2011/5/9 伊那谷 飯田~宮田2011年05月15日 22時53分24秒

先日、安曇野ハーブスクエアのまきさんに鍾馗さんを案内いただき、
安曇野に多くの鍾馗さんが残されていることに瞠目しました。

いっぽう、愛知大学の高原隆さんの著書「鬼板師 日本の景観を創る人々」によれば、
江戸時代から、三河地方の鬼板師が信州方面に出稼ぎに行って鬼瓦を
焼いていたとか。

安曇野でこれだけの鍾馗さんが見つかるならば、
三河から信州へ向かう街道沿いの他の街にも、
彼ら三河職人の瓦鍾馗が残されているかもしれません。

三河から信州に向かうには、当時は足助、稲武を経由して
飯田に至り、伊那谷を塩尻へ抜ける三州街道がメインルート。
伊那谷は広すぎて、なんの手がかりもないことから、
まずは手始めに飯田から駒ヶ根にかけての南半分を
ざっと車で探索してみました。

といってもまったく土地勘はなく、街道沿いを中心に
地図でおおよそのあたりをつけた後は、
現地で街のたたずまいを見ながら出たとこ勝負の探索です。


この日の助手は鍾馗にはあまり関心のない人。
ちょうどりんごの花の時期にかこつけて連れ出しました。

あちらこちらにりんご畑、さらには梨畑も花の時期で
どちらも白い清楚な花ですが、この時期の伊那谷は非常に華やかです。

さらには遠景に南アルプス。これはたまりませんね。

松川付近からの南アルプス
塩見岳、悪沢岳、赤石岳 あたりが見えています。

そして反対側には中央アルプスもきれいに見えました。

飯島からの中央アルプス
これは空木岳、南駒ケ岳付近らしいです。

中央道でこのあたりを通ることはよくありますが、
両方の山々がこんなにくっきり見えたことは記憶にありません。
これを見ただけでもこの小旅行、十分満足です。



肝心の鍾馗さんですが、一軒だけ見つけました。
飯田市の少し北にある豊丘村田村。
天竜川の左岸にあって、三州街道からは外れています。

予定していた道が、土砂崩れの復旧工事で通行止めになっていて、
急遽、道を変えたところで発見しました。
こんなことを書くと笑われますが、「鍾馗さんのお導き」を感じてしまいます。

豊丘村神稲の鍾馗さん

一軒とはいえ、素朴な鍾馗さんが三体と、謎の老人までおまけに載った豪華版。
博物館にすべて掲載しましたのでご覧ください。

結局、この日はこの一軒だけだったのですが、負け惜しみでなく満足。

その後駒ヶ根、宮田まで北上してこの日の予定を終了しました。

伊那谷南部の傾向、人型の飾り瓦は少ないですが、
凝った鬼瓦は時折り目にしました。
「探せばまだ見つかる可能性がないこともない」と
微妙な言い回しにしておきましょう。

三河から信州まで、鍾馗の道はつながるか?
探索はまだまだ続きます。

コメント

_ まき ― 2011年05月26日 08時10分40秒

kiteさん、こんにちは。
kiteさんから、信州と三州瓦の結びつきをお聞きして過日中山道を北側から奈良井宿辺りまで探索して見ました。
しかし、瓦屋根そのものがほとんどありませんでした。江戸幕府が明暦大火以前は瓦屋根を認めなかったことや、木曽谷が貧しかったことなどが瓦文化が育たなかったのかなと勝手に解釈しました。
三河の瓦職人が往還したのは、中山道ではなく三州街道だったのですね。時間をみつけて三州街道を、今度はわたしも信州側から探してみようと思っています。

_ kite ― 2011年05月26日 23時24分37秒

まきさん、コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、木曽谷は瓦屋根が少ないですね。
谷を抜けて落合宿まで来ると瓦屋根が増えてきますよ。

伊那谷に比べてはるかに平地が少なく道が険しいため、瓦製造や運搬が難しかったことと、逆に葺板や押え石は身近にある(木曽川の河原には手頃な石がごろごろ転がっています)ため、あえて瓦にする必要を感じなかったのかもしれないですね。

あと、これはうがった見方なのですが、松本盆地も伊那谷もお城があって武家屋敷町がありますよね。そうした瓦屋根を日頃から見ていた町人にも瓦屋根に対する憧れがあったが、そういった建物がない木曽谷では瓦屋根に対する思い入れがなかったんじゃないかと思ったりします(^^;

伊那谷南進、ぜひお願いします。私もいずれ北上するつもりですので
またご一緒しましょう。

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