【0098】 0094の弟分2010年08月07日 22時46分15秒

【分布と記録数】 愛知県(45)、滋賀県(8)、三重県(7)、岐阜県(6)、
            京都府(4)、兵庫県(2)、大阪府(1)、奈良県(1) 合計 (74)
【リンク】 博物館・収蔵室
愛知県に多く分布。【0094】にそっくりですが、
こっちのほうが、多少細面。


4種記録していて、こちらがスタンダードタイプです。
津市河芸町南黒田の鍾馗さん
(津市河芸町南黒田)

次は、何が違うのか問われると困るのですが、
ノミ跡もシャープなスタンダードタイプより、まろやかな印象(なんじゃそりゃ)
写真では判別しにくいのですが、表情もちょっと柔和。
三重県で2体だけ記録。
津市河芸町南黒田の鍾馗さん
(津市河芸町南黒田)

こちらは上2体と比べると、垂れ下がる帯紐の先の開き方が違います。
京都市中京区竹屋町通の鍾馗さん
(京都市中京区竹屋町通)

「びみょー」な違いばかりのここまでに比べると
最後の鍾馗さんは腰をひねって違いは明らか。
苦しい説明は不要ですね(^^;
なかなか決まっています。
常滑市栄町の鍾馗さん
(常滑市栄町)

【0172】三重県北部に分布する振り上げ系鍾馗さん2010年08月05日 23時52分14秒

【分布と記録数】 三重県(64)、愛知県(11)、奈良県(6)、滋賀県(6)、
            京都府(4)、岐阜県(5) 合計 (96)
【リンク】 博物館・収蔵室

三重県、それも北部の桑名市、四日市市付近に偏在します。

スタンダードタイプはこちら。
桑名市大福の鍾馗さん
(桑名市大福)

以下の2種は数が少なく、作りは粗雑です。

東近江市布施町
(東近江市布施町)

京都市上京区柏清盛町の鍾馗さん
(京都市上京区柏清盛町)

この2種は分布の中心、北勢地方から遠く離れた土地で見つかります。
中は愛知、滋賀
下は京都、奈良

三重県から遠ざかるほど、質が下がっていくようです。
何故だろう?

【0155】剣振り上げ系の代表選手2010年08月03日 23時58分22秒

【分布と記録数】 愛知県(73)、奈良県(63)、三重県(30)、滋賀県(27)、
            京都府(27)、大阪府(6)、岐阜県(2)、兵庫県(1) 合計 (229)
【リンク】 博物館・収蔵室
各地に分布し、よく見かける鍾馗さんです。

今日紹介する3種は比較的数の多いもので、
他に5種ほど記録していますがそちらは明日ご紹介予定。

京都市東山区慈法院庵町の鍾馗さん
(京都市東山区慈法院庵町)
一番ポピュラーな鍾馗さんで、【0155】の8割はこのタイプ。
整った姿で洗練されています。

京都市北区紫野下門前町の鍾馗さん
(京都市北区紫野下門前町)
一つ目に比べるとかなりワイルド、言い方を変えると荒っぽい。
光本瓦店のカタログに載っていました。

松阪市町新松ヶ島町
(松阪市町新松ヶ島町)
愛知、三重中心に分布。
これもかなりあらっぽい作りです。

【0060】【0061】京の「気は優しくて力持ち」2010年07月29日 23時06分37秒

【分布と記録数】 京都府(58)、大阪府(4)、滋賀県(2)、
            岐阜県(1)、奈良県(1)、兵庫県(1) 合計 (67)
【リンク】 博物館収蔵室【0060】 博物館収蔵室【0061】
分布はほぼ京都限定。
少し困ったような表情の大きな顔の鍾馗さん。
人が良さそうです。
京都市右京区嵯峨野高田町の鍾馗さん
(京都市右京区嵯峨野高田町)
この鍾馗さんは型の新しいうちに作られたものか、
比較的エッジがシャープな感じですが、普通は下の鍾馗さんのように
角が取れています。

