2011/12/3・4 丹波・但馬・丹後2011年12月25日 23時42分00秒

紅葉には少し遅いかと出かけたのですが、それどころか冬の天気。
晴れたかと思うとにわかに雲が拡がり、雨が降り出します。
町歩きには非常に落ち着かない空模様でしたが、
気合いで何とか目的地を
巡ってきました。

訪問地は以下の通りです。
 兵庫県篠山市
 兵庫県朝来市竹田
 兵庫県豊岡市出石
 京都府宮津市
 京都府伊根町

今回は観光メインで鍾馗探索は二の次です。
とはいえ性分で町を歩いていても気になるのは屋根の上。
全般的な傾向としては雪も多い気候のためか、黒っぽい釉薬瓦が主流で
関西地方とは異なって飾り瓦も鯱が多く、鍾馗さんをはじめとして恵比寿・大黒などもほとんど見られないようです。

以前、舞鶴で収穫があったので、隣接する宮津にはかなり期待を持って訪問したのですが空振りでした。

ただ、今回の訪問はそれほどしっかり見て回ったわけではないので、
きちんと探索すれば見つかるのかもしれませんが・・

非常に不安定な天気に振り回された二日間でしたが、
そのおかげで目にする景色はなかなかのものでした。

いくつか写真を貼っておきます。

竹田城址
(竹田城址)

天橋立(成相寺より)
(成相寺からの天橋立)

虹(由良川河口)
(宮津市・由良川河口付近)


今回、見つけた鍾馗さんはわずかに1体(^^;

篠山市の鍾馗さん
(篠山市二階町)

帰ってから写真をチェックすると、横に銘らしきものが入っているようです。
現場ではまったく気づかず、迂闊でした。

2011/7/29 京都・大津2011年08月08日 23時24分26秒

今回の京都探訪は再訪が中心。
写真の出来が悪い鍾馗さんの再撮影をしがてら、
行きがけの駄賃で目新しいものが見つかればいいな、
といった乗りの探訪です。

祇園、島原、西陣など、中心部をメインにまわりました。

宮川筋のお茶屋さん

写真は宮川筋のお茶屋さんにあがる鍾馗さん(#176)です。
やはり一般民家とは一味も二味も粋さが違います。


下京区梅小路東中町の鍾馗さん
(下京区梅小路東中町)

新発見はこの一体だけでした。
どこかで見た気がするなと思いながら、帰宅後に
服部さんの「洛中・洛外の鍾馗」を見返してみると
よく似た鍾馗さんが下京区 壬生川通七条上ル で記載されていました。

万寿寺通の鍾馗さん

市内で時々見かける、この鍾馗さんの亜種(#174)として登録しました。

ちなみにこの鍾馗さん、右手の指が6本あるように思えます。
拡大して見てくださいね。

その他は写真の差し替えが中心。
残念ながら消失を確認した鍾馗さんもいくつかありました。

詳しくは鍾馗博物館 「更新情報」からご覧ください。


この日は京都の探索終了後、大津市へ。
最近、鍾馗探索の魅力にめざめた
大津市在住の「つづら」さんとお会いして
中心街をほんの少しですが一緒に歩きました。

再開発計画もあり、町屋が失われていく状況に危機感を持ち、
行動を起こしておられます。
鍾馗さんの保護にとっても心強い援軍です。
これからもよろしくお願いします。


2011/7/15 亀岡2011年07月19日 00時37分11秒

去年に続き、祇園祭の宵山を見物し、翌日は半日だけ
京都市からひと山越えた隣町である亀岡に行ってきました。

亀岡は4度目の訪問。中心部は何度か歩いています。
主だった鍾馗さんの健在を確認しましたが、なにせこの日は36℃近い猛暑。
いつまでも歩くのはちとつらいため、早々に切り上げました。

その後、周辺の集落を車で順番に巡りました。
6か所訪問したうちの保津町訳目だけで鍾馗さんに会うことができました。
以下が見つかった鍾馗さん。

亀岡市保津町の鍾馗さん

亀岡市保津町の鍾馗さん

亀岡市保津町の鍾馗さん

以上はいずれも初見の鍾馗さん。

亀岡市保津町の鍾馗さん

こちらは#1183

鍾馗さんの見られない集落がほとんどでしたが、こうして集中しているところもあり、
舞鶴でまとまって見られたことからも、丹波地方にはまだ隠れた鍾馗の里が
あるのかも?しれないですね。

