鍾馗が(また)うちにやってきた♪ ― 2012年01月15日 21時46分43秒
いまさらですが、あけましておめでとうございます。
今年もマニアックでトリビアな話を展開する所存ですので、
お付き合いいただけるようでしたら
よろしくお願いします。
昨秋に続いて、我が家にまた鍾馗さんがやってきました。
ヤフオクで落札。
家庭不和を覚悟しての入札は、それだけの逸品と思ってのことです。
いい顔しているでしょう。
全体はこんな感じです。
鬼の首だけが表現されているのは信州によくあるタイプですが、
ちょっと類例が思いつきません。
この鍾馗さんには銘が入っています。
右に「明治十四年」
左は「ヒラヲ」「細工 惣治郎」 と読めます。
裏には何も書かれていませんでした。
「ヒラヲ」は「平尾」でしょうか?
奈良県広陵町や大阪府堺市美原区に平尾という
鍾馗さんも見られる古い集落がありますが、
他にもよくある地名なので特定は難しそうです。
出品者に来歴を尋ねましたが、骨董屋さんを渡り歩いていたため
どこのものかはわからないという返事でした。
ということで出所不詳ですが、
130年を経ながらどこにも欠けなどなく、
保存状態は完璧で、受け継いだ者としての責任を感じます。
鍾馗さんは25cmくらいですが、横幅は70cm以上。
やっぱり大きいなあ・・・
この鍾馗さんにふさわしい大きな家に住んでいて、
大事に揚げてくれる人はどこかにいないかな。
【追記】
「明治十四年」の文字の脇に「§」みたいな模様が入っていますが、
蛇のようです。明治十四年は巳年でした。
年末年始の小探訪をまとめてレポート ― 2012年01月16日 23時57分54秒
例年、正月休みに一度か二度は鍾馗探索遠征を強行しているのですが、
この暮れはお休みしてました。ちょっとスランプかも。
それでも暇を見て、30分から半日程度のご近所ミニ探訪を5回決行しました。
なんだ結構行ってるじゃないかと言わないでくださいね(^^;
これらは運動不足解消のための散歩みたいなものです。
12月30日 豊田市駒場町、安城市篠目町
量産タイプ 2体
12月31日 安城市桜井町、堀内町他
量産タイプ 1体
1月2日 春日井市鳥居松町、神領町他
量産タイプ 4軒5体
知り合いからの情報提供で、春日井市では初記録。
写真の鍾馗さんは岐阜県養老町付近で数体見ているが、愛知県では初記録。
(春日井市神領町)
1月5日 京都市あちらこちら
量産タイプ 8体、新顔 1体
遊びに行ったついでにちょっとだけ探索したところ、
偶然、服部師匠の本に掲載されている鍾馗さんを再発見(左京区下鴨蓼倉町)
ところが悲しいことに、このときカメラはバッテリー切れ(;;)
スマホで撮った写真は恥ずかしいので載せません。
ご覧になりたい方は博物館でどうぞ。
1月8日 岡崎市北野町、小針町
量産タイプ 7体、新顔 1体
短時間の探索で意外にも大漁。
(岡崎市小針町)
40cm程度とかなり大きく、
均整が取れていて、すっくと立った姿が凛々しい。
こういううれしい誤算があるので鍾馗探訪はやめられない。
祝!!鍾馗を尋ねて『二千里』 ― 2012年01月17日 23時28分40秒
2011年1月5日、今年最初の遠出先の京都で
鍾馗を尋ねて二千里(=8000km)に到達しました。
(三重県明和町斎宮)
前回、千五百里を祝って記事にしたのは2009年11月でしたから
2年ちょっとかかっています。
これまでに比べるとペースが落ちました。
データでの振り返りです。
歩いた距離と見つけた鍾馗さんは