#0050と比べるとご覧のとおりかなり大きい。30cmくらいはありそうです。
0050と0061比較
(岸和田市南町)

以下は【0061】で登録しているもの
少し大きくなります。この鍾馗さんは真剣に怒っている感じですね。
京都市下京区島原上之町の鍾馗さん
(京都市下京区島原上之町)


以下は珍しいもの

さらに大きく40cmくらいあった気がします。この1体だけしか見つけていません。
京都市上京区三条殿町の鍾馗さん
(京都市下京区島原上之町)


さらに大きく50cmくらいはあるのでは。2体発見しています。
近所の等身大鍾馗さんには遠く及びませんが、
瓦鍾馗としては相当大きいほうです。
重たそうな眉の下には眠そうな眼。力持ちでしょうね。
京都市東山区若松通の鍾馗さん
(京都市東山区若松通)


【0069】現代の二枚目鍾馗さん その32010年07月28日 23時49分22秒

昨日の続きで【0069】のうち、剣を下におろしているタイプの後半4種です。

識別2

間違い探しクイズみたいになってきました。
よろしければ拡大画像で、まじまじとご覧ください。

答えはこちら
識別のポイントです。
左二つは進士巾の左右が一文字に傾いていますが、
右二つは「ハ」の字状。

左二つでは左手でつまんだ裾の形が違っています。

また右二つはそっくりなのですが、
下げた剣の先端が右端の鍾馗さんでは左右の脚の
中間付近に位置するのに対し、赤い鍾馗さんの剣の先端は左脚に
近いところに位置します。


京都市中京区丸太町通の鍾馗さん
(京都市中京区丸太町通)

南知多町日間賀島の鍾馗さん
(南知多町日間賀島)

常滑市大和町
(常滑市大和町)

東浦町石浜の鍾馗さん
(東浦町石浜)

【0069】現代の二枚目鍾馗さん その22010年07月27日 23時42分58秒

昨日の続きで【0069】のうち、剣を下におろしているタイプ。
といってもそれだけで8種が認められるので、
2回に分けます(^^;

たてがみタイプ比較

今日は髪を派手に逆立てている4種の識別ポイントです。

左から二つはほとんど違いがありませんが、
2番目のほうがより派手に逆立てています。
ちなみに赤色をしていますが、色の違いは土や釉薬でいかようにもなるので、
識別の対象とはしていません。

左から3番目は袴の形が他と異なっており、手でつまんでいません。
この形は昨日の一つ目と同じデザインで滋賀県特産です。

一番右はしょぼい写真で申し訳ないですが珍しいタイプ。
他とは作風がなんとなく違うのですが、見た目の識別点は
クロスする帯紐と、裾の形状。

京都市上京区猪熊通の鍾馗さん
(京都市上京区猪熊通)

高浜市田戸町の鍾馗さん
(高浜市田戸町)

竜王町須恵の鍾馗さん
(竜王町須恵)

野洲市市三宅の鍾馗さん
(野洲市市三宅)

【0095】守りの備えは大丈夫?2010年07月21日 22時36分25秒

愛知、滋賀、京都に多い一般的な鍾馗さんです。
椅子に腰掛けたようなポーズは安定感がありますが、
鬼に対抗して、いざというとき機敏に動くにはちょっと?