2011/6/4 京都2011年06月20日 21時00分45秒

6月4日 京都探訪記、アップがずるずる遅れてしまいました。

コースは概ね以下の通りです。

JR桂川駅→上久世→桂離宮前→桂大橋→西京極駅南→西院→JR二条駅南→四条大宮→JR二条駅北→太子道→太秦→帷子ノ辻→嵯峨嵐山→鳥居本→大覚寺→広沢→妙心寺→千本中立売→烏丸今出川

2011/6/4 探訪コース

地図にしてみると、如何に意味のない歩き方かわかりますね。
桂川駅からゴールの烏丸今出川までは、普通に歩けば15kmくらいでしょうか。

二条駅付近までは、まあまあ目的地に向っている感じですが、
そこでいきなりコースを逸れて鳥居本まで延々と回り道。
約20kmも回り道しています。

もちろんここをご覧の皆さまは、筆者の目的をご存知だと思いますので
説明は省きます。

今回のコースは京都でも郊外、
鍾馗さんは基本的に戦前あたりに市街化された町に多く見られるため、
京都と言えども今回のコースにはあまりないだろうと予想していました。

これまでほとんど歩いたことのないエリアのため、
少しずつ空白を埋めていこうと思い立ち、少しでも
古い町の面影が残っていそうな旧道をつなぎ合わせたコースを作ってみたところ、
上記のような不思議なルートが出来上がりました。


見つけた主な鍾馗さんをご紹介します。
西京区桂楠町の鍾馗さん
桂駅の南東に位置する楠町で見つけた鍾馗さん。(#1293
初めて見るもので、細部の仕上げが実に丁寧。
作者の性格がしのばれます。


姉小路通の鍾馗さん
二条駅に程近い、姉小路通。(#1294
よくある#0063にそっくりですが、サイズは極小。
10cmくらいしかありません。


太秦_三条通の鍾馗さん
太秦・広隆寺門前の京料理店の屋根で発見。
#0596として何体か発見していますが、この鍾馗さんのポイントは腰の「知恵の輪」。
最初は針金かと思いましたが、瓦製のようです。
類例ではすべて失われており、オリジナルにこれが着いていたのかわかりませんが
不思議な意匠ですね。


有栖川_三条通の鍾馗さん
有栖川付近の三条通沿い。(#1295
この鍾馗さんは師匠・服部さんの「洛中・洛外の鍾馗」に収録されています。

鍾馗博物館に掲載したのをご覧になった服部さんから、連絡をいただきました。
「京都右京区の鍾馗さん、まだ残っていたので安心しました。これは京都に一体しかなかったので、もうなくなっているのではないかと心配しておりました。」



鳥居本の飾り瓦屋敷
嵯峨鳥居本のいちばん奥まったところにあった、飾り瓦満載のお宅。

鍾馗さんは4体確認。

飾り瓦屋敷の鍾馗さん その1
これは#0691
田辺、木津川など、京都南部で3体、類例が見つかっている鍾馗さんを
扇型の台座に取り付けて装飾品に仕立てたのでしょうか。

飾り瓦屋敷の鍾馗さん その2
こちらは#784
大阪府高槻市内で類例3体発見しています。
めりはりのある造形が特徴で、すぐに親戚とわかります。

どうやって集められてのでしょうか。


鳥居本のみみずく?
最後は嵯峨釈迦堂近くのこちら。
一見してどきっとしましたが鍾馗さんではないですね(^^;
みみずくでしょうか。

この日一日で百体弱の鍾馗さんを発見、さすが京都ですが
やはり、見つかったのは多くが旧市街。
分布図はあるところ・ないところでくっきりと分かれそうです。

去る者、来る者2011年06月06日 19時52分24秒

6月4日は京都市内を洛西を中心にうろうろしました。
鍾馗さんはまだ整理中なので、探訪記は後日。

今日は街角で見つけたちょっとしたドラマ?を紹介します。

ところは中京区西ノ京池之内町。姉小路通の神泉苑通と美福通の間。

右(東)に見える瀬古クリーニング店は取り壊したばかりのようで、
更地になっていました。
昨年2月に通りがかった際に、看板の「洗張・丸染」の文字の左側あたりに
下の鍾馗さんを見つけたのですが、家と共に失われたと思われます。

姉小路の失われた鍾馗さん

いっぽうで、
左手(西)の「大衆食堂」のさらに左隣の家が建て替っていました。

姉小路の建て替ったお宅に鍾馗

二軒まとめて二世代住宅に建替えられたのでしょうか。
軒には鍾馗さんがのっています。

姉小路の鍾馗さん(#159)