愛知県 (1,148km 1,846体) ⇒ 1,661km 2,090体
奈良県 (1,105km 1,705体) ⇒ 1,282km 1,883体
三重県 (1,018km 752体) ⇒ 1,170km 889体
滋賀県 (915km 1,041体) ⇒ 1,072km 1,164体
大阪府 (800km 759体) ⇒ 1,072km 1,078体
京都府 (439km 1,275体) ⇒ 841km 2,069体
上記以外 (610km 255体) ⇒ 940km 501体
合計 (6,034km 7,633体) ⇒ 8,039km 9,674体
歩いた距離と見つけた鍾馗さんは
愛知県 (1,148km 1,846体) ⇒ 1,661km 2,090体
奈良県 (1,105km 1,705体) ⇒ 1,282km 1,883体
三重県 (1,018km 752体) ⇒ 1,170km 889体
滋賀県 (915km 1,041体) ⇒ 1,072km 1,164体
大阪府 (800km 759体) ⇒ 1,072km 1,078体
京都府 (439km 1,275体) ⇒ 841km 2,069体
上記以外 (610km 255体) ⇒ 940km 501体
合計 (6,034km 7,633体) ⇒ 8,039km 9,674体
()内は千五百里時点
年毎の距離では
2005年 814km
2006年 1,429km
2007年 1,228km
2008年 1,556km
2009年 1,410km
年毎の距離では
2005年 814km
2006年 1,429km
2007年 1,228km
2008年 1,556km
2009年 1,410km
2010年 1,037km
2011年 746km
昨年は過去最低。事情はありましたが残念・反省。
歩いたルートの履歴 (^^;
ここから千里が苦労しそうです。
ご覧の皆さま、叱咤激励お願いいたします。

京都・金戒光明寺
2012/1/14 大阪府柏原市、羽曳野市、松原市 ― 2012年01月20日 00時45分24秒
今年初めての本格的な探索は大阪です。
幸い冷え込みもきつくなく、風も弱いというこの時期としては
これ以上ないほどの探索日和に恵まれました。
近鉄の河内国分駅から探訪をスタート、すぐ近くの片山町でさっそく
1体の初もの鍾馗さんに出会いました。
といっても、こちらはあらかじめストリートビューで当たりをつけていました。
この鍾馗さんを確認するためにわざわざ回り道したので、
珍しい鍾馗さんでよかったよかった。
剣を握る右手の向きが明らかに変です。
もともとは刃を上に向けて握っていたのが、
手首が折れて逆さまになってしまったのかもしれません。
道明寺駅まで歩いた後は少し手抜きして電車で移動、
高鷲駅で下車して今日の本コースを歩き始めました。
ここからは近鉄南大阪線沿いの古い集落を縫い歩いて西に向かいます。
ぽつぽつ量産鍾馗さんは見つかりますが、これといった収穫もなく、
松原市天美我堂で折り返し。
少し北を東へ戻っていきます。
ゴールも近い松原市三宅中で、次の鍾馗さんを発見。
奈良県香芝市、橿原市で各一体ずつ兄弟を見つけたことがあるだけの
珍しい鍾馗さん。なかなか凛々しい表情と細部にこだわった几帳面な作りに
好感が持てます。
隣村の松原市別所でも二体発見。
探索終盤にうれしい贈り物をいただいた気分でした。
ひょろっとしていかにも頼りなげ。
この鍾馗さんも変な持ち手。こんな風に持ったら手首が痛くてたまらんでしょう!