【分布と記録数】 愛知県(116)、滋賀県(53)、京都府(47)、三重県(14)、奈良県(12)、
            岐阜県(8)、大阪府(5)、兵庫県(1) 合計 (256)
【リンク】 収蔵室

名古屋市南区元桜田町の鍾馗さん
(名古屋市南区元桜田町)
これが標準タイプ。愛知県に多く見られます。
そして現在でも三河で作られている模様


京都市上京区西洞院通の鍾馗さん
(京都市上京区西洞院通)

上にそっくりですが、識別のポイントは
1)腰紐の結び目 これは左右長さが違うが、上のはほぼ同じ長さ
2)袴の襞の数  こちらの方がやや多い。

まあ、微妙な違いです(^^;
気にする必要はないでしょう。

こちらの方が、何となくですが表情は恐ろしげ。

竜王町岩井の鍾馗さん
(竜王町岩井)

数としてはこれが一番多い。各地で見られます。
造形が簡略化されて出っ張りも少なく、いかにも大量生産向き。


甲賀市甲南町葛木の鍾馗さん
(甲賀市甲南町葛木)

かなり造形的な特徴も違っている上、他よりかなり大きい。30cmあります。
今でも作られていますが、不思議にあまり見たことはない。


京都市東山区下河原通の鍾馗さん
(京都市東山区下河原通)

こちらはうって変わってちんまりしています。16cm
これも今でも作られていますが、町ではほとんど見たことがありません。


半田市有脇町の鍾馗さん
(半田市有脇町)

これは突然変異。最初の鍾馗さんと同じかもしれませんが
表情があまりにも違うので、別亜種としました。

【0134】巨顔・大阪系ルーツ? その32010年07月15日 00時12分59秒

続きですが、ちょっと異質な2タイプを紹介します。

京都市中京区油小路通の鍾馗さん
(京都市中京区油小路通)

他では目立たない進士巾が目立っていて、印象が他とは異なりますが、
顔の造りや、ポーズ、細部の意匠とほぼ共通です。

京田辺市薪里ノ内の鍾馗さん
(京田辺市薪里ノ内)

さらにこちら、さすがにこれを同類に入れるのには
管理人としてもためらいがありましたが・・・

表情、特に目元と左手のポーズを決め手に
独断でここに入れました。

【0134】巨顔・大阪系ルーツ? その22010年07月14日 23時48分54秒

昨日の続きですが、鬼を踏んでいないタイプ。
このタイプはぐっと少なくなって、今日紹介の3タイプを合わせても
まだ10体も確認できていません。

貝塚市半田の鍾馗さん
(貝塚市半田)


井手町井手の鍾馗さん
(井手町井手)

二つの違いは微妙で、上のほうが剣がちょっと短いかな?

明石市林の鍾馗さん
(明石市林)

これは足が左右反対、左足を上げているので
簡単に区別できます。

これらは数が少ないものの、それほど古くない型物だと思います。

【0134】巨顔・大阪系ルーツ?2010年07月13日 23時25分24秒

今日紹介するのも関西一円どこでも見られる、一般的な鍾馗さんです。
ただしこれもバリエーションが14もあり、
今日はなかでも一番ありふれたタイプからご紹介。

【分布と記録数】 大阪府(84)、愛知県(64)、京都府(37)、滋賀県(21)、奈良県(16)、
            三重県(16)、兵庫県(3)、岐阜県(1)、埼玉県(1) 合計 (243)
【リンク】 収蔵室

京都市上京区大宮通の鍾馗さん
(京都市上京区大宮通)
こちらが最も多い標準タイプ。分布地全域で見られます。
下の2つとはポーズ、パーツともほとんど差はなく、
識別のポイントとは顔の大きさ、身体とのバランス。

京都市東山区宮川筋の鍾馗さん
(京都市東山区宮川筋)
上に比べ、かなり小振りの鍾馗さんで、顔が大きく見えます。
これはこの一体のみ。

豊田市駒場町の鍾馗さん
(豊田市駒場町)
こちらは明らかに背が小さく、顔も小顔。
愛知県が分布の中心ですが、関西各地でもあちこちで見つかります。


堺市中区八田北町の鍾馗さん
(堺市中区八田北町)
識別ポイントは左手。
他と違って自然に下ろしています。
そしてやや前かがみで造形されていました。

これら4種はいずれも型で造形する量産タイプでしょう。