この付近のストリートビューが高精細になったのは昨年も後半と思われ、
この家も、1年以内に建替えられたに違いないのですが、
鍾馗さんには古色があるのが不思議です。


目と鼻の先で家が壊され、改築され、
それとともに鍾馗さんも代替わりしていきます。
鍾馗さんが消える一方の他の町に比べれば、
古いものをそれなりに消化しつつ
新陳代謝していく京都はまだまだ頼もしいですね。

2011/4/16 京都で2011名残の桜2011年04月19日 00時15分37秒

昨年は4月17日に京都の桜を見に行きました。

今年もほぼ同じコース、
平野神社→雨宝院→白峰神社と西陣周辺を巡った後、
東山方面へ。
昨年より花は遅れていて、平野神社ではソメイヨシノは盛りを過ぎていましたが
他はほぼ満開。

一葉(平野神社)
一葉・平野神社

胡蝶(平野神社)
胡蝶・平野神社

朱雀(平野神社)
朱雀・平野神社

松月(平野神社)
松月・平野神社

太白(平野神社)
太白・平野神社

大内山(平野神社)
大内山・平野神社

鬱金(平野神社)
鬱金(ウコン)・平野神社

歓喜桜(雨宝院)
歓喜桜・雨宝院

御衣黄(嘉楽中)
御衣黄(ギョイコウ)・嘉楽中学校

御衣黄(白峰神社)
御衣黄・白峰神社

御衣黄(二年坂)
御衣黄・二年坂

雨宝院の御衣黄だけはまだまったくつぼみのままだったので写真なし。

これは昨年の写真です。
御衣黄(2010年 雨宝院)

同じ御衣黄という名前ですが、
花の姿は他の三か所とずいぶん違いますね。
品種が違うのかなあ。

ちょっと調べてみると、雨宝院の御衣黄以外は全部、鬱金のように
思えてきた。まあ、どちらでもいいですけどね。

それにしても4月中旬とは思えない寒い日でした。
風が強く、花びらを盛大に散らします。
桜吹雪
桜吹雪を写したつもりでしたが、光が弱くてシャッタースピードが遅すぎ、
本当の吹雪のようになってしまいました。



花と食いしん坊が目的の旅でしたが、
少しだけ鍾馗さんを探索したところ、

上京区今小路通の鍾馗さん

北野天満宮に近い、上京区今小路通で発見。
素朴ながら、力強い造形。
京風鍾馗さんとは対極にあって、
小さな子供が見たら怖がりそうですね。

【探訪記】2011/2/26 京街道 淀~千本久世橋通2011年03月01日 21時55分29秒

京都競馬場へ向かう人並みで込み合う京阪淀駅で
9時におとんさんと落ち会い、桂川に沿ってのびる京街道を歩きました。

この道は洛中の主要道である千本通りの名を冠されていますが、
このあたりでは郊外の旧道の趣きで、周囲より少し高くなったところを
川に沿って続く一本道。
抜け道として使われているのか車が多いのが難ですが、
歩いてみると思いのほか古い民家が残っていて、街道歩きを楽しめます。

