん
(京都市上京区猪熊通)
京都市上京区猪熊通の鍾馗さん
(京都市上京区猪熊通)

よく似ていますが、左手拳の位置が違いますね。
あと下は少し中心線がずれている感じ。腰痛になるぞ。



後は例外的なタイプとなります。

美浜町河和の鍾馗さん
(美浜町河和)
小振りで武豊町のに似ていますが、視線が下に行っています。この一体のみ。

東浦町藤江の鍾馗さん
(東浦町藤江)
鬼退治中。分布は知多半島に5体のほか、蒲郡近辺で4体、
さらに伊勢湾をはさんで津市に3体。

海上交通による鍾馗の伝播を思わずにはいられません。

南知多町中州の鍾馗さん
(南知多町中州)
立ち姿で剣を下におろしているのは、この一体のみ。


【0098】 0094の弟分2010年08月07日 22時46分15秒

【分布と記録数】 愛知県(45)、滋賀県(8)、三重県(7)、岐阜県(6)、
            京都府(4)、兵庫県(2)、大阪府(1)、奈良県(1) 合計 (74)
【リンク】 博物館・収蔵室
愛知県に多く分布。【0094】にそっくりですが、
こっちのほうが、多少細面。


4種記録していて、こちらがスタンダードタイプです。
津市河芸町南黒田の鍾馗さん
(津市河芸町南黒田)

次は、何が違うのか問われると困るのですが、
ノミ跡もシャープなスタンダードタイプより、まろやかな印象(なんじゃそりゃ)
写真では判別しにくいのですが、表情もちょっと柔和。
三重県で2体だけ記録。
津市河芸町南黒田の鍾馗さん
(津市河芸町南黒田)

こちらは上2体と比べると、垂れ下がる帯紐の先の開き方が違います。
京都市中京区竹屋町通の鍾馗さん
(京都市中京区竹屋町通)

「びみょー」な違いばかりのここまでに比べると
最後の鍾馗さんは腰をひねって違いは明らか。
苦しい説明は不要ですね(^^;
なかなか決まっています。
常滑市栄町の鍾馗さん
(常滑市栄町)

【0172】三重県北部に分布する振り上げ系鍾馗さん2010年08月05日 23時52分14秒

【分布と記録数】 三重県(64)、愛知県(11)、奈良県(6)、滋賀県(6)、
            京都府(4)、岐阜県(5) 合計 (96)
【リンク】 博物館・収蔵室

三重県、それも北部の桑名市、四日市市付近に偏在します。

スタンダードタイプはこちら。
桑名市大福の鍾馗さん
(桑名市大福)

以下の2種は数が少なく、作りは粗雑です。

東近江市布施町
(東近江市布施町)

京都市上京区柏清盛町の鍾馗さん
(京都市上京区柏清盛町)

この2種は分布の中心、北勢地方から遠く離れた土地で見つかります。
中は愛知、滋賀
下は京都、奈良

三重県から遠ざかるほど、質が下がっていくようです。
何故だろう?

【0155】剣振り上げ系の代表選手 (の親戚)2010年08月04日 23時06分07秒

昨日の続きです。
どこか間の抜けた仲間が
少数ですが、あちこちで見つかります。

斑鳩町阿波の鍾馗さん
(斑鳩町阿波)
愛知、奈良に4体。

京都市左京区春日上通の鍾馗さん
(京都市左京区春日上通)
この1体のみ。
ただし昨日の光本瓦店のカタログに載っています。

吹田市内本町の鍾馗さん
(吹田市内本町)
大阪、滋賀、京都で7体。

野洲市須原の鍾馗さん
(野洲市須原)
この1体、only oneです。


【0155】剣振り上げ系の代表選手2010年08月03日 23時58分22秒

【分布と記録数】 愛知県(73)、奈良県(63)、三重県(30)、滋賀県(27)、
            京都府(27)、大阪府(6)、岐阜県(2)、兵庫県(1) 合計 (229)
【リンク】 博物館・収蔵室
各地に分布し、よく見かける鍾馗さんです。

今日紹介する3種は比較的数の多いもので、
他に5種ほど記録していますがそちらは明日ご紹介予定。

京都市東山区慈法院庵町の鍾馗さん
(京都市東山区慈法院庵町)
一番ポピュラーな鍾馗さんで、【0155】の8割はこのタイプ。
整った姿で洗練されています。

京都市北区紫野下門前町の鍾馗さん
(京都市北区紫野下門前町)
一つ目に比べるとかなりワイルド、言い方を変えると荒っぽい。
光本瓦店のカタログに載っていました。

松阪市町新松ヶ島町
(松阪市町新松ヶ島町)
愛知、三重中心に分布。
これもかなりあらっぽい作りです。

【0060】【0061】京の「気は優しくて力持ち」2010年07月29日 23時06分37秒

【分布と記録数】 京都府(58)、大阪府(4)、滋賀県(2)、
            岐阜県(1)、奈良県(1)、兵庫県(1) 合計 (67)
【リンク】 博物館収蔵室【0060】 博物館収蔵室【0061】
分布はほぼ京都限定。
少し困ったような表情の大きな顔の鍾馗さん。
人が良さそうです。
京都市右京区嵯峨野高田町の鍾馗さん
(京都市右京区嵯峨野高田町)
この鍾馗さんは型の新しいうちに作られたものか、
比較的エッジがシャープな感じですが、普通は下の鍾馗さんのように
角が取れています。

#0050と比べるとご覧のとおりかなり大きい。30cmくらいはありそうです。
0050と0061比較
(岸和田市南町)

以下は【0061】で登録しているもの
少し大きくなります。この鍾馗さんは真剣に怒っている感じですね。
京都市下京区島原上之町の鍾馗さん
(京都市下京区島原上之町)


以下は珍しいもの

さらに大きく40cmくらいあった気がします。この1体だけしか見つけていません。
京都市上京区三条殿町の鍾馗さん
(京都市下京区島原上之町)


さらに大きく50cmくらいはあるのでは。2体発見しています。
近所の等身大鍾馗さんには遠く及びませんが、
瓦鍾馗としては相当大きいほうです。
重たそうな眉の下には眠そうな眼。力持ちでしょうね。
京都市東山区若松通の鍾馗さん
(京都市東山区若松通)