こちらはすっきりシンプル。初めて見る鍾馗さんですが、
実は量産品なのかもしれない。
この日は26kmほど歩いて、20体の鍾馗さんに会いました。
大阪府でもそれほど鍾馗さんの影が濃い地域ではないので、
まずまず予想通りの成果といったところでした。
電車でのおでかけは制約も多いですが、本は読めるし眠ることもできる。
もちろん景色をぼんやり眺めていても良い。やっぱり捨てがたいですね。
特に近鉄のアーバンライナーはシートの出来が新幹線よりずっと良くて
くつろげる気がしてお薦めです。
出版のおしらせ ― 2012年01月28日 23時13分02秒
ずっとナイショにしていましたが、本を出します。
鍾馗さんを探せ!! 京都の屋根のちいさな守り神
淡交社刊
2月15日発売
定価 1470円 (本体 1400円)
昨年5月末に淡交社さんから企画の提案があり、
このたびようやく形になりました。
写真と文章の大部分を自分が手がけており、
師匠の服部さんにも寄稿いただいています。
もちろん本を出すなんてはじめての経験。
特に文章は日頃ブログを書き散らしているのとは勝手が違って
ずいぶん苦しみました。
京都の鍾馗の入門書として気軽に手に取ってもらえるよう心がけたので、
こちらのブログのご常連の方には少し物足りないかもしれません。
それでも180体くらいの鍾馗さんの写真とガイドマップを収録していますので、
京都に行かれる際にはぜひお供に連れて行っていただけるとうれしいです。
京都では淡交社さんがいろいろプロモーション活動をしていただけるようで、
こんなポスターが掲示される書店もあるそうです。
2012/1/22 京都半周 ― 2012年01月30日 23時22分34秒
ようやく本の最終校正も終わり、あとは刷り上りを楽しみに待つだけとなった日曜日、
また京都へ行ってきました。
今回の探訪の目的は服部さんの著書『洛中洛外の鍾馗』に収録されている
鍾馗さんのうち、まだ未確認の希少鍾馗さんを探すこと。
既に一度は振られた鍾馗さんも多く含まれているため、服部さんから詳しい情報を
伺っての探訪ですが、『もうなくなっていると思います』というコメントをいただいた
ものもあります。とはいえ、一度は自分の目で確かめないことには得心がいかないため、あえて空振りが多いことは覚悟です。
我ながら好きだなぁ。
今回の起点は地下鉄烏丸線十条駅。
京都駅の南は工業地域で鍾馗さんは少ないというイメージがあり、これまでもほとんど歩いたことがありません。
南区竹田街道
まずは洛中洛外の鍾馗 収録のこの鍾馗さん。
三体が背中合わせに一体になっています。
数々の鍾馗さんを見てきましたが、こうした例は
こちらで紹介している四連鍾馗さんのただ一例を知るのみ。
写真には写っていませんが台座もY字型の半丸瓦で、
現在は普通の小屋根にありますが、もともとは別のところにあったのでしょう。
Y字型の屋根に留蓋のようにして置かれていたのでしょうか。
三角形の屋根というのがどういう状態か、
かつての姿を考えてしばし空想の世界を楽しみましたが
ちょっと想像がつきません。
ここから鴨川を遡って北上。
この日は何度も橋を渡りました。
五条大橋(西→東)
団栗橋(東→西)
三条大橋(西→東)
二条大橋(東→西)
賀茂大橋(西→東)
河合橋(高野川 東→西)
出雲路橋(東→西)
あっちへうろうろ、こっちへうろうろしながら、
千本鞍馬口までの約32kmを歩いて、
この日見た鍾馗さんの数は 初見 105体、再確認 36体。
やはり他の町とは桁違いに多いですね。
偉そうに本を出すことになりましたが、きっとまだ知らない鍾馗さんが
京都の町のあちこちに隠れているんだと思います。
そうでなくっちゃ。
以下、この日見た希少鍾馗さんです。
南区竹田街道
これまで西陣方面で一体見たことがあるだけで、これが二体目。
これは「洛中洛外の鍾馗」に収録されています。
東山区五条通
いくつかのサイトで紹介されていた鍾馗さん。
手がかりは乏しかったけど幸い探しあてることができました。
陶器屋さんだからか、手には急須をぶら下げています。
東山区松原通
六波羅蜜寺の近く。
このあたりはほとんど歩きつくしたつもりでいたが、
わずかに歩き残していた一角で発見しました。
#010の亜種で、このポーズは初発見。
左京区下鴨蓼倉町
「洛中洛外の鍾馗」に収録の鍾馗さん。
この前見つけたときはカメラのバッテリーが切れていたため、再訪再撮影。
左京区白川疏水通
淡交社・岩城さんからの情報。
およそ鍾馗さんはいそうにないお屋敷街でした。
こちらもバッテリー切れフォローの再訪再撮影。
奈良市周辺ではよく見かける鍾馗さんですが、京都市内では初発見。
北区紫野東藤ノ森町
よくある鍾馗さんですが、後にお札を模した?瓦製のプレートがあり、
『急急如律令』と書かれています。
これは陰陽道や密教、修験道などの「おまじない」のようなものだそうです。
こちらで意味を考察していますが、私には真偽のほどはわかりません。
奈良の鍾馗さんには時々見られますが、
服部さんによれば京都ではこれが唯一ではないかとのことです。
服部さんに伺っておいたうち、ここに掲載した鍾馗さん以外は
この十五年ほどの間にすべて失われてしまったようです。