鍾馗さんも結構見つかり、飽きることはありませんでしたが、
残念ながら多くは京風のありふれたタイプ。

京都市南区上鳥羽八王神町の鍾馗さん1

京都市南区上鳥羽八王神町の鍾馗さん

こちらのペア鍾馗さんが最大の収穫でした。


昼からは久しぶりに服部師匠のお宅を訪問し、
おとんさんと三人で鍾馗談議に花を咲かせました。

【鍾馗探訪ガイド】京都府木津川市山城町上狛2011年02月25日 21時03分45秒

先回紹介の木津町とは、木津川をはさんで隣どおし。

この地図で川の南側は先回紹介した木津町の町外れ。
北側は山城町上狛の南端です。
今はどちらも木津川市になってしまい。地名が長くて煩わしいですね。

泉橋寺付近地図

上狛側は石造の地蔵菩薩が有名な泉橋寺を中心とする古い集落で
お寺を取り囲むように沢山の鍾馗さんが見られます。

(1)収蔵室番号 #0035 2005/9/18 発見 2009/7/25 撮影  よりぬき収録
山城町上狛の鍾馗さん

(2)収蔵室番号 #0007 2005/9/18 発見 2009/7/25 撮影
山城町上狛の鍾馗さん

(3)収蔵室番号 #0014 2005/9/18 発見 2009/7/25 撮影
山城町上狛の鍾馗さん


いっぽう、奈良線上狛駅周辺には中世の環濠集落に起源を持つ
上狛集落が古い佇まいを残していて、ここがまた鍾馗さんの宝庫。

上狛地図

(4)収蔵室番号 #0686 2006/11/11 発見 2009/7/25 撮影
山城町上狛の鍾馗さん

(5)収蔵室番号 #0687 2006/11/11 発見 2009/7/25 撮影
山城町上狛の鍾馗さん

(6)収蔵室番号 #0691 2009/7/25 発見、 撮影   よりぬき収録
山城町上狛の鍾馗さん

(7)収蔵室番号 #0567 2006/7/14 発見 2009/7/25 撮影 よりぬき収録
山城町上狛の鍾馗さん

ここで紹介した以外にもまだまだ個性的な鍾馗さんがたくさんいます。
集落内の迷路のような細道をきょろきょろしながら歩いてみてはいかがでしょうか。

ただし、観光客がくるようなところではありませんので、
くれぐれも笑顔を絶やさず、不審者と間違われないように。

後、当たり前ですが鍾馗さんは個人の所有物。
勝手に敷地に入ったりはご法度。
家の人がいらっしゃる場合はひとこと声をかけてからにしましょう。

【鍾馗探訪ガイド】京都府木津川市木津町2011年02月15日 23時57分06秒

ここのところ、風邪がなかなか完治せず、2週続けて探訪は自粛中。
欲求不満がたまりますね。

出かけてなんぼの肉体派ゆえ、ブログの更新も滞りがち。
ちょっと気合を入れて更新頻度を上げることにしましょう。

鍾馗さんを楽にまとめて観察できる探訪好適地の紹介。
今日は木津を紹介します。

京都府の最南端に位置し、車なら10分も走れば奈良市の中心部、東大寺あたりに抜けることができる木津町は、見られる鍾馗さんも京都より奈良の影響が濃くなります。

町は木津川の南側に位置し、かつては木津川の河港として、
また町を通過する、京都と奈良を結ぶ奈良街道の街道集落として栄えた歴史を持ちます。
木津の鍾馗さん分布図

中心部で50体弱の鍾馗さんを見つけています。
井関川に沿って並ぶお寺(西蓮寺、妙楽寺、大龍寺)を取り囲むようにたくさんの
鍾馗さんが見られ、堤防に立って見渡すと、目に入るほとんどの家の屋根に
鍾馗さんが乗っていて圧巻です。

以下は珍しい鍾馗さん。かっこ内の番号が地図に対応しています。

(1)収蔵室番号 #0118 2005/9/18 発見 2009/7/25 撮影
木津川市木津の鍾馗さん

(2)収蔵室番号 #0006 2005/9/18 発見 2009/7/25 撮影
木津川市木津の鍾馗さん

(3)収蔵室番号 #0024 2005/9/18 発見 2009/7/25 撮影 よりぬき収録
木津川市木津の鍾馗さん

(4)収蔵室番号 #0140 2005/9/18 発見、撮影
木津川市木津の鍾馗さん

(5)収蔵室番号 #0564 2006/7/14 発見 2009/7/25 撮影
木津川市木津の鍾馗さん

(6)収蔵室番号 #0563 2006/7/14 発見、撮影
木津川市木津の鍾馗さん

木津川の北側に位置する、上狛集落も鍾馗の里。
紹介は次の機会にしますが、ついでに訪問することをお奨めします。


【墓碑銘】失われた鍾馗さん2011年01月19日 00時25分15秒

鍾馗さんは基本的には減る一方です。
再訪してなくなってしまったことを知ることはしばしばで、
なんとも寂しいものです。

ここ最近、失われたと思われる鍾馗さんを紹介いたします。
上京区五辻通の鍾馗さん【消失】
京都市上京区五辻通 【0203

風化して鍾馗さんだかなんだかわからない、木彫りのちいさな鍾馗さんでしたが、
家の改修に合わせて撤去されたのではないかと思います。


上京区六番町の鍾馗さん【消失】
京都市上京区六番町 【0595

服部さんの著書でも紹介された京都には珍しい大棟の鍾馗さん。
最新ストリートビューで見ただけなのですが、なくなっています。
こちらも家の改装に合わせて取り外されてしまったのでしょうか。


知多市新知の鍾馗さん【消失】
愛知県知多市新知 【0005

車で通りがかっただけですが、この家があったはずの場所には建売住宅が
数棟建っていました。建替えられてしまったようです。


西尾市瓦町の鍾馗さん【消失】
愛知県西尾市瓦町 【1068

こちらの家はま新しい新築戸建て住宅に替わっていました。
鍾馗さんは影も形もありませんでした。


ほとんど省みられることもなく消えていった鍾馗さんたちへの
ささやかな手向けのつもりです。