2012/1/22 京都半周2012年01月30日 23時22分34秒

ようやく本の最終校正も終わり、あとは刷り上りを楽しみに待つだけとなった日曜日、
また京都へ行ってきました。

今回の探訪の目的は服部さんの著書『洛中洛外の鍾馗』に収録されている
鍾馗さんのうち、まだ未確認の希少鍾馗さんを探すこと。

既に一度は振られた鍾馗さんも多く含まれているため、服部さんから詳しい情報を
伺っての探訪ですが、『もうなくなっていると思います』というコメントをいただいた
ものもあります。とはいえ、一度は自分の目で確かめないことには得心がいかないため、あえて空振りが多いことは覚悟です。

我ながら好きだなぁ。

今回の起点は地下鉄烏丸線十条駅。
京都駅の南は工業地域で鍾馗さんは少ないというイメージがあり、これまでもほとんど歩いたことがありません。

南区竹田街道の三面鍾馗さん
南区竹田街道

まずは洛中洛外の鍾馗 収録のこの鍾馗さん。
三体が背中合わせに一体になっています。

数々の鍾馗さんを見てきましたが、こうした例は
こちらで紹介している四連鍾馗さんのただ一例を知るのみ。

写真には写っていませんが台座もY字型の半丸瓦で、
現在は普通の小屋根にありますが、もともとは別のところにあったのでしょう。
Y字型の屋根に留蓋のようにして置かれていたのでしょうか。
三角形の屋根というのがどういう状態か、
かつての姿を考えてしばし空想の世界を楽しみましたが
ちょっと想像がつきません。

ここから鴨川を遡って北上。
この日は何度も橋を渡りました。
 五条大橋(西→東)
 団栗橋(東→西)
 三条大橋(西→東)
 二条大橋(東→西)
 賀茂大橋(西→東)
 河合橋(高野川 東→西)
 出雲路橋(東→西)

あっちへうろうろ、こっちへうろうろしながら、
千本鞍馬口までの約32kmを歩いて、
この日見た鍾馗さんの数は 初見 105体、再確認 36体。
やはり他の町とは桁違いに多いですね。

偉そうに本を出すことになりましたが、きっとまだ知らない鍾馗さんが
京都の町のあちこちに隠れているんだと思います。
そうでなくっちゃ。

以下、この日見た希少鍾馗さんです。

南区竹田街道の鍾馗さん
南区竹田街道
これまで西陣方面で一体見たことがあるだけで、これが二体目。
これは「洛中洛外の鍾馗」に収録されています。

東山区五条通の鍾馗さん
東山区五条通
いくつかのサイトで紹介されていた鍾馗さん。
手がかりは乏しかったけど幸い探しあてることができました。
陶器屋さんだからか、手には急須をぶら下げています。

東山区松原通の鍾馗さん
東山区松原通
六波羅蜜寺の近く。
このあたりはほとんど歩きつくしたつもりでいたが、
わずかに歩き残していた一角で発見しました。
#010の亜種で、このポーズは初発見。

左京区下鴨蓼倉町の鍾馗さん
左京区下鴨蓼倉町
「洛中洛外の鍾馗」に収録の鍾馗さん。
この前見つけたときはカメラのバッテリーが切れていたため、再訪再撮影。

左京区白川疏水通の鍾馗さん
左京区白川疏水通
淡交社・岩城さんからの情報。
およそ鍾馗さんはいそうにないお屋敷街でした。
こちらもバッテリー切れフォローの再訪再撮影。
奈良市周辺ではよく見かける鍾馗さんですが、京都市内では初発見。


北区紫野東藤ノ森町の鍾馗さん
北区紫野東藤ノ森町
よくある鍾馗さんですが、後にお札を模した?瓦製のプレートがあり、
『急急如律令』と書かれています。
これは陰陽道や密教、修験道などの「おまじない」のようなものだそうです。
こちらで意味を考察していますが、私には真偽のほどはわかりません。

奈良の鍾馗さんには時々見られますが、
服部さんによれば京都ではこれが唯一ではないかとのことです。


服部さんに伺っておいたうち、ここに掲載した鍾馗さん以外は
この十五年ほどの間にすべて失われてしまったようです。